役立つコラムに新しい記事「男女別年金受給額の分布」を投稿しました。 あくまでも事実を客観的に示したものですが、ご自分の将来の年金額やライフプランに目を向けるきっかけになれば幸いです。
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ライフプランの検討に役立つ金融知識や、シミュレーションの結果を見て、どこを改善したらよいかわからない、そんな時のヒント になる有益な情報をご提供します。年金、保険、投資、税金、ローンなど、幅広い情報をお届けします。
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ご存じのように、現在では様々なキャッシュレス決済方法が普及しており、皆さんも複数の決済手段を利用されていることと思います。ここで、今一度キャッシュレス決済方法の仕組みを整理すると共に、使い過ぎないための管理方法について考えてみます。
キャッシュレス決済の分類の仕方にはいくつかありますが、ここでは主に支払いの仕組みに着目して、
①クレジットカード決済
②デビットカード(引き落しICカード)決済
③電子マネー(プリペイドICカード)決済
④ID(QRコード)決済
⑤ID(後払い)決済
の5つに分類します。実はどれもユーザを識別するIDを使用している点では広義のID決済と言えなくはありませんが、そのIDの読み取り方法の違いや、セキュリティ対策の違い(ネットとの連携を含む)、利便性の追及により進化した結果の分類と言えます。特に④⑤ID決済は、ここ数年で急成長の決済方法で、これからも進化が続くものと思われます。
それぞれの特徴を見て行くと、
①クレジットカード決済は、翌月以降にまとめて支払い、もしくは分割払いが可能で、サインや暗証番号入力が主ですが、最近ではICチップを使用したタッチ決済も可能になっています。タッチ決済では利用額に上限があり、一定の安全性を担保しています。
②デビットカード決済は、その意味の通り銀行口座から都度引き落とす方式で、使い方は①クレジットカードと③電子マネーに似ていますが、事前のチャージが不要などの特徴があります。タッチ決済では利用額の上限などにより、一定の安全性を担保しています。
③電子マネーは、お財布のように一度チャージしてそこから支払うプリペイド方式で、交通系や流通系などがあり、クレジットカードや銀行口座、特定の入金機などからチャージできます。タッチ決済ですが、チャージ金額には上限があり、一定の安全性を担保しています。携帯やスマホにICチップを内臓した機種ではカードの代わりになります。
④ID(QRコード)決済は、物理的なカードやICチップは不要で、スマホ(アプリ)を通してセキュアな通信を行って認証する方式で、ネットとの親和性も高いのが特徴です。①クレジットカードと③電子マネーの支払方法を合わせ持ち、銀行口座、特定のATM、特定のクレジットカードなどからチャージするプリペイド方式で、チャージ残高から支払ったり、登録したクレジットカードから支払うこともできます。実店舗での支払いもお店のQRコードを読み取る、または自身のQRコードを読み取ってもらって支払うことができます。また、アカウント間での送金が手数料なしにできるところも特徴です。
⑤ID(後払い)決済はプリペイド方式ではなく、クレジットカードと同様に翌月にまとめて支払い、数回の分割払いなどを基本とする方式です。銀行振込やコンビニ支払い(どちらも手数料あり)、銀行引き落としなどにより決済できます。メールアドレスと携帯電話番号だけで登録ができ、クレジットカードのような入会審査が無く手軽に始められるのが特徴です。利用状況によりAIが利用可能上限額などを都度与信する仕組みです。
このように様々なキャッシュレス決済の選択肢が増え、お店によっては特定の決済手段しか使えないことから、多くの方が複数の決済手段を保有し、使い勝手の良さからついつい使い過ぎをしてしまいがちです。カードやアカウントが増えてしまうと、自分がいくら使ったかを調べるのも大変で、気が付いたら銀行口座の残高が不足して引き落とせないなどの事態にもなりかねません。そんな使い過ぎを防ぐためにも、決済手段を利用する際には、一定のルールを設けることを推奨します。
まず、改めて言うまでもありませんが、決済手段に銀行口座を紐付ける場合は一つの銀行口座に決めることです。図に示したように、殆どの決済手段は最終的に銀行口座と紐づくことから、どなたも給与や年金振込口座などの入金口座をお持ちと思いますので、その口座を登録すると決めておけば日常の収支が一元管理できます。決済手段にクレジットカードを登録する場合でも、そのクレジットカードの引き落としも同じ銀行口座を登録しておけば、最終的に一つの銀行口座から支払われます(なお、通常、本人名義のクレジットカード、銀行口座しか登録できないため、注意してください)。
次に、月々の支出には、家賃、光熱費、通信費、保険料、ローン返済など、ほぼ一定額を支払う固定費と、食費、服飾費、交際費、旅費など利用の都度支払う変動費があります。通常、固定費は銀行口座からの引き落としかクレジットカード支払いが一般的ですが、変動費の支払いは現金、クレジットカード、電子マネー、ID決済など多種多様になります。現金や、プリペイド方式は、銀行口座に引き出し記録やチャージ記録が残りますから(クレジットカードチャージを除く)、1ヶ月間のこれらの合計の上限額を決めておけば比較的容易に管理できます。一方、クレジットカードが固定費と変動費の支払に使われている場合は少々厄介です。クレジットカードの利用状況を確認して固定費と変動費を仕分けし、変動費の使い過ぎがないかを見る必要があります。これらを簡単に仕分けるには、固定費と変動費でクレジットカードを分離することも一つの解決策です。また、銀行口座やクレジットカード、電子マネーでの入出金状況を一元管理できるソフトもあります。このような便利なソフトを使えば、クレジットカードを分離しなくても月の途中での変動費を把握しやすくなります。とにかく、できるだけ1ヵ所にまとめて簡単に視える化することが管理を長続きさせるための第一歩ですので、いろいろ工夫してみてください。
なお、クレジットカード決済やID(後払い)決済で、分割払いや、ボーナス一括払い、リボ払いで支払った場合は、実際に使ったお金と月々の支払いにギャップが生じますので注意が必要です。可能であれば一括払いをお勧めしますが、やむなく分割払いを利用する場合は、月々使えるお金の目標金額から、分割払い額を差し引いて管理する必要があります。そうすることで使い過ぎを抑えられます。
現在、様々な決済手段が乱立し、ポイント還元も競争になっている状況ですが、決済手段を安易に増やさずに、使っていないものは解約するなど、一定期間ごとに整理することも重要です。決まった決済手段に絞ることでポイントも溜まってお得です。中には、一定額以上の利用が無いと年会費などが発生するものもありますので、無駄な保有にならないよう注意してください。また、図は代表的なお金の流れを示しており、同じキャッシュレス決済方式でも、必ずしもこの図の通りではありません。利用できるクレジットカード、金融機関、ATM、利用可能上限額、支払方法の選択、チャージ方法などが異なりますので、お申込み前に十分確認してください。
株式やREITに投資しようと考え、銘柄を選定する際には、自分が好きな企業であったり、応援したい企業、今後成長が見込めそうな企業を選んだ上で、株価の変動、業績の推移、配当金、PER(株価と1株当たり純利益の比率)、PBR(株価と1株当たり純資産の比率)の値など、色々な角度から絞り込んで選定しますが、思った以上に株価が上がることもあれば下がることもあり、利益を出し続けるのは難しいものです。特に、新しい製品やサービスがリリースされたり、新たな投資や買収などが発表されたりすると株価の値上りを期待しますが、例えば海外輸出比率が高いとドル円相場やユーロ円相場の影響の方が大きかったりで、実に様々な要因の影響を受けます。何か問題が起きた時の企業からの情報発信の低さや、株主への配慮が欠けていたりしても、株価は思った以上に反応します。そういったことは事前にはなかなか読みにくいものです。
そのような失敗を経験すると、業種が異なる複数銘柄の株を購入するなどして、だんだんとリスクを分散させたくなってきます。また、一括で購入することも値下りリスクを大きくしますから、そうすると最終的には、株価指数に連動したインデックス型の投資信託を積立てで購入すればリスクが少ない、と思うようになっても不思議ではありません。もちろん、個別銘柄を選ぶ楽しさや、上場したばかりの企業や成長期にある業種の値上り益の期待などもありますので、決して否定はしませんが、苦労の割りに思ったほどの成果は続かないのも事実と思います。そんな中で、株価値下がりによる損失リスクを少しでも減らす、安全指向の銘柄の選定方法が、配当重視の選定方法です。
配当利回り(配当金÷株価)が高い銘柄は、株価が値下がりしてもそれなりの額の配当金を継続的に貰えますので、配当金と譲渡損益のトータルで評価することができます。例えば、配当利回り3%/年の銘柄では、凡そ4年間保有すると税引後で10%弱になりますので、株価が10%値下がりしても損は出ないことになります。ただし、配当金は利益から分配されますので、業績が悪化すると配当利回りも下がる可能性はあります。また、ご祝儀として配当金を一時的に高く分配する場合もあります。したがって、配当重視と言っても、現時点での配当利回りの高さだけでなく、長期的に利益を出し続け、配当利回りが継続的に高いことなどを選定条件に加えると、よりリスクを減らすことができます。もちろん、株価の変動など、他の評価指標も加味した上で選定してください。
企業側から見ると、配当金をどの程度分配するかは、その企業が置かれた状況と企業戦略によります。利益を成長事業に投資してさらなる成長を指向し、株価の上昇を目指すことが株主への還元と考える企業もあれば、安定的に利益を創出して配当金を手厚くすることが株主への還元と考える企業もあります。後者は、安定経営を指向していると言え、言い換えると大幅な株価上昇は見込めないかもしれないが、手厚い配当金により安定的な利益が得られ、株価が下落したとしても損失リスクを減らすことができる、ということになります。
なお、本記事は、銘柄の選定の考え方の一つを紹介したもので、現時点での特定の銘柄の購入を推奨する意図はありません。前述のとおり、配当利回りは常に保証されるものではなく、株価は変動し元本割れを起こす可能性があります。購入はご自分で判断してください。また、配当金や株主優待の権利付最終日(権利確定日の2営業日前)までは株価が値上りし、翌日の権利落ち日後は値下がりする場合がありますのでご注意ください。
ライフプランシミュレーションの結果、将来のキャッシュフローが不足する場合には、まず効果の大きいローンの繰上返済や生命保険、医療保険の見直し、一時的支出の見直し、年金の繰下げ受給などの可能性を検討します。それでも不足する場合や、ライフプラン簡易診断で生活費支出の項目が1~2と評価された場合は、生活費の見直しも考えなければなりません。外食費、衣服費、旅行費用などの、どちらかというと一時的な出費を抑えることはすぐに思いつきますが、定常的に発生している生活費において、どのような見直しを行うとどの程度の節約になるのか、そのイメージをつかんで頂くと共に、どのように考えて行けばよいかのヒントになるよう、いくつかの具体例を表に示しました。
ここでは、多少グレードや質が変わるものの、代替手段に置き換えたり、頻度を下げたりする方法を中心に、どの程度の節約ができるかを示しています。もちろん、ここに挙げた項目は代表的なものであり、該当しないものもあるでしょう。また、全てを節約することは難しいと思いますので、まずどれだけ節約すればよいかの目標額をシミュレーションで試算し、これならできると思われるものから実行して、積み上げていけばよいでしょう。あるいは、いっそのことやめられるものはやめることによって、さらに節約効果は上がりますので、メリハリを付けるのも一つのやり方です。なお、表において、ビールを第三のビールに変更する例を示しましたが、2023年10月、2026年10月の酒税の段階的税率変更により、ビールと第三のビールの税率が一本化され、販売価格差は徐々に縮まります。
また、表には挙げていませんが、例えばDVDやCDをよく購入する方や借りる方、書籍を良く購入する方は、ダウンロードやストリーミングのサブスクサービスを利用することで、それぞれ月額1,000円程度に抑えられますので、今より節約になるか検討されるとよいでしょう。既に、複数のサービスに加入していたり、オプションを付けていたりするもの、お試しで加入してあまり使っていないものを見直すことも節約につながります。最近は、ダウンロードやストリーミングに限らず、目新しいサブスクサービスも増えていますが、定常的に支払いが発生しているサービスが本当に必要かどうか時々見直すとよいでしょう。
役立つコラムの
「冷蔵庫と照明の買い替えによる節電効果」 と、
「ガス器具の買い替えによる節約効果」
で示していますが、平均的な世帯での光熱費の節約は、照明のLED化で12,400円/年程度、給湯器のエコジョーズ化で4,500円/年程度です。しかも、それぞれそれなりの初期投資が必要です。それを考えると、生活費の節約効果は意外と大きく、しかも初期投資はあまり掛からずすぐに始められることが分かります。
生活費は、特に収入が増えると知らず知らずのうちに膨れ上がり、一度贅沢な暮らしを覚えてしまうと、収入が減った時に絞るのが難しくなりがちです。ライフプランシミュレーションを通して、どれくらいの生活費レベルが妥当なのか、金銭感覚を身に付けて暮らしていくと、将来のリスクを減らすことができます。
総務省の調べによると、2020年度の全国のふるさと納税受け入れ件数は約3,500万件(前年比1.5倍)で、住民税の控除適用者数は約550万人(前年比1.3倍)とのことです。つまり、約550万人の方がふるさと納税を利用しており、このうち半数がワンストップ特例制度(確定申告が不要になる制度)を利用しているとのことです。住民税の納税義務者は全国で約6,400万人とのことで、ふるさと納税の利用割合は8.6%、1人あたりの平均件数は6.4件ということになります。年々利用者数は増加傾向にあり、利用される方は複数件利用されているということが分かります。
そもそもふるさと納税は、住民税の納税者がふるさとなどの自治体に寄付をすると、その自治体が予算ではできない活動などに利用し、一部はお礼として自治体から返礼品(平均は寄付額の3割前後)が贈られると共に、納税者にとっては、所得税や住んでいる自治体に納税している住民税が、寄付額-2,000円分軽減されるという仕組みです。これは、所得税の寄付金控除と言う税金の制度が基になっており、国や地方公共団体、日赤や政治団体への寄付に適用され、寄付額-2,000円が所得から控除される仕組みです。但し、年間総所得金額の40%を上限としており、また所得控除であるため、(寄付額-2,000円)×所得税率の金額が所得税から軽減されます。所得が控除されると住民税も軽減されます。住民税は税率10%ですので(寄付額-2,000円)×10%の金額が住民税から軽減されます(但し、年間総所得の30%が上限)。加えてふるさと納税では、これらの寄付金控除で控除しきれなかった金額が住民税から軽減されるという特例控除です。つまり、納税先が変わっただけでトータルの納税額は変わらずつまり、寄付の一部は所得税の軽減と言う形で還付され、2,000円を除く寄付の残りの部分は住民税の納税先が変わっただけで(2021/12/20 加筆修正)、実質2,000円でもっと多くの寄付ができるということになります。ただし、特例控除では住民税の所得割額の20%が上限となり、これを超えて寄付をすると超えた分は軽減されませんので注意してください。主なふるさと納税Webサイトでは、収入や家族構成を入力すると、凡その寄付可能金額が計算できます。
なお、ふるさと納税を行った場合、寄付金控除を受けるためには翌年に確定申告が必要になりますが、給与所得者などで通常も確定申告が不要な方は、ワンストップ特例制度を利用すると確定申告は不要とできます。但し、ふるさと納税先の自治体数は5団体以内に制限され、所得税の軽減は行われず、その分も含めて翌年6月以降の住民税が減額される形で軽減されます。ふるさと納税先の自治体から返礼品と共にワンストップ特例制度の申請書が送られてきて、これに記入して翌年1月10日までに返送すれば手続きは完了しますので、5団体以内であれば簡単です。5団体を超える場合は確定申告が必要になります。
以上の簡単な手続きでふるさと納税ができますので、趣旨に賛同できる方は、ふるさとに限らず、応援したい自治体、興味のある返礼品などを探して寄付をしてみるとよいと思います。返礼品も、基本はその自治体内でとれた物、作られた物などですので、それ自体も支援に繋がると考えられます。寄付はクレジットカードで支払うこともできますので、ポイントも溜まります。また、返礼品の無い災害復旧支援などのふるさと納税もあり、支援したい自治体がそのような寄付を受け付けていれば、実質2,000円でふるさと納税の控除限度額まで寄付をすることも可能です。
(出典元:「よくわかる!ふるさと納税」(総務省)(https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/about/)を元にライフプラン・シム作成)
節電について調べているうちに、ガスはどうなんだろうと思い、電気とガスの違いなどについても調べてみました。資源エネルギー庁(2018年調べ)によると家庭での用途別エネルギー消費は、照明・家電製品等(電気)34%、冷房(電気)3%、給湯(ガス/電気)28%、暖房(ガス/電気/灯油他)25%、厨房9%(ガス/電気)で、エネルギー源別消費は、電気51%、都市ガス22%、LPガス10%、灯油他17%となっています。都市ガスとLPガスは地域などで異なるため分かれていますが、1軒の家庭で見れば合計した32%がガスとみればよいでしょう(以下、ガスは都市ガスを指すものとします)。なお、用途別エネルギー消費の25%を占める暖房ですが、灯油他を含めた選択肢が多く、それぞれに特徴があり、使用条件によっても選択肢が変わってくると考えられるため、ここでは扱わないこととします。
まず、世帯の平均光熱費を見てみると、総務省の家計調査(2019年調べ)によれば、電気が106,692円/年、ガスが49,644円/年、その他が12,852円/年となっています。また、CO2の排出量は、電気が0.445kg/kWhであるところ、ガスは2.21kg/m3(都市ガスのエネルギーを12.8kWh/m3で換算すると0.173kg/kWh)となっており、これを用いて家庭でのCO2排出量を求めると、電気が4,300kWh/年で約1,900kg/年、ガスが340m3/年で約750kg/年となります(LPガスでは値が異なってきます)。
ガスを1として電気を比較すると、家庭でのエネルギー消費量では電気依存度が高く平均1.6倍、料金では2.2倍(深夜電力を利用すると少し下がります)、CO2排出量では2.5倍(家庭内でのロス分を含む)となり、電気への依存度が高いですが、電気の方がエネルギー単価が高く、CO2排出量も多いことが分かります。その理由を調べてみると、電気では発電所でのエネルギー変換ロスが60%(最新の高効率火力発電所は45%)、送電線によるロスが2%あり、実際に家庭に届くエネルギーは38%程度に過ぎないことです。一方、ガスは燃料を直接家庭に届けるためロスがなく、燃焼によるエネルギーロスは給湯器などで20%程度で、ここに電気とガスの差があります。もちろん、太陽光発電などで自家発電すれば、CO2排出量は改善できますし、電気はガスと比較して安全度が高く、扱いやすいなどのメリットがありますので、条件によってうまく使い分けることが家計にも地球環境にも優しいと言えそうです。
このような特徴を踏まえると、用途別エネルギー消費で28%を占める給湯はガスで賄うのが効率が良いと言えそうですが、通常のガス給湯器ではエネルギー変換効率が80%のところ、エコジョーズの給湯器に切り替えると95%まで改善でき、給湯器で使用するガス使用量、CO2排出量を15%程度削減できます。エコジョーズの給湯器は、通常の給湯器より13%~23%程度(24号で3~6万円前後)価格がアップしますが、ガス使用量の6割の用途が給湯だとすると、平均的な家庭で4,500円/年程度の節約になりますので、10年前後でエコジョーズ給湯器の価格アップ分は回収でき、しかもCO2削減に貢献できます。平均を上回る使用量のご家庭の場合はさらに効果が上がり、費用回収期間も短縮できます。給湯器がそろそろ寿命を迎え、交換を考えている方は検討してみるとよいでしょう。
なお、電気式の給湯器では、深夜電力を活用したエコキュートという高効率な給湯器(エアコンや冷蔵庫と同じヒートポンプ方式)があります。貯湯タンクが必要なため、戸建てなどでは選択肢として考えられますが、一般的な条件でのエコジョーズとの優劣の比較は難しいと思われるため、ここでは扱わないこととします。それぞれのご使用条件でどちらが適しているかなどはご自分でお調べください。また、最近ではガスと電気のハイブリッド給湯器という、それぞれの長所を合わせ持った超エコな給湯器も登場しており、いろいろな選択肢を検討されるとよいでしょう(2021/9/24 一文追加)。
次に、ガスコンロですが、熱効率は45%前後と低く、熱効率が90%程度のIHクッキングヒーターと比較すると半分程度に落ちるため、ガスコンロとIHでは料金もCO2排出量も同程度と考えられます。ただし、旧式のガスコンロと比べて最新の高効率ガスコンロは10%程度熱効率が改善したりしますので、ガスコンロの買い替えの際には検討されるとよいでしょう。また、炎が鍋ややかんの外に広がり過ぎるとエネルギーのロスになりますので、強火にし過ぎないよう注意することが節約につながります。ガスコンロにするかIHクッキングヒーターにするかは、火力や使いやすさ、機器代、工事代などで選ぶとよいでしょう。
なお、できるだけ中立な立場で試算していますが、特に料金に関しては料金プランなどの前提条件によって結果が多少異なってくると思いますし、エネルギー変換効率も年々向上して係数も変わりますので、あくまでも現時点での一つの試算として参考にしてください。少しでも家計とCO2排出量削減のお役に立てれば幸いです。
(出典元:「省エネって何?」(資源エネルギー庁)(https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/what/)
「温室効果ガス排出量 算定方法・排出係数一覧」(環境省)(https://ghg-santeikohyo.env.go.jp/calc)
「家計調査」(総務省統計局)(https://www.stat.go.jp/data/kakei/index.html) 他を元にライフプラン・シム作成)
環境省の調べによると、家庭の電気使用量の中に占める割合が最も高い順に冷蔵庫が約16%、照明が約14%にもなるそうです(2013年調べ)。世帯当たりの年間平均電気使用量は4322kWh、料金にして約106,000円です(2017年調べ)。このうち照明と冷蔵庫で31,800円にもなります。
まず冷蔵庫ですが、容量によって年間消費電力量は異なりますが、資源エネルギー庁の調べによると、容量401L~450Lのクラスでは、2009年販売の冷蔵庫(490~550kWh/年)と比較して、2019年販売の冷蔵庫(293kWh/年)では40%~47%の省エネになるとのことです(カタログ値ベース)。これより容量の大きい451L~500Lも含めて、ハイエンドモデルと言われる売れ筋製品であり、価格帯は高めになりますが、最新テクノロジーが投入されるため省エネ度も高くなっています。仮に、200kWh/年の節電になると約5,000円/年の節約になり、15年で75,000円の節約になります(実際の節電量は、冷蔵庫の設置状況、利用状況などに寄ります)。CO2削減量でいうと、200kWh×0.445kg/kWh=89kg/年の貢献になります。10年~15年以上経った冷蔵庫があるご家庭は、まず現在の冷蔵庫の年間消費電力量を調べてみると良いと思います。ドアの内側などに記載されていると思います。
次に照明ですが、照明全体で見るとLED化率は50%程度と推定されるとのことで、現時点で既に白熱電球を新規購入できませんが、ダウンライトを始めとする家庭の白熱電球を積極的にLED電球に置き換えることで、どの程度の節電になるか試算してみました。照明のワット数は大抵の場合、白熱電球で40W形(消費電力36W)、60W形(54W)、100W形(90W)のどれかだと思いますが、これをLED化すると消費電力はおよそ1/6となり、それぞれ約6W、約9W、約15W程度となります(最近では1/10程度となるLED電球が主流になっており、さらに節電効果が期待されます 2021/9/21追記)。最も長い時間点灯するリビングの場合、仮に60W×3個の照明を年間3,000時間(8.2時間/日相当)点灯すると仮定すると、年間消費電力量は白熱電球で486kWh/年、LED電球で81kWh/年となり、年間405kWh/年の節電、約10,000円/年の節約になります。CO2換算では184kg/年の削減になります。廊下のダウンライトや、風呂、トイレ、洗面所などの使用時間は年間平均200時間(0.5時間/日相当)、これらも全て60W形で合計10個の照明があると仮定すると、白熱電球で108kWh/年、LED電球で18kWh/年となり、年間で90kWh/年の節電、約2,300円/年の節約になります(2021/9/15 400時間→200時間に見直して再計算しました)。合計すると、495kWh/年の節電、約12,400円/年の節約になり、225kg/年のCO2削減になります。平均しても電球1個当たり950円/年程度の電気料金の節約になりますので、LED電球代は2年もあれば回収できる計算になります。
実際には、リビングの照明は既に電球型蛍光灯になっているご家庭も多いと思いますが、その場合はLED化によって消費電力は3/4~2/3になります。蛍光灯型電球で108kWh/年ですから、LED化により27kWh/年の節電、約700円/年の節約、12kg/年のCO2削減になり、他の白熱電球と合計すると、117kWh/年の節電、約3,000円/年の節約、53kg/年のCO2削減になります。
最近は、一般的なシリカ電球だけでなく、ミニクリプトン電球、シャンデリア電球、ハロゲン電球など、様々なタイプのLED電球が販売されており、いろいろな箇所の照明をLED化できるようになってきています。ただし、LED電球によってはダウンライトなど、熱がこもる環境では使用できないものがありますので、よく確認して選んでください。また、白熱電球に似た「電球色」を選んでも、照度や色味、光の拡散の仕方などがメーカーやタイプによっても異なり、雰囲気が変わりますので、実際にお店の展示で比較して、一度に購入せずに少しづつ試してみながら、使用頻度の高い照明から順にLED化を進めるとよいでしょう。ただし、調光器対応のLEDであっても、光量を下げるとたまに”ちらつき”が気になる場合があります(メーカにもよる)ので、失敗したくない方は最初から調光機能付きLED照明器具への交換を検討された方がよいかもしれません(2021/9/27 一文追加)。なお、LED電球の寿命は40,000時間と言われており、年間3,000時間使用する箇所で13年程度、200時間使用する箇所ではLED以外の部分が劣化して故障するまでは気にせず使えることになりますので、電球の交換も少なくなります。
(出典元:「機器の買換で省エネ節約」(資源エネルギー庁)(https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/choice/)他を元にライフプラン・シム作成)
自動車は、環境への影響と言う点では身近な存在で、自動車メーカー各社ともガソリンエンジンの燃費向上、ダウンサイジング化、ディーゼルエンジン化、モーターとのハイブリッド化、そしてEV化へと進化してきました。日本でも2030年半ばには、新車の100%を電動車にする方針が掲げられ、大きな変化を感じる時が近づいています。ここでは家計的な観点から、これらの動力の違いによる燃料代の差について試算してみました。
燃料代の差は走行距離に比例して増えていきます。そこで、1台の車に乗り続ける間の総走行距離によって、燃料代がどの程度違うかを比較してみました。動力の違いにより、使う燃料の小売単価や燃費(電費)が異なることから、まず現在の小売単価(資源エネルギー庁資料から引用)と一般的な燃費(電費)の値から、距離単価(円/km)を比較しています。距離単価でみるとEV<ハイブリッド<ディーゼル<ガソリンの順になりました。従って、総走行距離での燃料代もこの順に増えていきます。下の表は、ガソリン車を基準として、総走行距離によりどれだけ燃料代が節約できるかを示しています。ただし、燃費も自動車メーカーや動力の出力によっても異なり、すべてのケースに当てはまるわけではありませんので、一つの目安としてお考え下さい。また、電気については昼間の電気料金の平均値を適用しており、夜間電力は約半分になりますが、EV充電スタンドなどを利用する場合は別に基本料金などが必要になるため、利用状況によって変動があります。ご自分が買いたいと思われている車の燃費や充電料金などの値を当てはめて計算されても良いでしょう。
一方、ディーゼルエンジンの搭載やモーターとのハイブリッド化、さらにはEV化によって、自動車の車両価格も異なってきます。もちろん、動力性能や内装、装備のグレードの違いや、走行時のCO2削減量の違いなどもあり、単純には比較できませんが、ガソリン車からの車両価格のアップと、燃料代の節約額、EV補助金などとの比較で、納得感が得られるかの参考になるかと思います。
また、走行時のCO2排出量については燃費から計算でき、上記で用いた一般的な燃費を適用すると、ガソリン車で129g/km、ハイブリッド車で86g/km、ディーゼル車で117g/km(ガソリンは2.32(kg/l)/燃費、ディーゼルは2.58(kg/l)/燃費で計算)、EVはゼロとなり、距離単価と同じ順序になります。なお、走行時だけでなく、自動車や燃料/電気を生産する際や輸送などで発生するCO2も加味した、LCA(ライフサイクル・アセスメント)で評価するという考え方もあります。現時点では、自動車のライフサイクルトータルで発生するCO2が、総走行距離が少ないと、EVやハイブリッド車はガソリン車よりも多いという現実もあるようですので、そのあたりも色々調べて考えてみるのもよいでしょう。技術のブレークスルーや量産効果によってEVの車両価格やLCAでのCO2排出量が下がる日もそう遠くないかもしれません。
そろそろマイホームが欲しいと思った時に、まず始めに自分はいくらくらいの物件が買えるのだろうかと考えると思います。それが分かれば、自分が住みたい沿線のどのあたりの駅になるか、駅からの時間は、・・・と言うように具体的な物件探しに進むことができます。殆どの方が生まれて初めて住宅ローンを借りて購入すると思いますが、住宅ローンを無理なく返せるかということが最も気になると思いますので、そのあたりを中心に考えてみましょう。
マイホームが欲しいと思う方は、大抵の場合、賃貸住宅に住んでいると思います。会社の社宅に住まわれている方も、住宅補助がある方も、家賃を支払っていると思います。まず知ることが重要なのは、現在、家賃をいくら支払っており、住宅購入のために月々いくら積立てられているか、今までにいくら積立てられたか、その結果として余裕がどれくらいあるかということです。ここで余裕とは、特に使い道が決まっておらず月々貯蓄に回している金額と、実際に蓄えた使い道の決まっていない貯蓄額です。これらは現在の生活に基づいた実績ですから、これらを基準に考えることが無理なくマイホームを購入するための最も確実な方法です。とは言え、家族がいる場合は年と共に支出額も変化し、収入も変化します。この変化が激しい時期が過ぎて、子供の大学教育費を学資保険や積立てで確保しつつ、将来に渡って生活費が見通せる時期に来れば、住宅ローンの返済リスクも少なくなりますが、特に変化が激しい時期にマイホームを購入する場合は、ライフプランシミュレーションをして、どの程度のリスクがあるか確認することをお勧めします。
そして具体的には、前述の家賃+住宅購入のための積立て額は住宅ローンに回すことができます。この金額をここでは「住宅ローン返済限度額」と言うことにします。住宅関係でも、光熱費や火災保険料などはマイホームでも掛かるため、住宅ローンの支払には回せません。しかも現在よりも広い住宅を購入する場合は、光熱費や火災保険料は増えますし、地震保険や家財にも新たに保険を掛ける場合はさらに増えます。また、管理費だけでなく、マンションの場合は修繕積立金が掛かりますし、戸建ての場合は自分で修繕費を積立てなければならないため、これらの分も考慮する必要があります。車を持っている場合は、駐車場代が現在より上がる場合もあるでしょう。このあたりは、余裕分として貯蓄している金額から回せますが、それができない場合は、住宅ローン返済限度額を減らしたり、車の所有をあきらめなければなりません。逆に、余裕分から回しても残る場合は、住宅ローン返済限度額を増やすこともできます。どこまで増やすかは自由ですが、増やし過ぎるとリスクになりますので、あまり無理をしないことです。気になる場合は、ライフプランシミュレーションで確認するとよいでしょう。なお、ボーナスは景気の影響を受けやすいため、含めて考えないことをお勧めします。
住宅ローン返済限度額、返済期間、利率が分かると、住宅ローンとして借りられる元本が「資産運用ローン計算ツール」 で求められます。「現価を求める計算」を使用し、返済期間と金利を入力し、計算方法として「年金現価係数」を選択し、「終価」に返済額(年額)を入力して「現価の計算」を実行してください(2023/2/24 修正)。ここで、返済期間は、まずは退職予定年齢を超えないように設定してください。例えば現在40歳で、退職予定年齢が65歳と考えるなら、ローン返済期間は長くても25年と考えてください。それ以上に設定する場合は、ライフプランシミュレーションを行い、老後に資金不足にならないか確認することをお勧めします。そして、住宅購入のために使える貯蓄額と、住宅ローン元金を加えた金額が、住宅購入資金となります。ここで、貯蓄が頭金になりますので、諸費用も考えると住宅購入資金の20%以上が貯蓄となることが望ましいでしょう。さらに、余裕分として貯まった貯蓄からも回せますが、最低でも収入なしで6ヶ月程度暮らせる金額は残してください。
マイホームの購入には、物件価格の他に、一般的に物件価格の3~10%の諸費用が掛かります(詳細は役立つコラムの「住宅購入時にかかる諸費用」 を参照してください)。住宅購入資金から諸費用を除いた分が購入可能な物件価格となります。この物件価格を基に物件を探しても納得の行く物件が見つからない場合は、住宅購入資金がどの程度増やせるか、余裕資金から回せるか、生活費を切り詰められるか、返済期間を伸ばせるか、などを検討することになります。くれぐれも無理な設定はしないようにしてください。生活費を切り詰める場合は、実際に先に切り詰めて、住宅購入用の積立て額を無理なく増やせるか、確認することをお勧めします。
住宅ローンの借入限度額などから給与の何%以下とか、給与の何倍までの物件なら購入できるとか言われますが、現在の生活レベルから借りられる限度額を求めた方が実感がわくと思います。また、若いと収入自体もまだ少ないため、納得のいく物件が見つからないこともあるでしょう。親から支援が得られるなどを除いて、あまり無理をして早くからマイホームに拘らず、特に変化の激しい時は賃貸住宅で柔軟に暮らし、将来がある程度見通せるタイミングを待つことも考えてみたらどうでしょうか。マンションや戸建てにも耐用年数があり、長く住むと補強やリフォーム、建替え、あるいは住み替えなども考えなければなりません。そういったことも頭の片隅に入れて、買うタイミングを考えてみてください。
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