臨時休業のお知らせ。11月20日(水)~11月21日(木)は、臨時休業とさせていただきます。 この間のお問い合わせ、ならびに診断・相談への対応はできませんが、ご了承のほどお願いいたします。 また、児童手当の改正に伴い、「子ども手当計算ツール」の児童手当の所得判定、給付額、給付期間の見直しを行いました。
臨時休業のお知らせ。11月20日(水)~11月21日(木)は、臨時休業とさせていただきます。 この間のお問い合わせ、ならびに診断・相談への対応はできませんが、ご了承のほどお願いいたします。 また、児童手当の改正に伴い、「子ども手当計算ツール」の児童手当の所得判定、給付額、給付期間の見直しを行いました。
ライフプランの検討に役立つ金融知識や、シミュレーションの結果を見て、どこを改善したらよいかわからない、そんな時のヒント になる有益な情報をご提供します。年金、保険、投資、税金、ローンなど、幅広い情報をお届けします。
[注]タイトルに含まれるキーワード(語句)を1語入力してください。
1件/全1件
インフレを背景にして上昇した米ドルの長期金利は、2023年11月をピークに下降基調にあるものの、年が明けても4%を超える高い水準にあります。それを背景に米ドル建の生命保険の予定利率が高く設定され、終身保険などの保険商品に注目が集まっています。しかし、外貨建保険ならではの仕組みもあり、損失が発生するリスクがありますので、自分の目的に合った金融商品であるか、その仕組みやリスクをしっかり確認しましょう。
1. 為替変動リスク
外貨建金融商品ならではのよく知られたリスクの一つです。ご存じのように、外貨と日本円の相対的な価値(為替レート)は日々変動しており、主にそれぞれの長期金利の差により影響を受けます。保険契約時の外貨円レート(ドル円レートなど)よりも解約時や満期時の外貨円レートが低ければ、すなわち円高になれば、外貨ベースでは解約返戻金や満期保険金が増えたとしても、円で受け取った際に為替差損が生じ、結果として元本割れになる可能性があります。
契約時に極端な円安になっていないか、いくらまで円高になったら元本割れになるか(損益分岐売却レート)を確認します。そして、将来、その為替レートになる可能性が高いか低いか、すなわちリスク度合いを、過去の為替レートや今後の経済見通しなどから、自ら判断する必要があります。
2. 為替手数料
例えば円をドルに交換する際と、ドルを円に交換する際に、一般的にそれぞれ0.5円/ドル前後の為替手数料がかかります。保険会社によって為替手数料は異なりますので、契約時によく確認する必要があります。特約などで為替手数料が低く抑えられる場合もあります。
3. 保険契約費用
保険契約のための初期費用がかかり、保険料から一定の割合を差し引かれる場合があります。保険契約によってその割合は異なりますが、特に外貨建保険の場合は初期費用が割高なことが多く、例えば一時払いの終身保険の場合、保険料の5%前後が契約時に差し引かれますので、短期間で解約すると元本割れになることがあります。初期費用がどの程度かかるのかも、必ず確認してください。
また、保険期間中にかかる費用や死亡保障に必要な費用は、予定利率や積立利率の算出の仮定で控除されている場合もあります。
4. 解約返戻金
保険期間中は、保険料から初期費用を差し引いた原資をもとに、予定利率や積立利率で運用されます。中途で解約する場合には、解約手数料が差し引かれた解約返戻金が契約者に支払われます。この解約手数料の料率を、解約控除率と言います。契約から解約までの期間が短いほど、この解約控除率が大きく設定されています。保険契約により異なりますが、為替変動がない仮定で、契約から数年程度は元本割れとなることが多いため、これも必ず確認してください。
なお、保険によっては、予定利率、初期費用、解約控除率などの具体的な数値は示さず、契約からの経過年ごとの解約返戻金額のみを示し、保険料に対する返戻率で表している場合もあります。
5. 市場価格調整
債券をベースにした外貨建保険では、保険期間開始時の市場金利を基にした積立利率が適用されますが、中途解約時の市場金利が変動した場合、解約返戻金を調整することがあります。これを市場価格調整、もしくは市場金利調整と言い、最も分かりにくい仕組みの一つです。
すでに発行されている債券(既発債)は、市場で売買することができますが、市場金利が上昇すると債券の価値が下がり、市場金利が低下すると債券の価値が上がります。債券の残存期間が長いほど、すなわち債券発行直後ほど影響を受けやすくなります。この債券の特性を、中途解約時の解約返戻金の計算に取り入れ、保険期間の積立利率よりも解約時の積立利率が上昇すると、市場価格調整により解約返戻金が減少します。その逆の場合は、市場価格調整により解約返戻金が増加します。
市場価格調整率は、保険契約に計算式や値が記載されていますが、1-{(1+保険期間の積立利率)/(1+解約時の積立利率+調整率)}^(残存月数/12)で計算されます(^はべき乗を表す)。ここで、調整率は保険会社ごとに設定している値で、残存月数は保険期間の残りの月数です。解約時の残存月数が大きいほど、すなわち早期に解約するほど、解約時の市場金利が高いほど、調整率が大きいほど、市場価格調整率が大きくなり、解約返戻金は減少します。注意して確認したいポイントです。
グラフは、保険料1万ドル、保険期間の積立利率が4%、満期が10年の保険契約において、解約時の積立利率が変動した場合の、市場価格調整後の解約返戻金額の計算例を示しています。分かりやすくするために、解約控除率は0%、保険会社が設定する調整率は0%としました。解約時の積立利率が上昇すると、早期に解約するほど元本割れになるリスクがあることがよくわかります。
一般的に、円の市場金利に対して外貨の市場金利が高いと円安になり、為替差益が期待できますが、市場価格調整により解約返戻金が減少しますので、早期に解約すると期待ほど利益が出ないこともあります。逆に、円高になると為替差損が発生しますが、市場価格調整により解約返戻金が増加しますので、思ったほど損が出ないこともあります。解約時期が遅いほど市場価格調整は減少しますので、為替変動に結果が左右されやすくなります。
なお、解約返戻金は一時所得として扱われますが、5年以内に解約して利益が出た場合は、金融類似商品と見なされて源泉分離課税が適用され、20.315%の税率がかかりますので、その点も注意してください。
6. 目標金額の設定
さらに、債券をベースにした外貨建保険では、保険期間中に積立金額の目標金額を設定できる保険があります。支払った円ベースでの保険料総額の120%や150%のように目標金額を設定し、円換算で目標金額に到達すると、円建の保険に自動的に移行したりします。
目標金額を必ずしも設定しなければならないことはありませんが、注意しなければならないことは、目標金額を低く設定すると、予想外に早く目標に到達し、所望の金利での長期運用のメリットが得られない可能性があることです。解約ではないため、解約控除や市場価格調整などはありませんが、売り手側が新たな保険への切り換えなどを目的として、目標金額を低く誘導する懸念も指摘されていますので、注意が必要です。
7. 資産運用計算ツールで試算を
当サイトでは、どなたでも無料で「資産運用計算ツール」 を利用することができ、その中に「外貨建て金融商品での損益を求める計算」があります。この計算では、購入金額、購入時の為替レート、売却時の為替レート、それぞれの為替手数料、運用期間、外貨利率に加え、購入手数料率、売却手数料率も入力することができます。購入手数料率に初期費用の控除率を、売却手数料率に解約控除率を入力すれば、売却金額、損益、実質利回り、実質年利、損益分岐売却レートを求めることができます。
また、市場価格調整がある場合は、保険契約や保険会社のホームページなどで市場価格調整率を確認して、解約控除率に加えて売却手数料率に入力してください。
8. 最後に
外貨建保険は、長期運用が前提であり、流動性が低く、初期費用や解約費用などのコスト高である点、為替リスク(金利リスクを含む)がある点をよく理解する必要があります。その上で、高い予定利率や積立利率が長期に約束されれば、為替変動に打ち勝ったリターンが期待できます。また、保険本来の死亡保障や相続対策の役割を担うこともできます。したがって、純粋な投資目的として外貨建保険をメインに考えることはお勧めしません。外貨建保険の特性が、あなたの目的に合っているのであれば、保険会社によって積立利率や解約返戻金、初期費用などが異なることから、保険契約の内容をよく比較して選ぶとよいでしょう。
1件/全1件
カテゴリ選択