役立つコラムに新しい記事「男女別年金受給額の分布」を投稿しました。 あくまでも事実を客観的に示したものですが、ご自分の将来の年金額やライフプランに目を向けるきっかけになれば幸いです。
役立つコラムに新しい記事「男女別年金受給額の分布」を投稿しました。 あくまでも事実を客観的に示したものですが、ご自分の将来の年金額やライフプランに目を向けるきっかけになれば幸いです。
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1. 年金受給額と保険料の推移
グラフは2004年(平成16年)以降の、厚生年金と国民年金の年金受給額と保険料の月額の推移を示したものです。厚生年金の年金受給額は、夫婦2人(平均標準報酬月額36万円(賞与を除く)×40年、妻は専業主婦)で受給するモデルケースを示しており、厚生年金の保険料は、厚生年金全体の保険料収入を被保険者数で割って賞与を除いた月額に換算し、労使折半したもので、独自に算出した金額です。また、国民年金の年金受給額は40年加入した場合の満額を示しています。厚生年金も国民年金も、保険料は徐々に増加している一方、減少率は多少異なるものの、年金受給額は徐々に減少していることが見てとれます。ただし、2023年は賃金・物価の上昇により、前年比約2.2%の上昇に転じ、2024年は前年比約2.7%の上昇となっています。
(注:2013年までの年金受給額は、特例水準により、本来の年金額よりも2%程度高い水準で支払われていましたが、2013年から段階的に減じられ、2015年に特例水準は解消されました。グラフの受給額は、この特例水準が反映されています。)
2. マクロ経済スライドによる年金受給額の調整
年金受給額は、通常は賃金(物価)の変動に合わせて増減させますが、少子高齢化での年金制度を維持するために2004年に年金制度改正があり、「マクロ経済スライド」という年金調整の仕組みが導入されました。大まかにいうと、賃金が下落した場合は同じ率で年金受給額も下落するのに対して、賃金が上昇した場合は賃金上昇率からスライド調整率(被保険者の数や平均寿命から計算)を差し引いた率を年金上昇率として、年金受給額の上昇を抑えるというものです。ただし、差し引いた結果がマイナスの場合は据え置き、マイナス分は未達分として翌年以降にキャリーオーバーされます(キャリーオーバー制は2018年から導入)。2000年以降は、賃金の減少に伴って年金受給額も減少してきましたが、2015年、2019年、2020年、2023年、2024年はプラスになり、マクロ経済スライドが適用され、年金上昇率が抑えられています。マクロ経済スライドが適用された年のスライド調整率は、それぞれ▲0.9%、▲0.5%、▲0.1%、▲0.6%、▲0.4%となっており、2019年と2023年には▲0.3%づつのキャリーオーバー分が含まれています。
3. インフレ下で低下する年金の将来価値
仮に賃金が上昇し続けて年金の上昇率がマクロ経済スライドによって抑えられると、あるモデルでの平均賃金に対する年金受給額の比率(これを所得代替率と言う)が下がってきて、一定水準(50%)に達した場合にこのマクロ経済スライドによる調整を終了することになっています。ちなみに、5年ごとに所得代替率を評価し直すことになっており、2004年から5年ごとに、59.3%、62.3%、62.7%と増えてきましたが、2019年に初めて61.7%と減少し、2024年は61.2%となりました。あくまでも仮定ですが、人口や賃金の変化が、あるモデルケースに合致すれば、2019年時点では、実質賃金上昇率+0.8%の試算で、2040年前後には50%になるのではないかと推定されていました。今回の2024年時点では、実質賃金上昇率+0.5%の試算でも、2060年前後に50%になるのではないかと推定されており、現行年金制度の継続性が確認されています。
(2024/7/4 グラフと下線部を更新)
賃金(物価)が上昇するインフレが続くと、現金・預貯金などのお金の価値だけでなく、相対的に公的年金の将来価値は下がっていくというリスクがあることは認識しておいてください。
ライフプランシミュレーションでは、現在のところ、年金受給額を賃金上昇率には連動させずに、受給初年の金額で一定としています。
(出典:「令和5年版厚生労働白書(年金編)」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/22-2/dl/11.pdf)および
「厚生年金保険・国民年金事業の概況」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000106808_1.html)を元にライフプラン・シム作成)
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