臨時休業のお知らせ。6月29日(日)~7月7日(月)は、臨時休業とさせていただきます。 この間のお問い合わせ、ならびに診断・相談への対応はできませんが、ご了承のほどお願いいたします。 また、役立つコラムに新しい記事「iDeCoの拠出限度額、加入年齢の引上げ」を投稿しました。今後、iDeCoによる老後資産形成にも注目です。詳しくは記事をお読みください。
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グラフは、年間約30万件の不動産取引価格情報やアンケート情報をもとに、国土交通省が不動産価格の動向を指数化した「不動産価格指数」の住宅に関する指数で、約3ヶ月前の取引を対象として毎月公表されています。2010年1年間の平均価格を100として表しており、グラフは全国を対象地域とした指数を示していますが、他に全国9ブロック毎の指数や、都市圏別、東京などの特定の都府県別の指数があります。
不動産取引価格は、立地、設備、規格、築年数などの個別の属性に大きく依存しますが、このような属性の違いによる価格変動や、分布から大きく外れた取引などを統計処理により取り除いて、純粋な価格変動を指数化したものです。不動産取引には新築も中古も含まれていますが、マンションについては主に中古物件の取引が対象となっており、住宅地については土地(宅地)のみの取引が対象で、戸建住宅については土地と建物が一緒の取引が対象となっています。また、住宅総合は、住宅地、戸建住宅、マンションの指数の加重平均となっています。
グラフを見ると、2013年以降マンションの取引価格が上昇し続けています。2013年には東京オリンピックの開催が決定し、首都圏を中心にオリンピック需要が増加し始め、供給側も立地などを優先した新築の高付加価値路線に切り替えたことも要因と言われています。新築に手が届きにくくなったことで、中古物件の需要も高まり、マンション価格全体が上昇しています。さらに、2020年の秋以降は上昇率が高くなり、2023年4月の指数は192(約10年間で1.9倍)となっています(2023/8/1 更新)。これは、新型コロナウィルスの拡大によるウッドショックなどの影響で、資材費が値上りしていることが要因です。
一方、住宅地、戸建住宅ともに2010年以降2020年夏まではほぼ横ばいだったものの、マンションと同様に2020年秋からは上昇に転じ、2023年4月の指数は118となっています(2023年8月1日 更新)。都市圏では、以前は、戸建住宅になかなか手が出せずに狭いマンションを選択するイメージでしたが、駅近などの立地条件を外せば、新築戸建住宅の方が手が届く可能性があるかもしれません。戸建住宅には、建売住宅や注文住宅、ハウスメーカーの選択、外回りの修繕費など、マンションと違う点もありますが、都市圏でマンション派だった方も、戸建住宅にも目を向けてみるとよいのではないでしょうか。ただ、どちらを選ぶにしても高い買い物ですから、メリット、デメリット、リスクなどはよく調べた上で、将来も含めた資金計画も慎重にご検討ください。
今後、マンション、戸建住宅ともに、2022年3月以降の急激な円安により、資材費が値上りし、取引価格もさらに上昇していく可能性があります。新型コロナや円安がいつまで続くかは不透明ですが、いずれにしても、不動産価格指数から目が離せません。
関連記事「住宅の統計データ」
(出典:「不動産価格指数(住宅)」(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk5_000085.html)を元にライフプラン・シム作成)
【ご注意】2024年から開始される「新NISA」では、非課税期間が無期限になるため、ロールオーバーは不要となります。また、一般NISAの非課税期間が経過しても新NISAへロールオーバーすることはできません。詳しくは、「新NISA(ニーサ)の改正点」 をご覧ください。(2023/12/6 追記)
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NISA(一般NISA)制度の概要については、記事「NISAとつみたてNISA」 および「NISAの延長と改正」 をご参照いただくとして、ここではNISAのロールオーバー制度について少し詳しく説明します。NISA口座で投資して5年経つと、課税口座に移管するか、ロールオーバーするか、売却するかの3つから選択しなければなりませんが、うっかり手続きを忘れてしまうと、思わぬ損をする場合もありますのでご注意ください。
NISAは投資における非課税制度ですが、現行の制度(2023年末まで)では、非課税投資枠が年間120万円で、その枠内で新規投資(購入)した株や投資信託が、投資した年および次の4年間(これを非課税期間と呼びます)においては、その運用益(配当金、分配金、譲渡益など)が非課税になる制度です。運用してから120万円を超える残高になっても課税されることはありません。
非課税期間が経過した後は、何もしないでいるとまるごと課税口座に移管されます。課税口座では、配当金や分配金が課税されるのはもちろんですが、課税口座に移管された時点での残高が新たな元本(取得価格)と見なされるため、そこから評価額が上がった分に対して課税されます。遡っての課税はされないため、購入時より評価額が値上りしている場合は損はしませんが、購入時より評価額が下がっている場合は、例えば移管後に購入時の価額まで戻ったところで売却しても、運用益があったと見なされて課税されてしまいます。
次に、ロールオーバーについてですが、これは非課税期間が経過した次の年の非課税投資枠を使って、さらに5年間、非課税期間を延長できる仕組みです。非課税期間終了時の残高が新たな元本(取得価格)と見なされ、非課税投資枠を使ったことになり、その年の新たな投資は、残りの非課税投資枠の範囲となります。ただし、ロールオーバーには上限が無く、残高が非課税投資枠を超えていたとしても、そのまま全額ロールオーバーすることもできます。その場合は、非課税投資枠を使い切ってしまいますので、新たな投資はできなくなります。購入時よりも評価額が上がっている場合だけでなく、下がっている場合にロールオーバーして5年のうちに値上りすれば、前述の不必要な課税を回避することも可能です。
残る選択肢は、売却することです。ただし、売却時に残高が元本割れしている場合は損が確定します。その後の値上りがあまり期待できず、むしろ非課税投資枠を新たな投資に振向けることで挽回が期待できそうな場合などは、そのような選択肢もあるでしょう。
いずれにしても、非課税期間が終了する1ヶ月程度前までに、NISA口座の金融機関や証券会社から通知がありますが、課税口座に移管するか、ロールオーバーするか、売却するかを選択しなければなりません。ロールオーバーするかどうかの判断基準は、1年間の投資枠に余裕がある場合(新たな投資はしない場合も含む)、あるいは、新たな投資をするよりも継続保有した方が良い結果が得られそうな場合と言えるでしょう。そうでない場合は、一旦、課税口座に移管して売却するタイミングを図るか、すぐに売却して損益を確定するということになります。もちろん、売買単位以上で分割して、購入銘柄単位に一部を課税口座に、一部をロールオーバーし、一部を売却することも可能です。また、購入銘柄の一部を売却して、残りをロールオーバーすることも可能です。詳細は金融機関にご確認ください。(2022/11/14 一部加筆修正)
(出典:「一般NISAのポイント」(金融庁)(https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/nisa/point/index.html)を元にライフプラン・シム作成)
国民の誰もが加入する公的医療保険制度では、小学校就学前(6歳に達した最初の年度末まで)の乳幼児については、医療費の自己負担割合が2割で、小学校就学以降は3割となっていますが、少子化対策として各自治体がこれに上乗せする形で独自の医療費援助を行っています。自治体によって援助の対象年齢が異なりますが、グラフに示すように、例えば通院で見ると、都道府県の約半数が就学前の乳幼児に対して医療費の援助を行っており、市区町村がこれに上乗せする形で、約半数が中学校まで、約4割が高校まで医療費の援助を行っています。
なお、都道府県の約6割が何らかの所得制限を設け、約8割が一部自己負担を課しているのに対して、市区町村ではそれをカバーする形で、8割以上が所得制限を無くし、6割以上が無償としています。したがって、自治体によっては、所得制限もなく、高校まで医療費が無償になる場合があります。
東京都では、都と区市町村で分担して負担し、中学校までの医療費をほぼ無償化しています(区市町村により所得制限、一部自己負担あり)。また、既に一部の区市町村では独自に高校まで無償化していますが、今後拡大していくようです。
実際にお住いの自治体や、これから住んでみたい自治体がどのような医療費援助を行っているかは、各都道府県、市区町村のホームページなどでご確認ください。
(出典:「令和2年度『乳幼児等に係る医療費の援助についての調査』について」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_20913.html)を元にライフプラン・シム作成)
最近の国会では、眠っている貯蓄を投資に回して経済を活性化させることが議論されていますが、いざ貯蓄を投資に回そうとした時に、一括で購入してよいのか、あるいは積立てた方がよいのか、悩む場合もあると思います。もちろん、一括での購入には、それなりの貯蓄がある場合に限られますので、必然的に積立てを選ぶ場合もあると思います。ここでは、どちらでも選択できる場合に、どのような違いがあるのかを見ておきましょう。ただし、ここでは比較を単純化するために、売買手数料や運用コスト、分配金などは、計算から除外して比較します。また、短期では特徴が表れにくいため、長期投資(少なくとも10年以上)を前提とします。
まず、一括購入では、売却時の基準価額(株価なども含む)が、購入時の基準価額を上回れば利益になり、下回れば損失になるという単純な特徴があります。安値で購入して、高値で売却することが基本で、その意味では、長期に見て右肩上がりの傾向にある相場や銘柄に対しては、効率的な購入方法になります。そうでない場合は、安値であることを様々な情報から見極めて購入しなければ、リスクが大きいと言えます。
一方、積立ては、特に定期的に一定金額を購入するドルコスト平均法では、値が下がった時に多く購入し、値が上がった時に少なく購入するという特徴があります。このため、値動きが大きくもみ合う相場や銘柄に対しては、リスクが低く抑えられます。しかし、一時的な値下がりには強いものの、上がってから下がった場合などでは損失が出る場合もあります。また、右肩上がりの場合には、一括で購入した方が利益が大きくなります。
グラフは、ドルコスト平均法で積立て購入した場合に、基準価額(赤色の折れ線)の変動の仕方によって、購入口数(灰色の折れ線)がどう変化するか、収益率(橙色の折れ線)がどう変化するかを示しています。①基準価額が単調に上昇するケース(左上)、②基準価額が変動しながら平均的に上昇するケース(右上)、③初回の基準価額よりも低い価額でもみ合い後に上昇するケース(左下)、④初回の基準価額よりも高い価額でもみ合い後に上昇するケース(右下)を示しており、全てのケースで初回の基準価額は10,000、10年後の最終回の基準価額は16,000(年利約5%の複利)としています。
一括で購入する場合は、10,000で購入して16,000で売却することになり、収益率は60%になります。これに対して、①のケースでは、収益率は約20%にとどまります。徐々に基準価額が上昇することで、購入口数が少なくなって行き、一括で購入するよりも収益率は低くなります。また、②のように基準価額が変動しながら平均的に上昇する場合も、①に収斂されて約20%になります。一方、③④のもみ合い後に上昇するケースでは、収益率は約40%~80%になっており、一括購入の60%に近づき、それを上回る場合もあります。
長期的に見て右肩上がりの銘柄はなかなか無いものですが、過去からの傾向を見れば、米国株式のインデックスに連動した投資信託などはこのような傾向を見せています。その意味では、一括購入でのリスクは低い方ですが、それでも、一時的に大きく下落したこともありますので、リスク許容度が高くないと気が休まりません。リスク許容度が低い方には、積立て投資をお勧めします。また、リスクを減らすためには分散投資も有効です。地域分散、さらには債券なども組み合わせてポートフォリオに含めれば、リターンは減るもののリスクも下がります。
本記事は、投資の際の購入方法を、一定の条件のもとで比較し、その特徴を示したものです。全てのケースにおいて同一の結果を保証するものでも、利益を保証するものでもありません。また、個々人によって、資産状況やリスク許容度も異なるものです。元本割れも含めて、投資のリスクを正しく理解した上で、ご自分で判断してください。
(注:本記事は2022/6/17に投稿しましたが、説明の範囲を広げてしまったことで、本質的な違いが分かりにくかったため、2024/5/28に内容を見直しました。)
関連記事:「投資信託のポイント」
60歳以上の高年齢者の雇用を支援するために、一定期間雇用保険に加入している被保険者に対して、様々な給付金が支給されます。
(1)基本手当(失業給付)
①給付の概要
・被保険者が離職して、受給開始日※の年齢が65歳未満で、就職の意思があるにもかかわらず職に就けない場合に支給される
※受給開始日:離職日の翌日で、基本手当の受給が可能な期間の基準日
②支給される金額と条件
・離職日以前2年間に、被保険者期間が通算して12ヶ月以上
・特定受給資格者、特定理由離職者※については、離職日以前1年間に、被保険者期間が通算して6ヶ月以上
・受給開始日の年齢が65歳未満の被保険者で、受給期間は原則、受給開始日から1年間(定年等による離職の場合は最長1年間、病気やけがの場合は最長3年間延長可能)
・基本手当が支給されるのは受給期間内であって、ハローワークに離職票を提出し、待機期間および給付制限期間を経過後、その翌日から所定給付日数の期間
・受給のためには、一定期間毎に、離職して求職中であることの「失業の認定」を受ける
・所定給付日数は、離職日における年齢、雇用保険の被保険者であった期間及び離職の理由などによって決定され、90日~360日の間でそれぞれ決められる
・支給される基本手当日額は、離職した日の直前の6ヶ月に支払われた賃金(賞与等は除く)の合計を180日で割って算出した金額(賃金日額)の50~80%(60歳~64歳は45~80%)で、年齢区分ごとに上限額が決められている
※特定受給資格者:倒産、解雇などにより離職した者
特定理由離職者:期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、労働契約の更新がないことにより離職した者
③年金との併給調整
・基本手当を受給する間は、特別支給の老齢厚生年金は全額支給停止
(2)高年齢雇用継続基本給付金
①給付の概要
・60歳以降も継続して雇用されるか、あるいは60歳到達日※前に離職して基本手当を受取らずに1年以内に60歳以上で再就職した場合で、60歳から65歳の賃金が、60歳到達日の賃金の75%未満である場合に支給される
※60歳到達日:60歳の誕生日の前日
②支給される金額と条件
・雇用保険への加入期間(基本手当を受給したことがある場合は、受給後の期間)が5年以上の被保険者
・60歳以上65歳未満(65歳に達する月を含む)の各月の賃金が、60歳到達日(60歳時点で離職している場合は離職時点、60歳時点で加入期間5年以上を満たさない場合は5年以上となった時点)の賃金月額に対して、75%未満に低下した場合
・賃金月額の上限は473,100円、下限は77,310円(2021年)として計算
・61%以下に低下した場合は、雇用継続後の各月の賃金の15%相当額を給付
・61%超75%未満に低下した場合は、その低下率に応じて、各月の賃金の15%相当額未満の額を給付
・各月の賃金+給付額が支給限度額360,584円(2021年)を超える場合は、超えた額を減じて給付
・給付金の支給額が最低限度額2,061円(2021年)を超えない場合は支給されない
③年金との併給調整
・高年齢雇用継続基本給付金を受給しながら、特別支給の老齢厚生年金を受給する場合、年金の一部(賃金の最大6%相当額)が減額される
(3)高年齢再就職給付金
①給付の概要
・退職後に基本手当を受給し、60歳以降に再就職した場合で、基本手当の支給残日数が100日以上の場合に支給される
②支給される金額と条件
・再就職後の賃金が、基本手当の基準となった賃金日額を30倍した額の75%未満である場合
・基本手当の支給残日数が100日以上200日未満の場合は、賃金の最大15%を1年間
・基本手当の支給日数が200日以上の場合は、賃金の最大15%を2年間
・60歳以後の就職した日の属する月(就職日が月の途中の場合、その翌月)から、1年又は2年を経過する日の属する月まで(ただし65歳に達する月が限度)
・賃金月額の上下限、ならびに支給限度額は、高年齢雇用継続基本給付金に同じ
③再就職手当、年金との併給調整
・高年齢再就職給付金と再就職手当※のどちらか一方を受給した場合は、同時に他方は受給できない
・高年齢再就職給付金を受給しながら、特別支給の老齢厚生年金を受給する場合、年金の一部(賃金の最大6%相当額)が減額される
※再就職手当:基本手当の支給残日数が3分の1以上、離職前の事業主の再雇用ではない、安定した職業に就くことなどの条件により、基本手当の残額の60~70%が一括支給される
(4)高年齢求職者給付金
①給付の概要
・65歳以上の被保険者が離職して、就職の意思があるにもかかわらず職に就けない場合(短期雇用特例被保険者や日雇労働被保険者を除く)に支給される
②支給される金額と条件
・離職前1年間に被保険者期間が通算して6ヶ月以上、受給開始日の年齢が65歳以上の被保険者
・給付金が支給されるのは受給期間内であって、ハローワークに離職票を提出し、待機期間および給付制限期間を経過後、離職して求職中であることの「失業の認定」を受ける
・被保険者であった期間が1年未満の場合は、基本手当日額の30日分を一時金で支給
・被保険者であった期間が1年以上の場合は、基本手当日額の50日分を一時金で支給
③年金との併給調整
・高年齢求職者給付金と老齢厚生年金との併給調整は無く、両方とも受給可能
(出典:「高年齢雇用継続給付についてのリーフレット」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001282595.pdf)他を元にライフプラン・シム作成)
グラフは2021年の統計調査のうち、貯蓄と負債に関する家計調査の結果を表しています。家計調査は、一定の統計上の抽出方法に基づき全国約9,000世帯に対して毎月行っている調査で、上のグラフは約3,300世帯の二人以上勤労世帯の収入階級別に、下のグラフは約5,900世帯の二人以上世帯の年齢階級別に、世帯の貯蓄と負債の残高を平均したものです。負債についてはマイナスで表示し、貯蓄については、有価証券、保険、預貯金(その他を含む)に分類して積み上げグラフで表示しています。また、各階級ごとの平均収入を折れ線グラフで表し、上のグラフのみ階級の分布も折れ線グラフ(右の軸)で表しています。なお、収入階級が800万円未満は50万円刻みであるのに対して、800万円以上は100万円刻み、1,000万円以上は250万円刻みとなっているため、800万円、1,000万円を境に分布が不連続になっていますのでご注意ください。
上の収入階級別グラフを見ると、最も分布が多い500~550万円で貯蓄が約1,000万円、負債が約700万円となっており、そこから収入が増えても負債はそれほど増えておらず、収入が高いほど負債の割合が減り、貯蓄が急に増加していく傾向が見られます。また、収入が700万円を超えたあたりからその傾向が強くなっています。これは、年齢と共に収入が増加する賃金体系とも関わっており、下の年齢階級別グラフでも40代あたりで700万円を超え、50代まで収入が増加する中で子供が独立して教育費が減り、負債の返済が進み、貯蓄を増やしやすくなっていることの現れであると言えます。そして、貯蓄の中でも、保険や有価証券の比率が高まっていく時期でもあることが分かります。また、60代で預貯金が増加するのは主に退職金によるものです。一方、負債を見ると30代が最も多くなっており、若い世代でも平均で年収の2倍前後の負債を有し、将来に向けて住宅という資産の取得を行っていることが分かります。
このように見ると、50代が如何に老後に向けた資産作りの時期として重要であることが分かると思います。実はあまり意識しなくても、教育費が減ることで自然と貯蓄が増えはしますが、その分贅沢をして支出を増やしたり、ただ漫然と預貯金だけ増えた場合と、意識して老後資産を作ろうと取り組んだ場合では、結果も大きく変わってくるものです。資産作りの基本は、ドルコスト平均法(一定額を積立て)で時間を味方にしてリスク低減、長期運用で複利効果の2つであり、共通するのは「時間」ですから、スタート時点で差がついてしまいます。他にもリスク低減策としての投資先の分散や低コスト商品の選択なども重要ですが、時間だけは取り戻せませんので、後悔先に立たずとならないよう、早くから取り組んでください。
老後資産に限らず資産形成として有効な方法は「積立て」です。時間によるメリットがあることはもちろんですが、生活費として使える上限を設定することにもなり、使い過ぎが抑えられます。そもそも、積立てに回すお金がないと思っても、生活費の中の無駄を見つけてみましょう。生活費の実体を視える化するだけでも意識が変わります。達成できれば自信に繋がりますので、一段づつステップを登りながら積立て癖を付けてください。なお、積立ての中で、リスクがあるがリターンも期待できる投資に何割、元本保証の金融商品に何割というように、商品ごとに金額を分けて積立てることが基本です(「金融資産のアセットアロケーション」 の記事参照)。さらに、投資にNISAや積立てNISAなどの非課税枠を活用するのとしないのとでは差が出ます。最大限活用することをお勧めします(「NISAの延長と改正」 の記事参照)。
グラフの中で自分の世帯はどの辺に位置づけられるか、自分と同じくらいの収入や年齢の世帯が、どれくらいの貯蓄をしているのか、どれくらいの負債が残っているか、ちょっと比較して頑張ってみるのも良い刺激になると思います。また、ライフプランシミュレーションを利用すれば、積立てが将来のキャッシュフロー(「キャッシュフロー表」 の記事参照)に与える影響や、どれくらいの資産を形成できるかなど、ポートフォリオ(投資先の組合せ比率)を変えるなどして試算することができます。資産形成にぜひお役立てください。
(出典:「家計調査 貯蓄・負債編 2021年」(総務省統計局)(https://www.stat.go.jp/data/sav/sokuhou/nen/index.html) を元にライフプラン・シム作成)
2019年6月に金融庁の金融審議会の市場ワーキンググループが発表した、「老後の資金は2,000万円必要」と言う報告が国会で議論になり、財務大臣が火消しをするという事態がありました。この報告の内容は、老後の無職夫婦世帯の平均収入から平均支出を差し引いた赤字額(約5万円/月)と老後年数(20年~30年)を掛けると、老後の不足額の総額は1,300~2,000万円になるという、全国平均額を用いた単純計算に基づくものです。報告書にも「この金額はあくまで平均の不足額から導きだしたものであり、不足額は各々の収入・支出の状況やライフスタイル等によって大きく異なる」と書かれています。また、このままでは不足しているだけのように捉えられますが、60代の平均貯蓄額は約2,300万円であり、ここから平均負債額の200万円を差し引いた実質の平均貯蓄額は約2,100万円となり、足りる計算にはなります。ただし、平均での計算ですので、実際には余裕のある世帯もあれば、不足している世帯もあるということになります。また、みなさんが老後の資金として十分と考える貯蓄額とは、平均で2,000万円前後のギャップがあり、十分ではないと感じているようです。
報告書にもあるようにこれは全国平均の話しであり、個々には様々な要因があって、不足額は大きく異なるものではありますが、老後資金の概算を求める場合の考え方は個々にも当てはめられますので、整理しておきましょう。特に50代の方はそろそろ退職後を意識する時であり、子供が独立した後は老後資金を増やせるチャンスでもあることから、一度計算をしてみることをお勧めします。
老後の定義は、退職して生活を支える就労収入が無くなった後と考えるのが一般的です。したがってあなたが退職を予定している年齢以降とします。また、平均余命から考えると、老後年数が何年あるかが計算できます。例えば65歳で退職したら20~25年程度でしょうか。次に収入と支出ですが、老後の収入は公的年金が主になります。年金がいくら貰える見込みかは、50歳以上の方であれば「年金定期便」で確認できます。老後年数のうち、年金を貰う年数を受給年数として、総収入額=受給額×受給年数で求められます。公的年金以外に、企業年金や個人年金などの収入があれば総収入額に加算します。ただし、このあと収支を計算するためには、ここでの総収入額から税金や社会保険料を差し引く必要があります。正確には総収入額によって税率も変わってきますが、ここでは概算として収入の12%13%(2022/7/14 訂正)を差し引いてください。
一方、老後の支出は現役時よりも一般的に減少しますが、ここでは子供が独立した後の生活費を基準として、総支出額=年間生活費×老後年数で求めます。そして、一般的に老後は支出>収入となりますので、総支出額-総収入額=必要な老後資金となります。最後に、ここで求めた必要な老後資金が、老後までに準備できるかを確認します。老後資金の原資となるのは、現在の貯蓄額、退職までに増加する見込みの貯蓄額、退職金の見込み額(税引後)、その他の収入額(税引後)です。なお、退職金の所得税には勤続年数に応じた控除があり、勤続年数が37年であれば約2,000万円まで非課税ですので、ここから大きく違わなければそのまま加算して構いません。これらを全て合計して、必要な老後資金の金額と比較すれば、おおよその過不足が確認できます。
以上のような手順となりますが、この概算にはいくつかの誤差が含まれています。まず、退職までの収入金額(ここでは給与収入と仮定)ですが、実際には年齢によって増減があります。また、退職金の税金ですが、勤続年数、退職金額によって非課税とならない場合があります。年金収入に対する税金、社会保険料の金額についても、前述のように実際には収入額によって増減します。さらに、ご夫婦の場合、実際には年齢差があって、男女では平均余命が異なります。夫婦それぞれで老後年数には差があって、片方が亡くなられた後は支出額も減少します。また、住宅ローンや保険料などには支払い期間があって、老後に減るものもありますが、それらもここでは考慮していません。したがって、十分な蓄えがある場合を除いて、一般的には不足がちの結果になることが予想されます。
そこで、もう少し精度よく確認する方法として、ライフプランシミュレーションを利用する方法があります。ライフプランシミュレーションでは、前述のような誤差を少なくする仕組みが組み込まれています。住宅ローンの返済額や保険料などの追加の入力が必要ですが、それら以外の税金や社会保険料など自動で計算します。また、給与収入額などから年金受給額も推定して計算しますので、50歳未満の年金定期便で将来の受給額が分からない世代でもシミュレーションすることが可能です。そして、結果を確認して、何歳まで働いた方が良いか、住宅ローンを繰上げ返済した方が良いか、保険を見直した方が良いかなど考えるきっかけになり、いろいろ試した結果を確認することができますので、ぜひライフプランシミュレーションをご活用ください。
なお、ライフプランシミュレーションは、入力項目を減らす目的から、一部に統計データを適用して計算するなどしており、実際の値とは若干異なることがあります。また、寿命や社会環境の変化などを含めて、将来を予測できるものではありませんので、ご理解の上ご利用ください。
(出典「高齢社会における資産形成・管理」(金融庁)(https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/01.pdf) を元にライフプラン・シム作成)
記事「ドル円相場と資産運用」 で、過去30年間のドル円相場から見て、今はドル売りを検討する時期で、利率が良いからと言って外貨建て(ここでは主にドル建て)の金融商品を買うことは慎重にと書きましたが、具体的にどの程度のリスクになるのかを確認してみましょう。
上側のグラフは、購入時のドル円レートが110円、120円、130円の場合に、ドル建て金融商品の税引後の利率(年利)がそれぞれ0.5%と1%、0.75%と1.5%、1%と2%であったとして複利で運用すると、運用年数によって損益分岐点がどうなるか、すなわちどの程度の円高まで損失が生じないか、を示しています。ただし、為替スプレッドをはじめ、商品によっては売買手数料、運用手数料、解約手数料が、また為替差益には税金がかかりますが、これらの手数料、税金は計算から除外しており、実際にはこれより悪くなります。
グラフの見方ですが、例えばいまドル円レートが130円でドル建て商品を購入した場合、利率が1%の商品だと、10年後に約117円まで円高が進んだだけで損失が出る、ということになります。これが、110円まで戻ってから購入したとすると、同じ利率が1%の商品であれば、10年後に約100円まで円高が進まないと損失は出ないことになります。また、円安になる場合はドルの金利が上がっている場合が多いため、今度は例えばドル円レートが130円で商品の利率が2%だとすると、10年後に約107円を切るまで円高が進まないと損失は出ないことになり、同じ130円で購入しても、損益分岐点が117円から107円に改善します。上記の例は運用年数10年で比較しましたが、運用年数が長くなるほど損益分岐点は改善します。このように、購入時のドル円レート、商品の利率、運用年数、そして実際には手数料も加わりますので、これらによってリスクが変わってきます。
下側のグラフは、過去30年間のドル円レートの分布(ヒストグラム)を示しており、横軸はドル円レートの範囲、縦軸は出現月数となっています。グラフから計算すると、過去30年間で見てドル円レートが130円以上になった割合は4.4%しかありません。一方、115~122円の水準は18.9%、109~115円の水準は22.5%、102~109円の水準は22.8%で、102円~122円の範囲が64.2%となっています。したがって、過去に照らせば、130円がいかに滅多にない円安であり、日米の金利差と、地政学的な要因などが重なっての円安であり、いずれ110円近辺の水準に戻るであろうことが推測されます。上の例での130円→117円と110円→100円のどちらのリスクが高いかが分かると思います。
もちろん、先ほど述べたように、運用年数が長くなるほど損益分岐点が改善しますし、長期的にみれば人口減少などの要因で円安傾向が強くなり、いつかは同程度の円安になる可能性はありますので、長期に渡って高い利率が保証される商品があれば、気長に待つという選択肢も無いわけではありません。そのような余裕資金があればということに限られますが、リスクが高いことはご理解いただけるかと思います。それでも、円安の時にドル建て商品を購入してしまった場合で、円高の時に満期や償還期限が来た場合には、ドルで受け取り外貨MMFなどを購入して、再び円安になるまで待つことができれば、為替差損を最小化できる可能性はあります。
「資産運用計算ツール」 には、外貨建て金融商品の損益計算ができる機能があり、購入金額、購入レート、売却レート、為替スプレッド、運用期間、外貨利率などを入力すると、損益のみならず、損益がゼロとなる売却レートも求めることができます。どなたでも自由にご利用になれますので、どうぞご活用ください。(2022/11/16 追加)
なお、為替相場は様々な要因で変動するものであり、過去の為替相場の傾向が将来も続くことを保証するものではありません。為替差損以外にも、それぞれの商品のリスクを正しく認識した上で、購入はご自分で判断してください。
(出典:「為替相場(東京インターバンク相場)(月次)」(日本銀行 時系列統計データ 検索サイト)(https://www.stat-search.boj.or.jp/ssi/mtshtml/fm08_m_1.html)のデータを引用し、ライフプラン・シム作成)
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