臨時休業のお知らせ。6月29日(日)~7月7日(月)は、臨時休業とさせていただきます。 この間のお問い合わせ、ならびに診断・相談への対応はできませんが、ご了承のほどお願いいたします。 また、役立つコラムに新しい記事「iDeCoの拠出限度額、加入年齢の引上げ」を投稿しました。今後、iDeCoによる老後資産形成にも注目です。詳しくは記事をお読みください。
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一般的には、景気が良くなり、不動産や株価、物価が上がると、インフレを抑制するために金利が上がり、そうすると不動産や株価が下がってきます。投資家はそれらを売って、金利が高い債券を購入するなどのお金の流れになります。逆に景気が悪くなり、不動産や株価、物価が下がると、お金を借りやすくするために金利が下がり、消費や投資が増えてくると不動産や株価、物価が上がってきます。投資家は債券を売って、不動産や株式に投資を行うなどのお金の流れになります。このように景気は周期的に変動するもので、日米の景気の状態やインフレ率の違いによる金利差に加え、このところの地政学的な要因から円が売られてドルが買われ、20年ぶりの円安ドル高の水準を迎えています。
過去30年間のドル円相場(グラフ)を見ると、1995年に1ドル79.8円の円高の後、アジア通貨危機もあって1998年に147.7円の円安に、その後は100円~130円を変動し、2008年のリーマンショック前後では100円を切り、東日本大震災後の2011年に75.3円の最高値を記録します。震災後は低金利政策により2015年に125.5円の円安まで戻って、その後は105円~115円前後で推移していました。30年間で言えば、瞬時を除いておおよそ80円~130円の範囲で周期的に変動していることになり、単純平均値は108.7円ということになります。
このように、ドル円相場は過去30年という長期に渡って、一定の範囲内で変動していることから、株価などと比較して先が読みやすいとも言えます。例えば平均値の108円でドル買いしたとしても、130円でドル売りをすれば約20%の譲渡益が得られます。ただし、今後も過去30年間の変動範囲を超えないとは言い切れず、また人口減少や国家財政の悪化による信用度の低下により、100円を切る円高が今後訪れるかは分かりませんが、円高傾向になった時にはドル買いをして仕込み、円安を迎えた時にドル売りをする、そのように考えておくことで、比較的低いリスクで為替差益を得ることができます。将来来るかもしれない変動範囲を超えた円安に備えることもできます。
現在ドルを何らかの形で持っている方で、短期的な為替差益を得たい方は、そろそろ売ってもよい時が近づいていると言えます。また、円安の時に外貨建て商品を購入、契約して失敗したと思っている方も、解約を検討するチャンスでもあります。ただし、保有年数が少ないと解約返戻金が元本を下回る商品もありますので、円安により売却益が出るかよく確認してください。
いつか来るであろう円高の時に購入する外貨建て商品としては、主に為替相場による利益を目指すのであれば、元本の変動リスクが少ない保険や債券、預金が適しています。将来のインフレ、円安に備えて保有期間を長期に考えるなら保険、債券などで、やや短期で考えるのであれば外貨MMF、外貨預金などになるでしょう。ただし、外貨預金以外は、為替スプレッド(手数料)以外に購入手数料や運用手数料などが掛かる場合があります。手軽に始めるなら、購入手数料が掛からず、多少の金利が付いていつでも売り買いできる(と言ってもリアルタイムではありませんが)外貨MMFあたりがよいでしょう。また、外貨MMFを保有していると、それを解約して外貨預り金にすれば、他の外国債券や外国株式を購入することもでき、為替スプレッドがかからず、また為替相場を気にせずに取引することができます。
なお、外貨建て金融商品の譲渡益や分配金、利子等には所得税、住民税が課せられます。詳細は「外貨建て金融商品」 を参照ください。一方、為替スプレッドは、証券会社や金融機関、保険会社によって異なりますので、良く調べた方が良いでしょう。また、保険商品などでも、保険料を一括で支払うよりも、年払などで何年かに分けて支払うタイプを選択すれば、為替相場を見ながら前払いすることもでき、時間分散によってリスクを減らすことができます。外貨MMFや外貨預金であっても、何回かに分けて為替相場を見ながら購入した方がより安全です。
今後もさらに円安が進むから、いま利率の良い外貨建て商品を買った方が良い、などと言う近視眼的な勧誘にはくれぐれも注意してください。特に長期間売却できない商品の購入には慎重さが必要です。(2022/9/24)為替リスクを負いたくなければ、あくまでも過去の実績を見た上で、買い時と売り時を見極めて、じっくりその時を待つことも必要です。
また、過去の為替相場の傾向が将来も続くことを保証するものではありません。為替差損が生じるリスクを認識した上で、購入はご自分で判断してください。
(出典:「為替相場(東京インターバンク相場)(月次)」(日本銀行 時系列統計データ 検索サイト)(https://www.stat-search.boj.or.jp/ssi/mtshtml/fm08_m_1.html)のデータを引用し、ライフプラン・シム作成)
平成30年の住宅・土地統計調査(総務省統計局)によると、居住世帯のある住宅(以下「住宅」)の所有関係を見ると、持ち家が3280万2千戸で、住宅総数に占める割合(持ち家率)は61.2%とのことです。グラフには、1973年からの持ち家率の推移を示していますが、核家族化に伴って住宅総数は増加しているものの、持ち家率は60%前後で変わらないことが分かります。ただし、都市部の持ち家率は低い傾向にあり、東京都は45.0%、福岡県52.8%、大阪府54.7%となっています(都市部以外では沖縄県44.4%、北海道56.3%も低い)。逆に持ち家率が高いのは秋田県77.3%、富山県76.8%、山形県・福井県74.9%などとなっています。都市部では学生や単身の社会人も多く、住宅価格も高いことを反映した数字であると言えます。また、1906万5千戸ある借家ですが、その約8割が民間借家となっています。
なお、平成20年の統計データですが、持ち家率を年齢別にみると、
30~34歳:30%
35~39歳:46%
40~44歳:58%
45~49歳:67%
60歳以上:80%
となっています。収入別にみると、
200万円未満:47%
200~300万円:57%
300~400万円:59%
400~500万円:63%
500~700万円:71%
700万円以上:80%
と、年齢が上がり、収入が上がるほど持ち家率が高いことが分かります。
その他の統計データでは、空き家率の増加が目につきます。全国平均では13.6%で、最も高いのは山梨県の21.3%、次いで和歌山県20.3%、長野県19.6%ですが、移住先として人気が高かったりもします。逆に最も低いのは沖縄県の10.4%、次いで東京都の10.6%、神奈川県の10.8%などとなっています。
1戸あたりの1ヶ月家賃の平均では、東京都が81,001円(5,128円/畳)で最も高く、続く神奈川県68,100円(3,898円/畳)、埼玉県59,358円(3,276円/畳)と比べても格段に高いことが分かります。逆に安いのは、鹿児島県37,863円(2,016円/畳)、青森県38,264円(1,882円/畳)、宮崎県38,353円(1,972円/畳)と、東京都の半分以下となっています。
一方、住宅あたりの面積の平均で見ると、東京都は65.18㎡と最も狭く、次いで沖縄県75.31㎡、神奈川県77.80㎡となっています。逆に広いのは富山県143.57㎡、福井県136.89㎡、山形県133.57㎡となっており、なんと東京都の2倍以上です。こうして見ると、東京都は利便性が高い代わりに、価格も高く、狭く、住みにくいということが数字からも良くわかります。
首都圏の新築マンション平均価格はバブル期を超え、世界情勢により原材料費や燃料代も値上りする一方、賃金はなかなか思うようには上がらず、ますます手が届かなくなりつつあります。コロナ禍でテレワークが進み、ロケーションフリーな職種も増えてきている中、人生のどの時期に何に価値を置いて、どこにどのような形で住むのか、広い視野を持って見つめ直してみるのも良い機会かもしれません。
(出典:「平成30年住宅・土地統計調査 調査の結果」(総務省統計局)(https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2018/tyousake.html)を元にライフプラン・シム作成)
「贈与税の特例」 の記事に、直系尊属からの結婚・子育て資金の一括贈与(令和7年3月31日まで)、教育資金の一括贈与(令和8年3月31日まで)、住宅取得等資金の贈与における非課税枠(令和8年12月31日まで)について説明しましたが、そもそも贈与税においては、暦年課税と相続時精算課税(主に相続時に納税する方法)と言う2つの課税方法があり、一定の要件を満たせば相続時清算課税を選択することができます。特例と合わせて、課税方法の特徴を知ることで、生前贈与のハードルが下がります。(2024/9/9 期限を一部修正)
まず、贈与税は、贈与を受ける人(以降、受贈者)に納税の義務があり、1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産が対象となります。そして、贈与税がかかる場合、相続時清算課税を適用する場合は、贈与があった翌年の2月1日から3月15日までの間に申告と納税をする必要があります。なお、納税する受贈者が、贈与する人(以降、贈与者)ごとに2つの課税方法のどちらか一方を選択することができます。したがって、例えば父母それぞれに違う課税方法を選択することも可能です。ただし、相続時精算課税は、一度選択すると相続する時まで変更できませんので注意が必要です。
(1)暦年課税
1人の受贈者が1年間にもらった財産の合計金額から、基礎控除額の110万円を差し引いた残りの金額に対して贈与税がかかる課税方法です。したがって、1年間にもらった財産の金額が110万円以下であれば贈与税はかからず、申告の必要はありません。また、複数の人から贈与を受けた場合でも、受けた財産の合計金額が対象となります。ただし、相続時精算課税を選択した贈与者からの贈与財産は除きます。
逆に、贈与者から見れば、1年間に受贈者1人あたり110万円までは非課税で贈与できることになりますので、父母や祖父母から子や孫への生前贈与として活用できます。ただし、毎年、一定の金額を複数年に渡って贈与する定期贈与の場合は、本来一括の贈与を分割しているとみなされ、毎年の基礎控除の対象となりません。年ごとに必要な目的に合わせて、都度必要な金額を贈与し、それを互いが合意していることの確証を残しておくと安心できます。また、贈与者が亡くなった場合、3年以内の暦年贈与については、基礎控除以下の金額であっても相続財産に加算され、加えて7年~4年以内の暦年贈与については、その総額から100万円を控除して相続財産に加算されますので、贈与する時期にも注意してください。
(2)相続時精算課税
暦年課税では、所得税や相続税と同様に超過累進課税が適用され、相続税よりも高い税率が適用されるため、110万円を超える財産を一括して生前に贈与したくても、贈与税が高くて躊躇してしまう場合があります(グラフ参照)。一定の要件を満たす場合に、そうした生前贈与を可能とする制度として相続時清算課税があります。
原則として1月1日時点で60歳以上の父母、祖父母から、成人年齢(2022年4月1日からは18歳)以上の子または孫(推定相続人)に対して贈与した財産に適用できる課税方法で、贈与者ごとにこの課税方法を適用するかどうかを、受贈者が選択できる課税方法です。この課税方法を選択した年以降、該当の贈与者からの贈与財産全てが対象となり、贈与者が亡くなるまで暦年課税に戻すことはできません。なお、この課税方式を適用する贈与財産を受取った翌年に、相続時清算課税選択届書を提出し、以後、贈与の度にその翌年に申告する必要があります。申告しないと、その年の贈与についてはこの課税方法の適用が受けられません。
この課税方法を適用した贈与者からの贈与財産の毎年110万円までは贈与税が非課税となり、この控除分を除く累積額のうち、最大で2,500万円まで贈与税が非課税となります。これを超える財産に対しては一律20%の贈与税を、贈与が発生した年の翌年に一旦納税することになります。しかし最終的には、相続時にこの贈与財産(毎年110万円までの控除分を除く)を相続財産に加えて相続税を計算し、納税した贈与税を差し引いて清算することになるため、いわば相続税の一部を贈与税と言う形で前払いすることで、生前にまとまった財産の贈与を受けられる課税方法です。相続税額が納税した贈与税額より少ない場合は差額が還付されます。
ただし、注意が必要なのは、原則として相続時の清算では贈与時の財産価額が適用されることです。したがって、贈与時の財産価額よりも相続時の財産価額が低下した場合には、相続時清算課税を適用しない場合と比較して相続税額が増加します。なお、土地、建物が災害により一定以上の被害を受けた場合には、相続時点で評価し直します。また、土地を生前贈与すると、相続税の小規模宅地等の特例(居住用330㎡以下、事業用400㎡以下は80%を、貸付事業用200㎡以下は50%を減額できる特例)が適用できなくなり、相続時の土地評価額が高くなり、相続税も増加します。逆に、相続時の財産価額が上昇した場合は、相続税が減少します。この点を踏まえ、贈与時と相続時の財産価額の変動リスクはどの程度かなどを推定して、相続時清算課税を選択するのか、選択したとしてもどの財産を生前贈与の対象にするかなど慎重に検討することが重要です。(2023/7/4 令和5年度税制改正により下線部加筆修正)
一般的には、賃貸不動産のように収益を生む財産を早く贈与することで、収益ごと贈与できるメリットや、将来値上りが見込める、あるいは少なくとも値下がりするリスクが無い、あるいは相続財産に生前贈与分を加算したとしても相続税が非課税の範囲内であることにより(2022/11/24 追記)、まとまった資金を一括贈与できるメリットなど(いずれの場合も、小規模宅地は除く)、明確なメリットが無い限り、生前贈与は暦年課税や特例の活用を考える方が無難と言えるでしょう。
なお、令和4年度の税制改正の議論の中で、相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直すなど(中略)の本格的な検討を進める、とありますので、今後も目が離せません。(2023/7/4 削除)
(出典:「贈与税がかかる場合」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4402.htm)他を元にライフプラン・シム作成)
一般的に、土地や建物、株式や投資信託、貴金属・宝石や書画・骨董、ゴルフ会員権や著作権などの資産を売却した場合に、認められた経費や決められた控除額を差し引いて残った譲渡所得に対して所得税、住民税が課せられます。つまり、譲渡所得は以下の計算式となります。
譲渡所得 = 収入金額 - (取得費 + 譲渡費用 + 特別控除)
具体的に、どのような資産に対して譲渡所得が課せられるのか、認められる取得費、譲渡費用は何か、資産の種類などによって異なる特別控除の金額はいくらか、税率はいくらかなどについて順に見て行きます。ただし、ここでは一般的な事例についてのみ触れることとしますので、詳細は出典の国税庁ホームページでご確認ください。
(1)譲渡所得の対象
まず、譲渡所得の対象ですが、最初に挙げたような一定の資産性が認められるものが対象であり、家具、衣服、自家用車両などの生活に必要な動産に関しては、オークションやフリマなどで購入価額よりも高く売却できたとしても譲渡所得にはなりません。ただし、貴金属・宝石や書画・骨董などで1個または1組の価額が30万円を超えるものを譲渡して得た所得は対象となります。例えば時計は生活用動産ですが、素材によっては貴金属や宝石に該当する場合もありますので、注意が必要です。
(2)取得費と譲渡費用
譲渡所得の計算式では、取得費と譲渡費用を差し引けることが分かります。取得費には、購入代金以外に、土地・建物であれば、不動産取得税、登録免許税、印紙税などの税金や、借入金の利子のうち実際に使用し始めるまでの期間に相当する部分や、購入後に改良を加えた改良費など、株式などであれば購入手数料などが含まれます。なお、取得費が不明な場合や、実際の取得費が売却代金の5%を下回る場合には、取得費を売却代金の5%相当額とすることができます。一方、建物や事業用車両などの場合は、期間の経過により価値が減少するため、その間の減価償却費を差し引く必要があります。戸建てやマンションなどの建物を含む不動産を売った際に、売却価額が購入価額を下回ったから譲渡所得は無い、とは一概に言えませんので注意してください。
譲渡費用として認められるものとしては、土地や建物の場合には、仲介手数料、売主負担の印紙税、建物の取り壊し費用など、株式などの場合には売却手数料など、売却するために直接かかった費用です。
(3)特別控除の額
マイホームを、住まなくなって3年が経過した日を含む年末までに譲渡した場合は、特別控除として最高3,000万円が特例で控除できます。ただし、譲渡した年、その前年、前々年にこの特例の適用が無いこと、親族以外への譲渡の場合に限られますが、所有期間によりません。なお、仮住まい、一時的な住まいや、別荘などの趣味、娯楽、保養のための住まいには適用されません。
貴金属・宝石、書画・骨董、事業用車両などを譲渡した場合は、特別控除として最高50万円が控除できます。したがって、売却益があったとしても50万円を超えない限り課税されません。なお、株式等については、特別控除はありません。
(4)税率
株式などを譲渡した場合は、他の所得と分離されて課税され、税率は所有期間にかかわらず一律15%の所得税、5%の住民税が課せられます。土地・建物などを譲渡した場合も、他の所得と分離して課税されますが、所有期間(1月1日時点での所有)が5年以下の場合は短期譲渡所得となり一律30%の所得税、9%の住民税が課せられ、5年超の場合は長期譲渡所得となり一律15%の所得税、5%の住民税が課せられます。
一方、貴金属・宝石、書画・骨董、ゴルフ会員権・著作権などは、給与所得などと合算されて超過累進課税の所得税、一律10%の住民税が課せられますが、所有期間が5年超の場合は長期譲渡所得として、特別控除後の譲渡所得が1/2されて他の所得に合算されます。
なお、所得税にはこれらの税率に復興特別所得税率が上乗せされます。
(5)確定申告
譲渡所得がある場合は、確定申告を行った上で納税が必要です。なお、収入金額が2,000万円以下で1ヵ所から給与の支給を受け、源泉徴収される給与所得者や、収入金額が400万円以下で源泉徴収される公的年金受給者で、譲渡所得を含めたその他の所得(退職所得を除く)が20万円以下であるときは、確定申告は不要とできます。ただし、マイホームの税金の特例による特別控除などを適用する場合は、適用した結果、譲渡所得がゼロになる場合でも確定申告が必要になります。
マイホームを譲渡した場合や、買い換えた場合の税金の特例や、損が出た場合の他の所得との損益通算や繰り越しについては、「マイホームを売った時、買い換えた時の税金の特例」 に記載していますので、そちらもご覧ください。
(出典:「譲渡所得のあらまし」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/code/index.htm#code03-01)を元にライフプラン・シム作成)
令和4年の税制改正大綱が閣議決定され、新型コロナによる経済の落ち込みへの対策として、住宅ローン減税も2022年から4年間延長となる見込ですが、合わせて控除率、控除限度額などが引き下げられる見込みです。住宅ローン控除は、入居した年の年末のローン残高に対して翌年に行う確定申告で申告するものであることから、2022年以降にマイホームへの入居やマイホームの購入を予定されている方は、改正による影響をよく確認された方がよいでしょう。なお、医療費控除や生命保険料控除は所得から控除することで間接的に節税になる制度であるのに対して、住宅ローン控除は徴収される税額から直接控除する制度であるため、大きな節税効果がある制度です(2022年1月4日一文追加)。
図は、財務省が作成した、これまでの住宅ローン減税の経緯が分かる資料をベースに、国土交通省が公表した今回の改正見込を加えたものです。改正の主な内容は以下の通りです。但し、今後の国会で関連税制法が成立することが前提となります。
・制度は2025年(令和7年)まで4年間延長。
・住宅ローン残高からの控除率をこれまでの1%から0.7%に引き下げ。
・控除期間を新築13年、中古10年とする。但し、新築一般住宅は2024年以降の入居の場合10年とする。
・一般住宅の借入金限度額を、これまでの新築4,000万円から3,000万円に減額。但し、新築一般住宅は2024年以降の入居の場合2,000万円(但し、2023年末までの建築確認が必要(2023/9/6 下線部追加))。また、中古住宅はこれまでと同様2,000万円。
・環境性能等に応じた借入限度額の上乗せ措置(以下の(1)(2))を講じる。
(1)新築・買取再販の場合の借入限度額
①長期優良住宅・低炭素住宅に対して、2023年までの入居で5,000万円、2025年までの入居で4,500万円。
②ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)水準省エネ住宅に対して、2023年までの入居で4,500万円、2025年までの入居で3,500万円。
③省エネ基準適合住宅に対して、2023年までの入居で4,000万円。
(2)中古住宅の場合の借入限度額
①~③の省エネ住宅に対して、3,000万円。
・ローン控除が受けられる所得要件を3,000万円以下から2,000万円以下に引き下げ。
・既存住宅の築年数要件(耐火住宅25年以内、非耐火住宅20年以内)について、「昭和57年以降に建築された住宅」(新耐震基準適合住宅)に緩和。
・新築住宅の床面積要件については、2023年末までの建築確認の場合、40㎡以上に緩和(但し、所得要件1,000万円以下)。
・所得税額から控除しきれない額は、個人住民税から控除する制度について継続。
なお、無料でご利用になれる「ローン計算ツール」 において、今回の改正内容を適用した場合の住宅ローン控除額も求められますので、お試しください(2022年3月23日一文追加)。
(出典:「住宅ローン減税について教えてください」(財務省)(https://www.mof.go.jp/tax_information/qanda013.html)、
「令和4年度 国土交通省税制改正概要」(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/page/content/001445195.pdf)を元にライフプラン・シム作成)
1年間に支払った医療費が10万円を超えた場合、所得税の確定申告をすることで医療費控除を受けることができます。正確には、医療費が10万円または年間総所得×5%のいずれか低い方を超えた場合に、超えた分を所得から控除することができ、控除できる上限は200万円です。ここでの医療費には、自己の医療費だけでなく、生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費も含めることができます。また、診療費以外に、医薬品代、病院までの公共交通機関での交通費なども含みますが、控除できる場合、できない場合がありますので、詳しく見ていきましょう。
まず、医療費控除の適用条件を詳しく見てみると、年間総所得が200万円以上の場合は10万円超が適用され、200万円未満の場合は年間総所得×5%超が適用されることが分かります。一般的に、年金所得者は年金収入から公的年金控除、基礎控除、配偶者控除、社会保険料などが差し引かれますから、65歳以上の年金生活者で夫婦2人世帯の場合では、年金収入などの合計が約480万円以上にならないと所得は200万円を超えません。
(上記部分について、本来、総所得の説明、計算値を記載すべきところ、課税所得の説明、計算値を記載してしまいました。お詫びして、以下の通り訂正いたします。2022/1/16)
年間総所得は、年金所得者の場合は年金収入から公的年金等控除額を、給与所得者の場合は給与収入から給与所得控除額を差し引いた金額に、その他の所得を合計した金額になります。65歳以上の年金生活者で、公的年金以外に所得無しの場合、年金収入が310万円以上にならないと総所得は200万円を超えません。
株式の譲渡所得や配当所得があればその分所得は増えるので注意が必要ですが、医療費が10万円を超えていないからと言って医療費控除は受けられないと思い込んでいる方は、ぜひ所得額を確認してください。
次に、医療費控除が受けられる対象ですが、基本的に医師の判断による治療にかかった自己負担費用です。健康維持、予防、疲労回復のためや、美容のための費用は対象外です。したがって、人間ドックの自己負担費用は対象外ですが、それによって病気が見つかって治療した場合は、人間ドックの費用も対象となります。また、病院までの公共機関での交通費や、歩けないなどや公共交通機関が無くてタクシーを利用した場合のタクシー代は対象ですが、便利だからと言ってマイカーで通院して駐車場代を払っても、ガソリン代や駐車場代は対象とはなりません。
例えば、新型コロナ関連で言うと、PCR検査などを自己の判断で受けた場合は控除の対象とはなりませんが、それで陽性であることが判明して診断や治療を受けた場合は、PCR検査費用も控除の対象となります。新型コロナワクチンは現在、無料で接種できますが、インフルエンザワクチンの接種に支払った費用は予防にあたるため控除の対象外です。歯科医療は様々な自由診療もあって、美容の要素が含まれるのかなど判定が難しいところもありますが、国税庁によると、一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額は、医療費控除の対象となるとのことです。例えば、金やポーセレン(セラミック)を使用した治療は対象になります。インプラントも同様です。また、出産費用も対象ですが、今後は保険適用になって自己負担額が軽減される不妊治療の医療費も対象となります。
なお、入院や通院をした際に、医療保険からの給付金や高額療養費制度による支給を受けた場合は、医療費から差し引かなければなりません。給付金などは、対象の疾病の入院や通院に対して支払われるものであるため、該当の疾病の医療費以外からは差し引けませんので、医療費の総合計から差し引かないよう注意してください。一方で、高額療養費制度の対象にならない入院時の食費などは医療費控除の対象となりますので、医療費に含めるのを忘れないよう注意してください。
医療費控除の確定申告は、インターネットを利用したe-taxが便利です。医療費控除のエクセルの明細書に個々の医療費の詳細(医療を受けた人の名前、病院・薬局名、支払った医療費、日付)を入力して、合計金額を確定申告書に入力するだけです。医療保険者から交付を受けた医療費通知を添付すればこの明細の記入も省略できます。他は、源泉徴収票の内容を入力すれば完了です。領収書などの提出は不要ですが、求められた場合に必要になりますので、確定申告後5年間は保管しておく必要があります。e-taxの準備は少し面倒ですが、e-taxを使い始めれば還付など容易に受けることができるようになりますのでお勧めです。また、医療費控除は前述のように、自己の医療費だけでなく、生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費も合算することができます。明らかに独立した生活を営んでいる場合を除いて、別居であっても常に生活費などを支援している場合も合算することができます。また、生計を一にする場合の所得要件は無く、夫婦共働きでも、一方が医療費を支払えば、支払った方がまとめて医療費控除を申告することができます。
控除の対象かどうか迷った時は、出典元である国税庁のホームページで確認してください。
(出典:「医療費を支払ったとき(医療費控除)」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm)を元にライフプラン・シム作成)
生命保険や医療保険、個人年金保険に加入して保険料を支払っている場合、所得税の課税所得を計算する際に、保険料の全額または一定の割合を課税所得から差し引く(控除する)ことができ、それによって所得税を軽減する生命保険料控除の税制があります。給与所得者でこれらの保険料を給与天引きにしている方は、年末調整の際に給与天引きの保険料については自動的に、そうでないものも申告すれば年末調整で納税額が調整され、確定申告せずに保険料が控除されます。一方、自営業者や年金所得者は確定申告が必要になりますし、申告漏れがあった給与所得者も確定申告すれば還付が受けられますので、年末を前に生命保険料控除について整理しておきましょう。なお、保険期間や受取人などによって控除の対象とならないものがありますので、詳しくは国税庁のホームページでご確認ください。
まず、平成22年に税制改正がなされたことにより、保険契約の締結日が平成23年12月31日以前と、平成24年1月1日以降で保険料控除の扱いが異なります。平成23年までに締結した保険は、一般生命保険と個人年金保険の2つに区分され、それぞれ最高5万円までの控除で、合計で最高10万円までの控除が受けられました。しかし、平成24年以降に締結の保険では、一般生命保険が一般生命保険と介護医療保険に分割され、それぞれ4万円までの控除が受けられるようになりました。また、これに合わせて個人年金保険の控除も上限が4万円に改正になり、3つの区分の合計で最高12万円までの控除が受けられるようになりました。
なお、保険料と控除額の関係は、単純に上限額まで保険料の全額が控除される訳ではなく、グラフに示すように、第一の一定額までは全額控除されるも、これを超過すると第二の一定額までは超過した保険料の半分が控除に加算され、さらに第二の一定額を超過すると上限額に達するまで、超過した保険料の1/4が控除に加算されます。また、新制度と旧制度の保険の両方に加入する場合には注意が必要です。①旧制度の保険料が6万円を超過する場合は、旧制度での保険料控除の計算を行った上で最高5万円までの控除を受けることができますが、②旧制度の保険料が6万円以下の場合は、新制度と旧制度それぞれの控除額の計算を行って合計した金額の上限が4万円に制限されます。これは、旧制度で6万円の保険料の場合、4万円の控除額となりますので、これが新制度での上限額に達するという意味です。そして、旧制度の控除額だけで4万円の上限を超える場合は、旧制度の計算のみを使用して5万円を上限にすることができるということになります。なお、いずれの場合も、全ての区分の控除額の合計は最高12万円に制限されます。
これらの計算の仕方は分かりにくいですが、インターネットを利用したe-taxでの確定申告を行うと、新契約、旧契約の年間保険料を入力するだけで自動で控除額を計算してくれますので、e-taxによる確定申告をお勧めします。10月以降くらいから、契約の保険会社から保険料控除証明書が送られてきますので、それを集めておいて、保険の区分と保険料をe-taxに入力して行くだけです。控除証明書を電子データで受取ることもできます。なお、e-taxで確定申告書や確証などの電子データをインターネットで送信する場合には電子証明書(マイナンバーカードなど)などが必要になります。電子データの送信ではなく印刷して税務署に郵送することもでき、その場合、電子証明書は不要です。
また、定期的に支払う保険料を一定年数分まとめて前納した場合などは、保険会社が前納保険料を一旦預かって、納付期間中はそこから毎年納めていることになりますので、その間保険料控除を毎年受けることができます。保険会社から毎年1年分の保険料に相当する保険料控除証明書が送られてきますので、忘れずに申告してください。一方、保険料が一括払いの終身保険や年金保険などの場合は、その年だけの保険料控除になります。
年末調整や確定申告で生命保険料控除を行うと、翌年の住民税でも生命保険料が控除されます。住民税は、確定申告や年末調整の結果を受けて、自治体が計算して徴収します。ただし、所得税と住民税では保険料の控除額が異なり、新制度での控除額は区分毎に最高2万8千円、旧制度での控除額は最高3万5千円、全ての区分の合計では最高7万円に制限されます。
なお、令和4年度の税制改正要望では、所得税における生命保険料控除の上限を12万円から15万円(保険区分毎の上限を5万円)に引き上げる要望が出されており、実現されると多少なりとも減税になる方も多いと思います。
(出典:「生命保険料控除」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1140.htm)を元にライフプラン・シム作成)
子育て世帯への新型コロナ臨時特別給付金をめぐって、世帯主の所得なのか、世帯の所得なのかという議論がありましたが、そもそも世帯主とは何なのか、また、さまざまな制度が誰の所得で判定するのかについて見ておきましょう。
「世帯主」について定めた法律は無いようですが、厚生労働省の平成13年都道府県知事あての国民健康保険に関する通知によると、「世帯主」とは、通常「社会通念上、世帯を主宰する者」と定義されており、「世帯を主宰する者」とは、「主として世帯の生計を維持する者であって、その世帯を代表する者として社会通念上妥当とみとめられる者」と解されている、とあります。つまり世帯の中の主たる生計者ということになりますが、これについては、世帯主にはどんな役割があるかを知ることでその意味が分かると思います。そして、世帯主が誰であるかは住民票で示すことができ、厚労省の通知にあるように世帯の代表者ということになります。戸籍の筆頭者と同じ意味かと思われがちですが、それとは無関係で、同じである必要はありません。また、生計が独立しているなら、同一住所でも世帯分離が可能(二世帯住宅など)です。
①世帯主の主な役割
・世帯の代表として、選挙投票所入場券など行政からの通知受領。
・国民健康保険の世帯全員分の納付義務。
・国民年金の連帯納付義務(但し、配偶者も連帯納付義務者)。
このように、世帯主になることは納付義務を伴うことでもあり、世帯主を選ぶ時の判断基準になるかと思います。一方で、支給や給付を受ける場合は、世帯主の所得で判定する場合、世帯の合計所得で判定する場合、世帯の他の方を含めた所得で判定する場合などにケースが分かれますので注意が必要です。これまで役立つコラムに投稿した記事などを中心に、それぞれの例を見ておきましょう。
②世帯主の所得で判定
・児童手当(正確には児童養育者、すなわち生計中心者)
③世帯の合計所得で判定
・生活保護(他に資産額や親族による援助可否などで判定)
・高等学校等就学支援金制度(正確には保護者等、すなわち親権者の合計所得)
・高額療養費制度(国民健康保険に加入の70歳未満の場合、世帯の定義は国民健康保険に加入の方)
④本人だけでなく世帯内の方の所得で判定
・65歳以上の介護保険料(本人が住民税非課税の場合、住民票の世帯)
・高額療養費制度(国民健康保険に加入の70歳未満の場合を除く)、高額介護合算療養費制度(世帯の定義は同じ医療保険に加入の方の場合と、住民票の世帯の場合あり)
・高額介護サービス費制度(住民票の世帯)
(注)医療保険での世帯の定義・・・同じ医療保険に加入している方
特に医療費・介護費については、少子高齢化に伴い年々増加していることから、本人の所得だけでなく、扶養義務等を考慮して世帯主や世帯の中で所得のある方を含めて判定する傾向にあります。
最後に世帯主の変更方法ですが、住民票で示すものであることから、住民票の変更届が必要になりますが、一旦決めてしまえば、あまり変更することは無いかと思います。
⑤世帯主の変更方法
・自治体への住民票の世帯主変更届(世帯主が亡くなった場合は、自治体により届け出不要の場合もあり)
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