役立つコラムに新しい記事「男女別年金受給額の分布」を投稿しました。 あくまでも事実を客観的に示したものですが、ご自分の将来の年金額やライフプランに目を向けるきっかけになれば幸いです。
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生命保険や医療保険、個人年金保険に加入して保険料を支払っている場合、所得税の課税所得を計算する際に、保険料の全額または一定の割合を課税所得から差し引く(控除する)ことができ、それによって所得税を軽減する生命保険料控除の税制があります。給与所得者でこれらの保険料を給与天引きにしている方は、年末調整の際に給与天引きの保険料については自動的に、そうでないものも申告すれば年末調整で納税額が調整され、確定申告せずに保険料が控除されます。一方、自営業者や年金所得者は確定申告が必要になりますし、申告漏れがあった給与所得者も確定申告すれば還付が受けられますので、年末を前に生命保険料控除について整理しておきましょう。なお、保険期間や受取人などによって控除の対象とならないものがありますので、詳しくは国税庁のホームページでご確認ください。
まず、平成22年に税制改正がなされたことにより、保険契約の締結日が平成23年12月31日以前と、平成24年1月1日以降で保険料控除の扱いが異なります。平成23年までに締結した保険は、一般生命保険と個人年金保険の2つに区分され、それぞれ最高5万円までの控除で、合計で最高10万円までの控除が受けられました。しかし、平成24年以降に締結の保険では、一般生命保険が一般生命保険と介護医療保険に分割され、それぞれ4万円までの控除が受けられるようになりました。また、これに合わせて個人年金保険の控除も上限が4万円に改正になり、3つの区分の合計で最高12万円までの控除が受けられるようになりました。
なお、保険料と控除額の関係は、単純に上限額まで保険料の全額が控除される訳ではなく、グラフに示すように、第一の一定額までは全額控除されるも、これを超過すると第二の一定額までは超過した保険料の半分が控除に加算され、さらに第二の一定額を超過すると上限額に達するまで、超過した保険料の1/4が控除に加算されます。また、新制度と旧制度の保険の両方に加入する場合には注意が必要です。①旧制度の保険料が6万円を超過する場合は、旧制度での保険料控除の計算を行った上で最高5万円までの控除を受けることができますが、②旧制度の保険料が6万円以下の場合は、新制度と旧制度それぞれの控除額の計算を行って合計した金額の上限が4万円に制限されます。これは、旧制度で6万円の保険料の場合、4万円の控除額となりますので、これが新制度での上限額に達するという意味です。そして、旧制度の控除額だけで4万円の上限を超える場合は、旧制度の計算のみを使用して5万円を上限にすることができるということになります。なお、いずれの場合も、全ての区分の控除額の合計は最高12万円に制限されます。
これらの計算の仕方は分かりにくいですが、インターネットを利用したe-taxでの確定申告を行うと、新契約、旧契約の年間保険料を入力するだけで自動で控除額を計算してくれますので、e-taxによる確定申告をお勧めします。10月以降くらいから、契約の保険会社から保険料控除証明書が送られてきますので、それを集めておいて、保険の区分と保険料をe-taxに入力して行くだけです。控除証明書を電子データで受取ることもできます。なお、e-taxで確定申告書や確証などの電子データをインターネットで送信する場合には電子証明書(マイナンバーカードなど)などが必要になります。電子データの送信ではなく印刷して税務署に郵送することもでき、その場合、電子証明書は不要です。
また、定期的に支払う保険料を一定年数分まとめて前納した場合などは、保険会社が前納保険料を一旦預かって、納付期間中はそこから毎年納めていることになりますので、その間保険料控除を毎年受けることができます。保険会社から毎年1年分の保険料に相当する保険料控除証明書が送られてきますので、忘れずに申告してください。一方、保険料が一括払いの終身保険や年金保険などの場合は、その年だけの保険料控除になります。
年末調整や確定申告で生命保険料控除を行うと、翌年の住民税でも生命保険料が控除されます。住民税は、確定申告や年末調整の結果を受けて、自治体が計算して徴収します。ただし、所得税と住民税では保険料の控除額が異なり、新制度での控除額は区分毎に最高2万8千円、旧制度での控除額は最高3万5千円、全ての区分の合計では最高7万円に制限されます。
なお、令和4年度の税制改正要望では、所得税における生命保険料控除の上限を12万円から15万円(保険区分毎の上限を5万円)に引き上げる要望が出されており、実現されると多少なりとも減税になる方も多いと思います。
(出典:「生命保険料控除」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1140.htm)を元にライフプラン・シム作成)
子育て世帯への新型コロナ臨時特別給付金をめぐって、世帯主の所得なのか、世帯の所得なのかという議論がありましたが、そもそも世帯主とは何なのか、また、さまざまな制度が誰の所得で判定するのかについて見ておきましょう。
「世帯主」について定めた法律は無いようですが、厚生労働省の平成13年都道府県知事あての国民健康保険に関する通知によると、「世帯主」とは、通常「社会通念上、世帯を主宰する者」と定義されており、「世帯を主宰する者」とは、「主として世帯の生計を維持する者であって、その世帯を代表する者として社会通念上妥当とみとめられる者」と解されている、とあります。つまり世帯の中の主たる生計者ということになりますが、これについては、世帯主にはどんな役割があるかを知ることでその意味が分かると思います。そして、世帯主が誰であるかは住民票で示すことができ、厚労省の通知にあるように世帯の代表者ということになります。戸籍の筆頭者と同じ意味かと思われがちですが、それとは無関係で、同じである必要はありません。また、生計が独立しているなら、同一住所でも世帯分離が可能(二世帯住宅など)です。
①世帯主の主な役割
・世帯の代表として、選挙投票所入場券など行政からの通知受領。
・国民健康保険の世帯全員分の納付義務。
・国民年金の連帯納付義務(但し、配偶者も連帯納付義務者)。
このように、世帯主になることは納付義務を伴うことでもあり、世帯主を選ぶ時の判断基準になるかと思います。一方で、支給や給付を受ける場合は、世帯主の所得で判定する場合、世帯の合計所得で判定する場合、世帯の他の方を含めた所得で判定する場合などにケースが分かれますので注意が必要です。これまで役立つコラムに投稿した記事などを中心に、それぞれの例を見ておきましょう。
②世帯主の所得で判定
・児童手当(正確には児童養育者、すなわち生計中心者)
③世帯の合計所得で判定
・生活保護(他に資産額や親族による援助可否などで判定)
・高等学校等就学支援金制度(正確には保護者等、すなわち親権者の合計所得)
・高額療養費制度(国民健康保険に加入の70歳未満の場合、世帯の定義は国民健康保険に加入の方)
④本人だけでなく世帯内の方の所得で判定
・65歳以上の介護保険料(本人が住民税非課税の場合、住民票の世帯)
・高額療養費制度(国民健康保険に加入の70歳未満の場合を除く)、高額介護合算療養費制度(世帯の定義は同じ医療保険に加入の方の場合と、住民票の世帯の場合あり)
・高額介護サービス費制度(住民票の世帯)
(注)医療保険での世帯の定義・・・同じ医療保険に加入している方
特に医療費・介護費については、少子高齢化に伴い年々増加していることから、本人の所得だけでなく、扶養義務等を考慮して世帯主や世帯の中で所得のある方を含めて判定する傾向にあります。
最後に世帯主の変更方法ですが、住民票で示すものであることから、住民票の変更届が必要になりますが、一旦決めてしまえば、あまり変更することは無いかと思います。
⑤世帯主の変更方法
・自治体への住民票の世帯主変更届(世帯主が亡くなった場合は、自治体により届け出不要の場合もあり)
一つ前の記事 に、高所得者に対する高額介護サービス費の負担限度額(月額)が改正になったことについて説明しましたが、高額介護サービス費だけでなく、高額療養費(月額)、ならびに両方を合算した限度額(年額)もあります。それぞれ、年齢や所得に応じた限度額を超過した場合に、申告により超過分の支給が受けられる制度です(時効2年)。ただし、加入する医療保険や年齢で所得区分の定義が異なっていて複雑であるため、ここで横並びにして整理しておきたいと思います。
高額療養費(入院時の食費や保険の対象とならない差額ベッド料、部屋代などは対象外)については、月額の負担額に上限が設けられており、加入している医療保険に申請すると超過分が支給されます。医療保険は被用者保険(雇用者向けの健康保険)、国民健康保険(自営業者、年金受給者など、以降「国保」と記載)、後期高齢者医療保険(全ての75歳以上の方、以降「後期高齢者」と記載)の3つに分かれており、被用者保険とそれ以外で、限度額の所得区分の判定の仕方が異なります。ただし、共通の考え方として、現役並み所得者(70歳以上で窓口負担3割など)かどうかと、低所得者(住民税非課税世帯)かどうかを判定し、それ以外を一般として区分しています。低所得者の限度額を引き下げて負担を軽くする一方で、少子高齢化による医療費対策として高所得者(現役並み所得者)の限度額を引き上げる傾向にあります。なお、療養費の合算範囲の世帯は通常の世帯とは定義が異なり、同じ医療保険に加入している方となります。また、70歳未満の方の場合、合算対象は1人1医療機関(レセプト=診療報酬の請求書)につき21,000円/月以上の自己負担の医療費に限られます。一方、所得区分においての世帯は、保険や所得区分により定義が異なりますので注意が必要です。
高額介護サービス費(食費や居住費、利用限度額を超えた全額自己負担の介護サービス費などは対象外)についても、月額の負担額に上限が設けられており、加入している市区町村の介護保険に申請すると超過分が支給されます。高額療養費に合わせて、高所得者の負担限度額が引き上げられています。
高額介護合算療養費については、高額療養費と高額介護サービス費の負担額の年間合計額に限度額が設けられており、加入している医療保険に申請すると、医療保険、介護保険の自己負担比率に応じて両方の制度から超過分が支給されます。
それでは、所得区分、合算範囲について細かく見ていきましょう。
①被用者保険
所得区分:被保険者の標準報酬月額の等級によって判定。低所得者は被保険者および扶養者の所得で判定。
合算範囲:被保険者が扶養している範囲(扶養要件に合う方)。
②国民健康保険
所得区分:高所得者は、70歳未満の方は住民票の世帯内の国保加入者全員の所得※1の合計で判定し、70歳以上の方は同加入者の中で最も課税所得※2の多い方で判定。低所得者は同加入者全員のそれぞれの所得で判定。
合算範囲:同世帯内で国民健康保険に加入する方全員。
※1)所得:前年の総所得金額(一例として、年金収入から公的年金控除額を差し引き、配当所得などその他の所得を合計した金額)から住民税の基礎控除のみを差し引いた金額。
※2)課税所得:所得から基礎控除だけでなく、配偶者控除や社会保険料控除などの全ての控除を差し引いた、住民税が課税される所得金額。
③後期高齢者医療保険
所得区分:高所得者は住民票の世帯内の後期高齢者の中で最も課税所得の多い方で判定。低所得者は同世帯全員のそれぞれの所得で判定。
合算範囲:同世帯内で後期高齢者医療保険に加入する方全員。
④介護保険
所得区分:高所得者は住民票の世帯内で最も課税所得の多い方で判定。低所得者は同世帯全員のそれぞれの所得で判定。
合算対象:世帯内で介護サービスを受けている方全員。
⑤高額介護合算療養費制度
所得区分:それぞれ加入する医療保険の所得区分に準じる。
合算対象:住民票の世帯内で同じ医療保険に加入する方全員。
なお、高額療養費ならびに高額介護合算療養費において、現役並み所得者であっても、70歳以上の方の収入金額が単身世帯で383万円未満、2人以上の世帯で520万円未満の場合などは、申請により一般(2割負担)になります。また、70歳未満の方と70歳以上の方が混在する場合、70歳以上の方の負担限度額から支給額を求め、残った自己負担額と70歳未満の方の自己負担額を合算して、70歳未満の方の負担限度額から支給額を求め、双方の支給額を合算します。
高額療養費については、事前に「限度額適用認定証」などを申請すれば、窓口で限度額を超過する負担額を支払う必要がなくなります。また、大企業の被用者保険(健康保険組合)では高額療養費に独自の付加給付や、自治体によっては医療費助成の制度もあり、さらに自己負担額が軽くなる場合がありますのでお確かめください。
これらの制度は複雑で分かりにくいため、高額な療養費、介護サービス費を支払った場合や支払う可能性がある場合は、ご加入の医療保険や、介護保険の場合は市区町村でお確かめください。
(出典:「高額介護合算療養費・高額医療合算介護サービス費の概要」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/content/000937919.pdf)および「高額療養費制度を利用される皆さまへ」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken13/dl/100714a.pdf)を元にライフプラン・シム作成)
令和3年(2021年)8月から、高所得者に対する介護サービス費の自己負担限度額が引き上げられました。具体的には、これまで介護サービスの利用者または同一世帯の65歳以上の方に住民税が課税されている場合については、一律で月額44,000円が自己負担の上限額として設定されていました。しかし、令和3年8月からは、課税所得が380万円(収入では約770万円)以上、690万円(収入では約1,160万円)未満の方は、自己負担の上限額が月額93,000円に、課税所得が690万円(収入では約1,160万円)以上の方は、自己負担の上限額が月額140,100円に引き上げられました。これらの上限額は、同一世帯に介護サービスを利用される方が複数人いらっしゃる場合はその合計額(世帯合計)に対する上限となります。なお、課税所得とは、所得(例えば公的年金収入から公的年金等控除額を差し引いた金額や、配当所得などの合計金額)から基礎控除や配偶者控除、社会保険料などの所得控除を差し引いた、住民税が課税される対象の金額のことを言います。
また、介護保険施設(介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院)を利用される方の食費や住居費については、介護サービス費用に含まれませんが、低所得の方への助成(補足給付)があります。今回、助成が受けられる要件の預貯金基準額が見直されると共に、食費の負担限度額が見直されました。具体的には表に示すように、収入金額に応じて助成が受けられる預貯金の基準額が引き下げられ、これまでより厳しくなりました。また、住民税非課税対象者で、老齢福祉年金を受給されている方や生活保護を受給されている方を除き、収入金額に応じて食費の負担限度額(日額)が引き上げられました。補足給付の対象でない方は、施設と利用者の間の契約により定められており、今回の改定で、平均的な費用の額(基準費用額)は、日額1,392円から1,445円に見直されていることから、契約金額が見直しされる可能性があります。
(出典:「介護保険施設における食費・居住費と高額介護サービス費の負担限度額が令和3年8月1日から変わります」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/content/000778218.pdf) を元にライフプラン・シム作成)
【ご注意】令和5年度の税制改正で、以下の令和2年度のNISA制度の延長が見直され、2024年から「新NISA」に生まれ変わることとなりました。詳しくは「新NISA(ニーサ)の改正点」 をご覧ください。(2023/12/6 追記)
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令和2年度の税制改正において、NISA制度の延長・見直しが決定されました。改正の内容は以下の3点になります。
①つみたてNISAについては、現行の制度のまま、制度期限を2037年→2042年に5年間延長
②一般NISAについては、制度を見直した上、制度期限を2023年→2028年に5年間延長
③ジュニアNISAについては、延長せずに2023年末に終了
①のつみたてNISAについては、期限が5年間延長されたことで、今からつみたてNISAを始めようとする方も、新たに20年間積立てることができます。
③のジュニアNISAは、未成年者名義で、1年間80万円の枠内で投資(購入)し、最長5年間の非課税での運用ができ、5年経過すると、18歳まで引き出し制限のある非課税口座で成年年齢まで保有することができる制度です。利用者が少なく、新たな投資は2023年末で終了となります。成年年齢後は一般NISA口座が自動的に開設され、移行することも可能です。なお、今回の改正で、2024年以降は18歳未満の非課税での引き出しが可能となります。
②の一般NISAについては、上記2件の改正内容と比較してやや複雑ですが、2024年からは一般NISAが新NISA(仮称)に変更になって、5年間延長されることになります。図に改正の概要を示していますが、1階部分の積立て投資枠と、2階部分の株式投資枠に分割され、原則、1階部分の積立て投資を行う場合のみ、2階部分の投資枠が使える仕組みに変わります。1階部分は年間20万円の投資枠で、つみたてNISAで投資可能な商品のみに投資可能となります。2階部分は基本的に現行の一般NISAに準じるものの、比較的安全な対象商品に絞られ(レバレッジを利かせた投資信託や、上場株式のうち整理銘柄・管理銘柄などは対象外)、投資枠は年間102万円になります。1階部分の枠を使い切る必要はなく、1階、2階同時購入も可能です。また、1階部分は5年経過後につみたてNISAにロールオーバーすることも可能です。
なお、現在一般NISA口座を利用している方は、2024年以降、新NISAに全額ロールオーバーすることができます(現在のロールオーバーの仕組みと同様)。あるいは、ロールオーバーせずに新たな投資を行うかになりますが、この場合には、1階部分と2階部分で購入できる商品に違いがあり、それぞれ枠がありますので、注意が必要です。また、これまで一般NISAを利用していた方や、上場株式等の取引経験のある方は、1階部分の積立て投資枠を使わなくても、「上場株式」に限って2階部分の枠を使うことが可能です。
ロールオーバーとは、一般NISA口座での非課税での運用期間の5年が経過した際に、新たな投資枠(現行では年間120万円)を使って非課税での運用を5年間延長できる制度です。運用益を含めた評価額が投資枠を超過していても全額移行することができます。ただし、ロールオーバーが投資枠を超過すると、新たな投資はできないことになります。なお、ロールオーバーを選ばない場合は課税口座に移すことになり、その後の運用益に対して課税されます。
(出典:「新しいNISA制度の概要と改正の狙い」(金融庁)(https://www.fsa.go.jp/frtc/kikou/2019/20200203_P32-35.pdf)を元にライフプラン・シム作成)
児童手当が改正され、2024年10月から適用になります。詳しくは「児童手当、児童扶養手当の改正」 をご覧ください。(2024/2/22 追記)
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役立つコラムでは児童手当についても「子どもに関係する手当、給付」 でその概要を説明していますが、児童手当の給付を受けられるのは、中学生までの児童を養育している方で、所得が一定額未満である要件があります。この所得制限額は、扶養親族の人数によって異なりますが、例えば扶養親族が3人(配偶者と児童2人など)のケースでは、所得で736万円未満、収入の目安としては約960万円未満の場合に支給されます。支給金額は、3歳までは児童1人当たり月額15,000円、3歳以上は10,000円(小学生までは第3子以降15,000円)です。なお、所得制限額以上の場合には、児童1人当たり月額5,000円の「特例給付」があり、これにより中学生までの児童を養育する全ての方に給付がある、というのが現在の児童手当です。
これに対して、令和3(2021年)年5月に「子ども・子育て支援法及び児童手当法の一部を改正する法律」が成立し、上記の「特例給付」についても所得制限が設けられることになりました。令和4年(2022年)10月の支給分から変更になります。具体的には、上記の扶養親族3人のケースでは、所得で972万円未満、年収の目安としては約1,200万円が「特例給付」の上限となります。その他の扶養親族の人数に応じた所得制限額は表のとおりです。
また、同時に、これまで毎年提出する義務のあった現況届について、公簿等により現況届で届け出されるべき内容を確認することができる場合は原則不要となり、手続きの負担軽減が図られます。ただし、届け出内容に変更があった場合には変更届の提出が必要になったり、自治体から現況届の提出が必要と判断された場合には、引き続き現況届を提出する必要があります。詳細は、出典元の資料をご参照ください。
(出典:「児童手当制度のご案内」(こども家庭庁)(https://www.cfa.go.jp/policies/kokoseido/jidouteate/annai)他を元にライフプラン・シム作成)
(2024/2/22 リンク先変更)
個人型確定拠出年金(iDeCo)は、掛金が社会保険料として所得から控除され、運用益も非課税になるメリットがある、個人向けの年金制度です。勤務している企業が採用する年金制度によって、拠出可能な掛金の上限額が異なるものの、公的年金を補完する個人年金の一つです。詳しくは、役立つコラムの記事「個人年金保険とiDeCo、つみたてNISAの比較」 もご覧ください。
令和2年の確定拠出年金制度改正に伴い、
①iDeCoの受給開始時期の上限が70歳→75歳に延長(2022年4月~)
②加入可能年齢が60歳未満→65歳未満に拡大(2022年5月~)
③企業型確定拠出年金(企業型DC年金)加入者のiDeCo加入要件の緩和(2022年10月~)
の3点が改正になり、iDeCoの利用の幅が広がります。
①については、これまでiDeCoの受給開始時期は、60歳以降70歳に達するまでの間で選択することができました。但し、加入期間が10年未満の場合は、加入期間が短いほど受給開始年齢が徐々に上がり、加入2年未満では65歳以降となります。今回の改正により、受給開始時期の上限年齢が70歳までから75歳までに延長され、その間も運用することができるようになりました。
②については、これまでiDeCoへの加入要件としては、公的年金に加入している(国民年金の第3号被保険者=厚生年金加入者に扶養されている配偶者、を含む)60歳未満の方が加入対象でしたが、今回の改正により、65歳未満の公的年金加入者に拡大されました。60歳以上65歳未満の厚生年金加入者だけでなく、60歳以上65歳未満の国民年金任意加入者も対象として加わり、長く加入して年金原資を増やすことができるようになりました。厚生年金加入者に扶養されている60歳以上の配偶者は、第3号被保険者ではありませんので、国民年金に任意加入している必要があります。国民年金の任意加入の詳細については、役立つコラムの「国民年金の任意加入」 もご覧ください。
③については、これまで企業型DC年金に加入している方がiDeCoに加入する要件として、企業型DC年金の事業主掛金の上限額を、企業型DC年金のみを実施している企業は月額55,000円→35,000円に、併せて確定給付企業年金(DB年金)等を実施している企業は月額27,500円→15,500円に引き下げて、iDeCoとの併用を認めることを年金規約に定めた企業に限られていました。この場合の個人型DC年金の掛金上限は、それぞれ月額20,000円、12,000円となります。今回の改正では、このような企業型DC年金とiDeCoとの併用を規約で定める必要を無くし、企業型DC年金の事業主掛金とiDeCoの掛金の合計額の上限がそれぞれ月額55,000円、27,500円の範囲であれば、iDeCoに加入(iDeCoの掛金の上限は変わらず)できるようになりました。
ただし、企業型DC年金において、加入者掛金による上乗せ拠出(マッチング拠出と言う)をしている場合は、上記の要件を満たしていてもiDeCoには加入できません。また、iDeCoの給付金を既に受給している方も、今回の改正で要件を満たした場合であってもiDeCoには再加入できません。同様に、公的年金を65歳前に繰り上げ受給されている方(特別支給の老齢厚生年金を繰上せずに受給する方は除く)も、今回の改正で要件を満たしていてもiDeCoには加入できません。
なお、iDeCoの掛金上限額に変更はなく、上記以外では、国民年金第1号被保険者は月額68,000円(国民年金基金との合算)、第3号被保険者は月額23,000円、公務員等は月額12,000円などとなっています。
(出典:「確定拠出年金制度/2020年の制度改正」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/kyoshutsu/2020kaisei.html#20220401)を元にライフプラン・シム作成)
退職金については、給与所得、事業所得などとは分離して単独で課税され、勤続年数に応じた所得控除がなされた上で、超過累進課税されます。例えば、勤続20年以下の場合の退職所得(課税対象金額)は、
(退職金額-40万円×勤続年数※)×1/2
※端数の月数は1年に切り上げ
で計算されます(勤続20年を超える場合は、別の計算式を適用)。ただし、役員等に対する退職金で、役員等の勤続年数が5年以下の場合に限って計算式の1/2が適用されないという所得控除の制限があります。
しかし、このたびの令和3年度の税制改正により、令和4年(2022年)1月1日からは、役員等でない場合において、勤続5年以下の短期退職者に対する退職金所得については、次のように計算されることなりました。役員等についてはこれまで通りです。
①退職金額-40万円×勤続年数 ≦ 300万円の場合
(退職金額-40万円×勤続年数)×1/2
②退職金額-40万円×勤続年数 > 300万円の場合
150万円+退職金額-(300万円+40万円×勤続年数)
すなわち、退職金のうち、①-1)40万円×勤続年数で計算される退職金控除額までは非課税、①-2)退職金控除額+300万円までの部分については1/2に控除、②)それを超える部分には1/2の控除が無く退職所得に加算、ということで、勤続年数が5年の方で500万円以上の退職金を受領される方(勤続年数が1年減る毎にボーダー金額が40万円下がる)にとっては増税になります。例えば、勤続5年の方は、200万円までが非課税、200万円~500万円までは半分の150万円が退職所得に加算され、500万円を超える部分については、これまで半分だけ加算されていたところ、令和4年からは全額が退職所得に加算されて課税されます。
なお、適用されるのは、退職日が令和4年1月1日以降の場合であり、退職日が令和3年12月31日以前で、退職金を令和4年1月1日以降に受領しても、改正前の計算式が適用されます。また、ライフプランシミュレーションでは、これまでの役員等の短期退職金に対する退職所得の計算式、並びに今回の税制改正の計算式の変更は加味しておりませんので、ご了承ください。
(出典:「勤続年数が5年以下の者に対する退職手当等(短期退職手当等)」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2740.htm)を元にライフプラン・シム作成)
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