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    役立つコラムに新しい記事「社会保険料の壁の撤廃と上限の引上げ」を投稿しました。今後3年以内に「106万円の壁」が撤廃されます。また、高収入者の厚生年金保険料の上限が段階的に引上げられます。詳しくは記事をお読みください。

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社会保険料の壁の撤廃と上限の引上げ


 2025/07/17

 [年金・退職金]

123

iDeCoの拠出限度額、加入年齢の引上げ


 2025/06/27

 [年金・退職金]

122

大学生の年収の壁の引上げ


 2025/05/27

 [税金]

121

税金の年収の壁の引上げ


 2025/05/19

 [税金]

119

遺族基礎年金の受給要件と受給対象者


 2025/03/22

 [年金・退職金]

118

高年齢雇用継続給付の縮小


 2025/02/05

 [ライフプラン]

117

男女別年金受給額の分布


 2025/01/10

 [年金・退職金]

8件/全124件

社会保険料の壁の撤廃と上限の引上げ
拡大可

 令和7年度の年金制度改正により、厚生年金保険や健康保険などの社会保険に加入となる賃金要件、いわゆる「106万円の壁(社会保険料の壁)」が3年以内に撤廃されることになりました。これによって、最低賃金の引上げに伴い、年収を気にしながら働き控えをする必要はなくなります。

 また、法人の企業規模要件も10年かけて段階的に撤廃され、個人事業所の業種制限も4年後に撤廃されることになり、社会保険への加入対象が拡大されます。これによって新たに社会保険に加入する事業主、労働者には、3年に限って保険料の支援策が用意され、移行しやすくしています。とは言え、期間は限られますので、その間に賃金を増やすなどの対策が、労使ともに求められることになります。

1.社会保険加入への賃金要件の撤廃

 これまで、パート・アルバイトや契約社員などの短時間労働者が社会保険に加入となる要件のひとつとして、月収が88,000円以上という賃金要件がありました。これを年収に換算すると1,056,000円(約106万円)となり、これを超えると社会保険料を徴収されて手取りが減ることから、「106万円の壁」と言われてきました。

 今回の改正では、全国の最低賃金の状況を見ながら、この賃金要件が3年以内に撤廃されることになりました。これによって、最低賃金が引上げられたからと言って、労働時間を減らすような働き控えは減ることが期待されます。学生以外で、2ヶ月を超えて継続して働く労働者側から見た社会保険加入要件としては、週の勤務が20時間以上(残業時間を除く)、が残ることになります。

2.社会保険加入への企業規模要件の段階的撤廃

 次に、事業主側から見た企業規模要件ですが、現在は従業員数51人以上の法人が社会保険加入の対象となっています。この企業規模要件が10年かけて段階的に緩和され、2035年10月に撤廃されます。

 具体的には、表(上)に示すように、2027年10月からは36人以上に、2029年10月からは21人以上に、2032年10月からは11人以上に、そして2035年10月には10人以下の全ての法人も対象となり、企業規模要件は撤廃されることになります。

3.個人事業所の社会保険加入対象の拡大

 現在、個人事業所については、常時5人以上の従業員がいる事業所で、法律で定める17業種のみが社会保険加入の対象となっています。2029年10月からは、この業種制限が撤廃され、これまで対象ではなかった農業、漁業、林業や、宿泊業、飲食サービス業など、すべての業種が対象となります。

 なお、2029年10月時点で既に存在している、17業種以外で5人以上の個人事業所については、当分の間、対象外になります。また、5人未満の個人事業所については、これまで通り対象外です。

4.短時間労働者の保険料に対する時限的支援

 社会保険料は基本的に労使折半ですが、今回の企業規模要件や業種制限の撤廃により、新たに社会保険の対象となる短時間労働者の保険料の一部を、事業主が3年間追加負担した場合に、国などがその全額を支援して、事業主と労働者の負担を軽減します。

 労働者の賃金によって労働者の負担率が異なり、月8.8万円(年収106万円)では、労働者は本来の負担の25/50(半分)を負担すればよく、賃金が増えるにしたがって段階的に負担率が上昇し、月13.4万円(年収161万円)では50/50(全額)を負担することになります。ただし、3年目は軽減率が半減となります。賃金レンジごとの負担率は、表(下)をご覧ください。

 例えば、標準報酬月額が88,000円の短時間労働者(40歳~64歳)は、厚生年金保険料が月額8,052円(保険料率9.15%)、健康保険料(協会健保の東京都の場合)が月額5,060円(保険料率5.75%)の合わせて13,112円(合計保険料率14.9%)が徴収されますが、これが最初の2年間は50%減の6,556円に、3年目は25%減の9,834円に軽減されます。

5.標準報酬月額の上限の段階的引上げ

 厚生年金の保険料や年金額の計算に使う標準報酬月額の上限が、65万円から75万円に引上げられます。具体的には2027年9月からは68万円、2028年9月からは71万円、2029年9月からは75万円に段階的に引上げられます。これにより、高収入の方の保険料が上がるものの、将来受け取れる年金額も増加します。

 例えば、標準報酬月額が今回の改正で上限75万円に該当する方は、現在(上限65万円)よりも保険料が月額+9,100円となりますが、この上限の引上げに10年間該当したとすると、将来受け取れる年金額は月額約+5,100円となり、終身で受け取れます。一定の前提の下での試算では、社会保険料控除を加味すると、保険料の正味の増加額は月額約+6,100円、年金額の税引き後の増加額は月額約+4,300円となります。

(出典:「年金制度改正法が成立しました」(厚労省)(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00017.html)を元に、ライフプラン・シム作成)


iDeCoの拠出限度額、加入年齢の引上げ
拡大可

 令和7年度の税制改正、年金制度改正法案が可決されました。この記事では、iDeCoに関係する改正内容について取り上げます。

拠出限度額の引上げ

 会社員や公務員の方がiDeCoに加入する場合には、他の年金制度への加入有無によって、iDeCoへの拠出額に独自の上限が設けられています。昨年(令和6年)12月には、確定給付企業年金(DB年金)にも加入する方のiDeCoへの拠出限度額が、月額12,000円から20,000円に引上げられたばかりでした。昨年12月以降のiDeCoへの拠出限度額を、上の図のピンク色の部分”iDeCo月額〇〇万円”で示しています。

 今回の改正では、このiDeCo独自の拠出限度額が、他の年金制度への加入、未加入にかかわらず撤廃され、他の年金制度と合わせた共通の拠出限度額まで拠出可能になります。図ではピンク色の下矢印で示しています。

 ただし、国民年金第3号被保険者(厚生年金被保険者の扶養配偶者)の限度額に変更はありません。また、企業型DC年金の事業主の拠出額に上乗せする加入者掛金(マッチング拠出)は、事業主の拠出額を超えられない制限がありましたが、これも撤廃されます。

 さらに、この共通の拠出限度額が一律7,000円引上げられ、国民年金1号被保険者(国民年金被保険者)は、これまでの68,000円から75,000円に、国民年金第2号被保険者(厚生年金被保険者)は、55,000円から62,000円に引上げられます。図では橙色の上矢印で示しています。

 なお、これらの拠出限度額の引上げは、今後3年以内の実施となっています。

加入(拠出)可能年齢の引き上げ

 これまでiDeCoに加入できる方は、図の左下に示すように、国民年金や厚生年金に加入している方でした。詳しくは、国民年金に加入している60歳未満の方(国民年金第1号被保険者)、または国民年金に任意加入している65歳未満の方、あるいは厚生年金に加入している65歳未満の方(同第2号被保険者)とその扶養配偶者である60歳未満の方(同第3号被保険者)で、老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付を受給していない方でした。

 iDeCoの加入可能年齢を過ぎると、新たに掛金を拠出して積立てることはできず、最長75歳未満で老齢給付を受給開始するまでは、積立てた拠出金を運用するだけ(運用指図者)でした。

 今回の改正では、図の右下に示すように、iDeCoの加入者、運用指図者であった方が、60歳、あるいは65歳を過ぎて、国民年金や厚生年金に加入していなくても、老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付を受給していなければ、70歳まで加入することができるようになります。退職に伴い、企業型DC年金などの他の年金をiDeCoに移換する方も、継続して70歳まで掛金を拠出することができるようになります。

 掛金の拠出が継続できることで、積立額を増やせるだけでなく、掛金は社会保険料控除の対象となりますし、加入月数が増えることで、一時金で受給する際の退職所得控除額が増えるなど、節税につながります。

 なお、この加入年齢の引上げも、今後3年以内の実施となっています。

一時金受給での5年ルールの延長

 確定拠出年金(企業型DC年金やiDeCo)を60歳で一時金として受給して、5年経過した65歳で退職金を受け取る場合は、別の退職所得として見なすことができ、それぞれに退職所得控除が適用されます。

 一方、65歳になる年の前年以前に受け取る場合は、同一の退職所得と見なされ、重複している勤務年数(加入年数)に相当する退職所得控除額を、後から受け取る退職金の退職所得控除額から減額しなければなりません。

 この調整規定を”5年ルール”(もしくは”前年以前4年以内”)と言います。詳しくは、記事「確定拠出年金の賢い受け取り方」 をご覧ください。

 今回の改正では、65歳までの雇用確保の義務化、さらには70歳までの雇用確保の努力目標化を受けて、この”5年ルール”が”10年ルール”に延長されます。この”10年ルール”は、2026年1月1日以降に受け取る退職金、確定拠出年金の一時金などに適用されます。

 ちなみに、今回の改正とは関係ありませんが、退職金を受け取った後に確定拠出年金を一時金で受給する場合には、”20年ルール”が適用されます。

(出典:「年金制度改正法が成立しました」(厚労省)(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00017.html)、
「令和7年度税制改正」(財務省)(https://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei2025_pdf/zeisei25_01.pdf)、
「令和7年4月源泉所得税改正のあらまし」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/2025kaisei.pdf)を元に、ライフプラン・シム作成)


大学生の年収の壁の引上げ
拡大可

 年齢が19歳以上23歳未満(大学生相当)の扶養親族がいて、その親族が所得要件を満たす場合に、扶養者(親など)の所得税の計算において、所得から「特定扶養控除」の63万円が差し引かれます。

 これまで、この扶養親族の所得要件は、所得税が非課税となる48万円以下でしたが、令和7年度の税制改正により85万円に緩和されました。これを給与収入ベースに置き換えると、いわゆる大学生のバイトの年収の壁が「103万円の壁」から「150万円の壁」に引上げられることになります。

 内訳は、税制改正により、基礎控除額が48万円から58万円に+10万円引上げられたことにより、扶養控除などの対象となる扶養親族の所得要件が一律58万円に緩和されたことと、所得が58万円を超過する場合でも、「特定親族特別控除」を創設することにより、+27万円の85万円まで緩和したことによるものです。

 さらに、給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円に+10万円引上げられたことから、これらを合計すると、給与収入ベースではこれまでより+47万円引上げられて150万円になりました。

 また、「特定親族特別控除」では、扶養親族の所得が85万円を超えたらすぐに控除額がゼロになるのではなく、所得85万円から5万円刻みで最大123万円まで、給与収入ベースでは150万円から188万円まで、控除額が63万円から段階的に減額されて控除されることになりました。具体的な所得レンジと控除額は、表をご覧ください。

 なお、大学生の他の年収の壁のうち「住民税の壁(100万円の壁)」は、給与所得控除の最低保障額の引き上げ分の+10万円のみ引上げられ「110万円の壁」になりましたが、「社会保険料の壁(106万円、130万円の壁)」は残ったままです。この社会保険料の壁は、厚生年金や健康保険への加入要件を見直して拡大し、将来的に撤廃する方向で議論が進められており、その行方と影響が注目されます。

関連記事

「税金の年収の壁の引上げ」

(出典:「令和7年度税制改正による 所得税の基礎控除の見直し等について(源泉所得税関係)」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/0025004-025.pdf)を元にライフプラン・シム作成)


税金の年収の壁の引上げ
拡大可

 年収の壁には、税金の壁(100万円、103万円)、社会保険料の壁(106万円、130万円)、配偶者控除の壁(150万円、202万円)があります。これらの詳細は、記事「配偶者の年収の壁」 をお読みください。このうち「103万円の壁」、すなわち所得税の税金の壁が改正になり、令和7年の年末調整や確定申告、令和8年の源泉徴収から適用になります。

 具体的には、給与収入者の低所得者層では「103万円の壁」が「160万円の壁」に引上げられます。その内訳は、①基礎控除額の10万円引上げ、②低所得者層の基礎控除額の37万円上乗せ、③中所得者層の基礎控除額の上乗せ特例、④給与所得控除の最低保障額の10万円引上げ、となっています。それぞれ、詳しく見ていきましょう。

①基礎控除額の10万円引上げ(恒久的措置)

 所得税の計算において、収入がある全ての方の所得から非課税枠である「基礎控除」が差し引かれます。過去を振り返ると、約30年前から基礎控除額は38万円に添え置かれてきました。

 働き方改革推進による平成30年の改正(令和2年から適用)で、給与所得控除額、公的年金控除額を10万円引き下げる代わりに、基礎控除額が38万円から48万円に見直されましたが、これは単なる振替にすぎません。

 また、同年の改正で所得制限が設けられ、所得が2,400万円以下の方は48万円、2,400万円超では32万円、2,450万円超では16万円に逓減され、2,500万円超では基礎控除は受けられなくなりました。

 しかし、昨今の物価上昇や最低賃金の引上げトレンドにより、基礎控除額を引上げるべきとの気運が高まり、令和7年度の税制改正で、30年間の物価上昇率を勘案して20%の引上げ、金額ベースで+10万円の58万円に引上げられました。これは、所得が2,350万円以下の方への適用で、2,350万円超の方に変更はありません。つまり、2,350万円超の方は48万円、2,400万円超の方は前述のとおり逓減されます。

 なお、今後の物価上昇により、基礎控除をどのように見直すかは引き続き検討されています。

②低所得者層の基礎控除額の37万円上乗せ(恒久的措置)

 所得税が非課税となる年収の壁が、主婦や学生がパート・アルバイトなどで働く機会を制限していることや、生活保護の所得水準、最低賃金の水準とのバランスが取れていないなどの意見から、低所得者層の基礎控除額に37万円を恒久的に上乗せする措置が取られました。

 所得制限としては所得132万円以下の方のみに限られ、給与収入のみの方では収入200万3,999円以下、年金収入のみの65歳以上の方では収入242万円以下の場合に、基礎控除額が95万円に引上げられます。なお、この上乗せ加算は、居住者(国内に生活の本拠となる住所があるか、現在まで引き続き1年以上居所がある者)のみに適用されます。

③中所得者層の基礎控除額の上乗せ特例(令和7・8年の時限措置)

 賃金上昇が物価上昇に追いついていないことへの対応で、令和7年、8年の時限的な措置として中所得者層の基礎控除額に、所得に応じた上乗せが行われます。

 具体的には表に示すように、所得336万円以下に対して基礎控除額が88万円(30万円の上乗せ)、所得489万円以下に対して68万円(10万円の上乗せ)、所得655万円以下に対して63万円(5万円の上乗せ)となっています。所得655万円超への上乗せはありません。それぞれの所得に相当する給与収入金額は表をご覧ください。なお、この上乗せ加算は②と同様に、居住者のみに適用されます。

 これまでと比較して、①③による所得控除額は、所得に応じて40万円~15万円の引上げになり、税額ベースでは2万円~4万円の税負担軽減になります。

④給与所得控除の最低保障額の10万円引上げ

 最後は、給与所得控除額の最低保障額の引上げです。前述のように、令和2年から基礎控除額と振替で給与所得控除額が10万円引き下げられ、最低保障額は55万円となっていました。②と合わせた低所得者層への非課税枠の拡大の観点から、給与収入190万円以下の給与所得控除が65万円に引上げられました。給与収入190万円超では変更はありません。

 なお、②と④を合わせて、給与収入が約200万円以下の方の基礎控除額が95万円+給与所得控除額が65万円となり、合わせて160万円までは所得税が非課税となります。これで、「103万円の壁」が「160万円の壁」に引上げられることになります。

その他の年収の壁

 今回の令和7年度の税制改正では、住民税の基礎控除額については、地方自治体の財政の状況から据え置きとなっており、もうひとつの税金の壁である「100万円の壁」は給与所得控除の引き上げ分だけ上昇して「110万円の壁」となります。

 また、社会保険料の壁では、厚生年金や健康保険への加入要件を見直して拡大し、社会保険料の壁を将来的に撤廃する方向で議論が進められています。同様に、配偶者控除の壁についても、夫婦共働き世帯の増加などにより、廃止について議論が進められています。

(出典:「令和7年度税制改正による 所得税の基礎控除の見直し等について(源泉所得税関係)」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/0025004-025.pdf)を元にライフプラン・シム作成)


自己都合退職でも教育訓練の受講で失業手当がすぐにもらえる
拡大可

 令和7年4月1日以降に、リスキリングのための教育訓練等を受講すると、自己都合退職の場合でも、最短で7日間の待機期間満了後すぐに失業手当(雇用保険の基本手当)がもらえます。

 それでは、順を追って詳しく説明しましょう。

 これまでは、正当な理由なく自己都合退職した場合、基本手当の受給資格決定日(ハローワークに離職票を提出して求職を開始した日)から7日間の待機期間満了後、2ヶ月間は基本手当が給付されませんでした。これを「給付制限」といいます。ただし、離職日から遡って5年間で2回以上、正当な理由なく自己都合退職し受給資格を受けた場合、給付制限は3ヶ月となります。また、自己の責めに帰すべき重大な理由により解雇(重責解雇)された場合も、給付制限は3ヶ月となります。

 まず、この給付制限が、令和7年4月1日以降に離職した場合、1ヶ月に短縮されます。さらに、令和7年4月1日以降にリスキリングのための教育訓練等を受講すると、給付制限が短縮され、最も短いケースではゼロになります。つまり、7日間の待機期間満了後すぐに基本手当がもらえます。ただし、重責解雇の場合は対象外で、給付制限は短縮されません。

 ここで、対象の教育訓練等(令和7年4月1日以降に受講を開始したものに限る)は以下の通りです。

①教育訓練給付金の対象となる教育訓練
②公共職業訓練等
③短期訓練受講費(注1)の対象となる教育訓練
④ ①~③に準ずるものとして職業安定局長が定める訓練

(注1)短期訓練受講費とは、受給資格者がハローワークの指導により再就職のために、公的職業資格の取得を目的とする1ヶ月未満の特定の教育訓練を修了した場合に、訓練費用の一部(2割、上限10万円)が支給される制度です。

 次に、具体的なケースを図で確認してみましょう。いずれの場合も、7日間の待機期間は適用されます。

 図の1番目のケースは、教育訓練等を受けていない場合で、前述の通り令和7年4月1日以降に離職した場合の給付制限は原則1ヶ月、令和7年3月31日以前に離職した場合の給付制限は原則2ヶ月となります。

 図の2番目のケースは、離職日前1年以内に教育訓練等を受けたことがある(途中退校することなく修了したことがある、もしくは受給資格決定日の時点で受講中の)場合で、給付制限がゼロになります。受給資格決定日に、教育訓練の修了証明書(ハローワークで教育訓練給付金の受給手続きが済んでいる場合は不要なことがある)や、受講中の場合は訓練開始日が記載された領収証などを提出する必要があります。

 図の3番目のケースは、受給資格決定以降に教育訓練等を受ける場合で、訓練受講開始日から基本手当をもらうことができます。ただし、訓練受講開始日から基本手当をもらうには、訓練受講開始後、決められた期限(注2)までに申し出る必要があります。

(注2)申し出の期限は、訓練受講開始以降の初回の失業認定日、初回認定日後に受講開始の場合は、その直後の認定日まで。ただし、給付制限が2ヶ月以上の場合は、給付制限中の認定日が設定されないため、給付制限が無いと仮定した認定日の相当日まで。

 詳細は、出典の資料をご確認ください。また、不明な点はハローワークに確認してください。

関連記事

「リスキリングを支援する給付金」

(出典:「令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます」(厚労省)(https://www.mhlw.go.jp/content/001441564.pdf)を元にライフプラン・シム作成)


遺族基礎年金の受給要件と受給対象者
s05prodpresidenteによるPixabayからの画像

 記事「遺族厚生年金の受給要件と受給対象者」 で、遺族厚生年金を取り上げました。遺族基礎年金は?と思われる方も多いと思いますので、その違いを整理しておきましょう。

 厚生年金が支給する遺族厚生年金は、雇用されて働く方が万一の場合に、残された家族を支援することで、安心して働ける環境を提供する制度になっています。一方、国民年金が支給する遺族基礎年金は、残された子どもの養育を中心に支援する制度になっています。

遺族基礎年金の受給要件

 次の①~⑤のいずれかの要件を満たしている場合に、遺族(受給対象者)に遺族基礎年金が支給されます。

①国民年金の被保険者である間に死亡したとき
②国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の方で、日本国内に住所を有していた方が死亡したとき
③老齢基礎年金の受給権者であった方が死亡したとき(老齢基礎年金を請求して確定した方、老齢基礎年金を受け取っている方が死亡したとき)
④老齢基礎年金の受給資格を満たした方が死亡したとき(老齢基礎年金を受け取ることができる加入期間の要件を満たしていて、まだ老齢基礎年金を請求していない方が死亡したとき)

 ここで、上記のそれぞれの要件については、遺族厚生年金と同様に、以下の保険料納付要件を満たす必要があります。

 ①②については、死亡日の前日において、国民年金の保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が、被保険者期間の3分の2以上あることが必要。(ただし、死亡日が令和8年3月末までのときは、死亡した方が65歳未満であれば、死亡日の前日において、死亡日が含まれる月の前々月までの直近1年間に保険料の未納が無ければよいことになっています。)

 ③④については、保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間(注1)を合算した期間が25年以上ある方に限られます。

(注1)合算対象期間(カラ期間)・・・平成3(1991)年3月以前に、学生であるため国民年金に任意加入しなかった期間や、昭和36(1961)年4月以降、海外に住んでいた期間など。

 なお、遺族厚生年金は、被保険者である間に初診日がある病気やけがが原因で、初診日から5年以内に死亡したときや、1級・2級の障害厚生(共済)年金を受け取っている方が死亡したときにも支給されることが、遺族基礎年金との相違点になっています。

遺族基礎年金の受給対象者

 死亡した方に生計を維持されていた(生計を同じくし、前年の収入が850万円未満もしくは所得が655万5千円未満である)、以下の遺族の方が受け取ることができます。なお、遺族厚生年金を受給できる遺族の方は、あわせて受給できます。

①子のある配偶者
②子(18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方で、婚姻をしていない方)

(注)子のある配偶者が遺族基礎年金を受け取っている間や、子に生計を同じくする父または母がいる間は、子には遺族基礎年金は支給されません。

 なお、遺族厚生年金と異なり、配偶者には年齢要件がありません。一方、遺族厚生年金では、上記の受給対象者がいない場合は以下順に、子のない配偶者、父母(年齢要件あり)、孫(子の年齢要件に同じ)、祖父母(年齢要件あり)も受給対象となります。

 また、遺族基礎年金を受け取れる権利(受給権)は、次の場合に失効し、支給されなくなります。受給者が婚姻したとき、養子になったとき(祖父母等を除く)、死亡した者と離縁したとき、死亡したとき、受給者が子の場合に年齢要件を満たさなくなったとき、など。

関連記事

「加給年金、遺族年金の配偶者収入要件」

「遺族年金」

(出典:「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」(日本年金機構)(https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/izokunenkin/jukyu-yoken/20150401-04.html)を元にライフプラン・シム作成)


高年齢雇用継続給付の縮小
拡大可

 60歳未満の雇用されて働く人が、60歳以降も継続して雇用される場合や、いったん離職して再就職する場合、一般的には賃金水準が下がります。その賃金の低下率が大きい人には、雇用保険から高年齢雇用継続給付金(以降、単に「給付金」)が、65歳になるまで支給されます。現行制度の詳細は、記事「60歳以上の雇用者への給付金」 をご覧ください。

 具体的には、雇用保険への加入期間が5年以上の被保険者で、60歳以上65歳未満の各月の賃金が、受給資格発生日(60歳到達日)の賃金月額に対して、75%未満に低下した場合に支給されます。61%以下に低下した場合には各月の賃金の15%相当が支給され、61%を超えて75%未満に低下した場合は、その低下率に応じて15%より少ない額が支給されます。なお、60歳時点で雇用保険への加入期間が5年未満の場合には、加入期間が5年以上に達した時点が受給資格発生日となります。また、基準となる賃金月額には上限と下限が、各月の賃金+給付金の総額にも限度額が設けられており、これを超える給付金は支給されないなどの制限があります。

 これが現行の給付金制度の概要ですが、令和7年4月1日以降に本給付金の条件を満たした人は、給付金の支給率の最大が、賃金の「15%相当」から「10%相当」に縮小されるとともに、最大の支給率が適用される賃金の低下率が、「61%以下」から「64%以下」に引上げられます。上の図は、新しい支給率が適用される被保険者と、現行の支給率が適用される被保険者の例を示しており、下のグラフは、賃金低下率ごとの給付金の支給率を、改正前と改正後で比較しています。

 本給付金は、65歳までの雇用の継続を援助、促進することを目的とした制度で、当初の支給率は25%でしたが、平成15年に現在の支給率に改正されました。高年齢者雇用安定法の推進により、実際に65歳まで働く人の割合が増え、処遇も少しづつ改善してきていることから、今回の支給率の改正に至っています。今後は、雇用側に70歳までの雇用確保が求められており、給付金のさらなる縮小や廃止が検討されることになっています。

(出典:「令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します」(厚労省)(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000160564_00043.html)を元に、ライフプラン・シム作成)


男女別年金受給額の分布
拡大可

 グラフは、上が厚生年金、下が国民年金の、令和5年度末時点での男女別年金受給額(月額)の分布を示しています。

 厚生年金のグラフは、対象が厚生年金1号被保険者だった人で、民間企業に勤めて厚生年金保険に25年以上※加入し、年金を受給している人です。男性の総数が10,601,923人で、女性の総数が5,452,806人となっています。この中には、特別支給の厚生年金(報酬比例部分のみ)を受給している65歳未満の人も含まれます。なお、共済組合等にも加入したことのある人も含まれますが、共済組合等から支給される分は含んでいません。また、年金受給月額には、基礎年金部分も含まれます。

(※昭和27年4月1日以前生まれの人は20年以上。昭和27年4月2日以降生まれの人は段階的に引き上がり、昭和31年4月2日以降生まれの人は25年以上。年金改革により、受給年齢が段階的に引上げられたり、受給資格期間が短縮されたことから、旧制度で受給される人と新制度で受給される人を、同等の条件の下で分析するため。)

 グラフから分かるように、男性の受給額が高く、分布のピークは17万円~18万円、平均は166,606円となっています。一方、女性の受給額の分布のピークは9万円~10万円で、平均は107,200円となっています。厚生年金の受給額は、加入期間内の標準報酬月額の平均値と加入月数に比例するため、男女での受給額の違いは、男女の賃金格差および勤続年数の差から生じていると考えられます。

 なお、一般的には、夫婦のモデルケースでの厚生年金受給額が示されますが、モデルケースでは配偶者が扶養されている(国民年金3号被保険者の)条件となっており、グラフの厚生年金受給額に、配偶者の基礎年金受給額を加えた金額が、夫婦モデルケースでの年金受給額になります。

 国民年金のグラフは、対象が国民年金被保険者だった人だけでなく、厚生年金(共済組合等を含む)が上乗せされている人の基礎年金部分や、国民年金3号被保険者だった人を含みます。ただし、前述の通り、年金制度に25年以上加入した人に限られます。男性の総数が14,434,673人、女性の総数が19,021,113人で、女性の方が多くなっています。これは、3号被保険者も含めて、就業率、就業形態の違いなどによるものと考えられます。

 国民年金の受給額は、加入月数にのみ比例することから、男女での受給額の差は厚生年金ほど大きくありません。ピークは男女とも6万円~7万円で、平均は男性が59,965円、女性が55,777円となっています。

 ご自分の年金受給額の概算を知りたい方は、記事「年金受給額の計算の仕方」 をご覧ください。

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「年金受給額の推移とインフレ下で低下する将来価値(将来の年金受給額)」

(出典:「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」(厚労省)(https://www.mhlw.go.jp/content/001359541.pdf)を元に、ライフプラン・シム作成)


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