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貯蓄と負債の統計データ


 2022/05/19

 [資産運用]

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貯蓄と負債の統計データ
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 グラフは2021年の統計調査のうち、貯蓄と負債に関する家計調査の結果を表しています。家計調査は、一定の統計上の抽出方法に基づき全国約9,000世帯に対して毎月行っている調査で、上のグラフは約3,300世帯の二人以上勤労世帯の収入階級別に、下のグラフは約5,900世帯の二人以上世帯の年齢階級別に、世帯の貯蓄と負債の残高を平均したものです。負債についてはマイナスで表示し、貯蓄については、有価証券、保険、預貯金(その他を含む)に分類して積み上げグラフで表示しています。また、各階級ごとの平均収入を折れ線グラフで表し、上のグラフのみ階級の分布も折れ線グラフ(右の軸)で表しています。なお、収入階級が800万円未満は50万円刻みであるのに対して、800万円以上は100万円刻み、1,000万円以上は250万円刻みとなっているため、800万円、1,000万円を境に分布が不連続になっていますのでご注意ください。

 上の収入階級別グラフを見ると、最も分布が多い500~550万円で貯蓄が約1,000万円、負債が約700万円となっており、そこから収入が増えても負債はそれほど増えておらず、収入が高いほど負債の割合が減り、貯蓄が急に増加していく傾向が見られます。また、収入が700万円を超えたあたりからその傾向が強くなっています。これは、年齢と共に収入が増加する賃金体系とも関わっており、下の年齢階級別グラフでも40代あたりで700万円を超え、50代まで収入が増加する中で子供が独立して教育費が減り、負債の返済が進み、貯蓄を増やしやすくなっていることの現れであると言えます。そして、貯蓄の中でも、保険や有価証券の比率が高まっていく時期でもあることが分かります。また、60代で預貯金が増加するのは主に退職金によるものです。一方、負債を見ると30代が最も多くなっており、若い世代でも平均で年収の2倍前後の負債を有し、将来に向けて住宅という資産の取得を行っていることが分かります。

 このように見ると、50代が如何に老後に向けた資産作りの時期として重要であることが分かると思います。実はあまり意識しなくても、教育費が減ることで自然と貯蓄が増えはしますが、その分贅沢をして支出を増やしたり、ただ漫然と預貯金だけ増えた場合と、意識して老後資産を作ろうと取り組んだ場合では、結果も大きく変わってくるものです。資産作りの基本は、ドルコスト平均法(一定額を積立て)で時間を味方にしてリスク低減、長期運用で複利効果の2つであり、共通するのは「時間」ですから、スタート時点で差がついてしまいます。他にもリスク低減策としての投資先の分散や低コスト商品の選択なども重要ですが、時間だけは取り戻せませんので、後悔先に立たずとならないよう、早くから取り組んでください。

 老後資産に限らず資産形成として有効な方法は「積立て」です。時間によるメリットがあることはもちろんですが、生活費として使える上限を設定することにもなり、使い過ぎが抑えられます。そもそも、積立てに回すお金がないと思っても、生活費の中の無駄を見つけてみましょう。生活費の実体を視える化するだけでも意識が変わります。達成できれば自信に繋がりますので、一段づつステップを登りながら積立て癖を付けてください。なお、積立ての中で、リスクがあるがリターンも期待できる投資に何割、元本保証の金融商品に何割というように、商品ごとに金額を分けて積立てることが基本です(「金融資産のアセットアロケーション」 の記事参照)。さらに、投資にNISAや積立てNISAなどの非課税枠を活用するのとしないのとでは差が出ます。最大限活用することをお勧めします(「NISAの延長と改正」 の記事参照)。

 グラフの中で自分の世帯はどの辺に位置づけられるか、自分と同じくらいの収入や年齢の世帯が、どれくらいの貯蓄をしているのか、どれくらいの負債が残っているか、ちょっと比較して頑張ってみるのも良い刺激になると思います。また、ライフプランシミュレーションを利用すれば、積立てが将来のキャッシュフロー(「キャッシュフロー表」 の記事参照)に与える影響や、どれくらいの資産を形成できるかなど、ポートフォリオ(投資先の組合せ比率)を変えるなどして試算することができます。資産形成にぜひお役立てください。

(出典:「家計調査 貯蓄・負債編 2021年」(総務省統計局)(https://www.stat.go.jp/data/sav/sokuhou/nen/index.html) を元にライフプラン・シム作成)


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