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空き家の保有、売却にかかる税金


 2023/09/25

 [不動産]

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空き家の保有、売却にかかる税金
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 空き家の老朽化によって、近隣への影響が心配されるような事例が増えているのはご存じの通りですが、老朽化した実家を相続することは、もはや他人事ではありません。国土交通省によると、賃貸用、売却用の空き家を除いた「その他空き家」(居住目的のない空き家)は、過去20年間で約2倍に増加し、2018年には約350万戸に達しており、2030年には約470万戸に達すると推定されています。

 相続する側からすると、売却によって譲渡益が見込める物件はまだしも、除却(取り壊し)しなければ買い手もつかず、それによって損失が生じる物件もあって、相続放棄を選択せざるを得ないケースや、相続しても放置されているケースも多々あります。やむを得ないとはいえ、放置されている空き家がますます増加し、地方や国の財政にのしかかってくる現実もあり、難しい問題と言えます。

特定空き家と管理不全空き家

 増加する空き家問題への対策として、2015年に「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行され、市町村が、周囲に著しい悪影響を与える空き家を「特定空き家」に指定することで、所有者への改善の指導・勧告・命令ができるようになりました。さらに、所有者が命令に反して処置を実施しない場合には50万円以下の過料に処せられ、行政が手続きを踏んだ上で代執行を行い、工事費用を徴収することもできるようになりました。

 しかし、空き家のさらなる増加に伴い、特定空き家の増加が懸念されることから、その予防保全として、2023年6月に特別措置法の一部を改正する法律が公布されました(施行は公布から6ヶ月以内)。これにより、市町村が、特定空き家になる恐れのある「管理不全空き家」を指定することで、所有者への改善の指導・勧告ができるようになります。また、相続放棄されるなどにより所有者のいない特定空き家、管理不全空き家に対処するため、市町村が裁判所に財産管理人の選定を請求し、財産管理人が修繕や処分を実施することができるようになります。

敷地にかかる固定資産税の住宅用地特例の解除

 一般に、居住用の建物が建つ敷地については、200m2以下の固定資産税が1/6に、それを超える部分は1/3に減額される固定資産税の住宅用地特例が適用されます。空き家についてもこの特例が適用されることから、相続された空き家が放置されることにも繋がっていると指摘されてきました。そこで、特別措置法では、特定空き家に対して是正勧告を受けた場合には、この特例が解除されるようになりました。さらに、今回の特別措置法の一部改正ではその適用範囲を広げ、管理不全空き家についても是正勧告を受けた場合には、この特例が解除されることになります。特定空き家、管理不全空き家に指定された場合には、速やかに適正な処置を行うことが求められます。

相続した空き家の売却にかかる所得税の特例

 相続した空き家およびその敷地の有効利用を促進するために、被相続人が居住していた家屋およびその敷地を相続によって取得して売却し、一定の要件を満たす場合に、譲渡所得の金額から最高3,000万円までが控除されます。要件として、以下を満たす必要があります。

・1981年(昭和56年)5月31日以前に建てられたこと
・区分所有建物登記がされている建物ではないこと
・相続の開始直前において被相続人以外に居住していた人がいなかったこと
(なお、被相続人が要介護認定を受け老人ホーム等に入所するなどで居住していなかった場合も適用対象)
・売却の時点において一定の耐震基準を満たすこと、もしくは建物を除却した上での敷地の譲渡であること
・相続から売却(もしくは除却)までの間、事業の用、貸付の用、居住の用に供されたことがないこと
・相続の開始から3年が経過する年の12月31日までの譲渡であること
・売却代金が1億円以下であること
・相続した空き家に相当する相続税を、譲渡所得計算の取得費に加算する特例など、他の特例の適用を受けていないこと
・親族など特別な関係のある人への譲渡ではないこと

 なお、この特例は、2016年4月1日~2023年12月31日までの譲渡について適用されますが、2023年度(令和5年度)の税制改正により、4年間延長して2027年12月31日まで適用することが決定しています。また、要件として売却の時点において一定の耐震基準を満たすか、もしくは建物を除却して更地で譲渡するかのどちらかのみでしたが、譲渡された翌年の2月15日までに、買主が耐震工事もしくは除却工事を実施しても、この特例が適用されるよう緩和されます(2024年の譲渡から適用)。

空き家を売却して譲渡損失が出た時の損益通算

 相続した空き家の譲渡所得は、譲渡価額-(取得費+譲渡費用)で計算されます。取得費には被相続人が取得した金額を用い(ただし、建物については減価償却費相当額を差し引く)、所有期間も被相続人の所有期間を引き継ぎます。なお、取得費が不明な場合は、譲渡価額の5%を取得費とします。また、譲渡費用には、建物の除却費用(取り壊し費用)を加えることができます。この空き家を売却して譲渡損失が発生した場合には、他に土地、建物の譲渡所得があれば、損益通算することができます。しかし、給与所得、事業所得などの他の所得とは損益通算することはできません。

 これらの他、自治体によっては、除却することで一定期間の固定資産税が軽減されたり、除却費用の一部を補助してくれる自治体もあります。古い建物を長期間放置すると、除却する選択肢しか残らなくなることから、実家を相続したら放置せずに、どんな選択肢があるか、自治体やNPO法人などからどんな支援が受けられるかなど、早めに調査してみるとよいでしょう。

(出典:「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm)、

「空き家の発生を抑制するための特例措置」(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000030.html)、

「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(令和5年法律第50号)について」(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000138.html)を元にライフプラン・シム作成)


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