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10年国債金利(長期金利)の推移


 2023/01/06

 [資産運用]

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10年国債金利(長期金利)の推移
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 グラフは、我が国の流通市場における10年物の固定利付国債の、実勢価格に基づいて算出した半年複利金利(半年複利ベースの最終利回り)を表しており(ここでは以後、これを「長期金利」と言う)、上のグラフは1986年7月~約37年間の推移を、下のグラフは最近10年間の推移を拡大して表しています。

 長期金利は、市場の取引ベースの金利(市場金利)であることから、経済活動の状態を表すと言われています。景気が良ければ消費が活発になり、物価が上昇してお金の価値が下がり(インフレ)、多くの利息を払わなければお金が借りられないため金利が上昇します。逆に景気が悪くなると消費が停滞し、物価が下落してお金の価値が上がり(デフレ)、金利が低下します。また、長期金利は、固定金利の住宅ローンの基準金利として用いられたり、個人向け国債を始めとした債券の基準金利に用いられており、借りるにしても投資するにしても、非常に重要な指標となります。

 2013年以来、日銀の金融緩和政策により長期金利は下がり続け、2016年には国債を買い増して、市場金利である長期金利をゼロ金利誘導(イールドカーブ・コントロール)し始めたことで、実質ゼロからマイナス金利となります。しかし、その後も物価上昇率は目標の2%に達しない状態が長く続き、2022年のエネルギー価格の高騰からの世界同時インフレ、日米金利差による円安などの外的要因により、ついに長期金利が上昇し始めています。さらに、2022年末の日銀によるイールドカーブ・コントロールの目標金利の拡大(±0.25%→±0.5%)により、長期金利が目標金利の上限付近まで上昇しました。その後、上限は1%まで引上げられ、ついに、2024年3月にマイナス金利政策の解除、イールドカーブ・コントロールの撤廃を決め、長期金利は1%を超えるに至りました。(2024/5/31 追加)

 長期金利が上昇すると、借りる側からすれば、新たに借りる固定金利型の住宅ローンの金利が上昇し、仮に政策金利(短期金利)も見直されれば、既に借りている変動金利型の住宅ローンの金利も上昇する可能性があります。これまで、政策金利は長くゼロまたはマイナス金利が継続していたため、変動金利型住宅ローンを利用される方が圧倒的でしたが、金利の上昇局面においては、固定金利型の住宅ローンが有利となってくるため、今後の政策金利の動向によっては固定金利型を選択する人が増えてくる可能性があります。さらに、金利の上昇がピークを迎え、下降局面に転じれば、変動金利型が再び有利になってきます。

 預ける側、投資する側からすれば、個人向け国債や長期債券の金利が上昇する可能性がある一方で、借入金利が上昇することで、住宅の購入や、企業の新規事業投資や設備投資などが控えられ、業績が停滞、悪化し、株価が下落する可能性があります。金利上昇局面では、「変動10年」個人向け国債などが、さらに、金利の上昇がピークを迎え、下降局面に転じれば、固定金利の長期債券などが有利になってきます。

 一方、経済の状況は各国で異なるため、2022年の米国での急激なインフレにより米国債の長期金利が上昇し、日米での長期金利の差により、円が売られドルが買われたことで、30年振りのレベルの円安が進行しました。米国債の長期金利は、2022年10月~11月にピークを付けたかのように見えています。米ドル建ての高い固定金利の債券や貯蓄型の保険で長期に運用できれば、満期・償還時の円高による為替差損を超える収益も見込める可能性があります。ただし、手数料などのコストや信用リスクなどを含めてしっかり確認することが必要です。

 このように、長期金利を見ることでその国の経済状態が分かり、投資も一般的には、金利の下降から上昇局面では株式やREITが、上昇から下降局面では債券が高いパフォーマンスを得やすくなります。このような反対の動きをするポートフォリオを組むことで、景気変動による投資リスクを減らす効果があることもお分かりいただけるでしょう。

 長期金利は、金融機関などでも日々の値を公表しており、もう一つの経済指標である消費者物価指数(CPI)よりも早く、簡単に確認することができます。長期金利の動きに目を向けることが、経済を読み解く、言い換えれば金融リテラシー向上の一歩となります。

(出典:「国債金利情報」(財務省)(https://www.mof.go.jp/jgbs/reference/interest_rate/index.htm)のデータを引用してライフプラン・シム作成)


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