役立つコラムに新しい記事「在職老齢年金で支給停止部分は繰下げ受給の増額対象外」を投稿しました。65歳以降も働き、厚生年金の繰下げ受給を考えている方は、ぜひご確認ください。また、活用事例にも新しい記事「住宅ローン返済を軽減する方法」を投稿していますので、こちらもぜひお読みください。
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老齢厚生年金を受け取りながら厚生年金に加入して働く場合、年金月額と給与月額の合計が一定の基準額を超えると、年金の一部または全額が支給停止される在職老齢年金制度があります。一方、年金には受給開始時期を66歳以降に遅らせることで、年金額を増額することができる繰下げ受給制度があります。
在職老齢年金制度によって老齢厚生年金が減額されるのであれば、働いているうちは年金を受給せずに、退職後(例えば70歳)から年金を受給開始して、年金受給額を増やしたいと考えるのは自然なことです。しかし、増やしたはずの年金が思ったほど増えなかった、ということになりかねませんので、後悔しないように制度をよく理解しておくことが必要です。
在職老齢年金制度
老齢厚生年金を受け取りながら働く場合、年金基本月額(※1)と給与の総報酬月額相当額(※2)の合計が、51万円(令和7年の基準額で、令和8年には62万円に引上げ)を超えると、超えた金額の半分が年金基本月額から減額される制度です。なお、老齢基礎年金(国民年金)は在職老齢年金制度の対象外で、支給停止になることはありません。
在職老齢年金月額=年金基本月額―(年金基本月額+総報酬月額相当額―基準額)÷2
この式から、総報酬月額相当額が(基準額+年金基本月額)を超えると、在職老齢年金月額は全額支給停止となります。また、老齢厚生年金を受給しながら厚生年金に加入して働いている65歳以上70歳未満の方は、厚生年金保険料を納めているため、毎年10月からの年金額が見直されます。これを在職定時改定といいます。したがって、在職老齢年金月額も、年金額と給与額双方の変動の影響を受けることになります。
(※1)年金基本月額:加給年金額を除いた老齢厚生年金の月額
(※2)総報酬月額相当額:その月の標準報酬月額+(その月以前1年間の標準賞与額)÷12
年金の繰下げ受給制度
老齢年金は65歳から受給できますが、65歳で受け取らずに、66歳以降75歳までの間に繰下げて(66歳未満までの繰下げはできない)、受け取る年金額を増やすことができる制度です。
1ヶ月繰下げるごとに年金額が0.7%増加し、75歳まで繰下げた場合には84%の増加となり、増加率は一生変わりません。また、老齢基礎年金と老齢厚生年金は別々に繰下げを選択することができます。なお、特別支給の厚生年金には繰下げ制度はありません。
ただし、年金の繰下げ制度には注意点が多々あります。厚生年金の加給年金額や振替加算額は増額の対象にならず、繰下げ待期期間中(年金を受け取っていない期間中)は加給年金も振替加算も受け取れません。また、他の公的年金(遺族年金など)の受給権を得た場合には、その時期が66歳未満の場合は繰下げることはできず、66歳以降の場合はその時点で増加率が固定され、以後年金請求を遅らせても増額されない(※3)、などです。
(※3)このうち、遺族厚生年金については、令和7年の法改正により、令和10年4月1日以降次のように改善されます。
・老齢厚生年金は、遺族厚生年金の請求を行っていない場合に限り、繰下げ請求することができるようになります。
・老齢基礎年金は、遺族厚生年金の請求の有無にかかわらず、繰下げ請求することができるようになります。
背景として、老齢厚生年金額が遺族厚生年金額を上回ると遺族厚生年金を受け取れないにもかかわらず、遺族厚生年金の受給権を得た時点で老齢厚生年金の繰下げができないという制限があり、これを改善するものです。
在職老齢年金制度と年金繰下げ受給制度
65歳以降に厚生年金に加入して働いていた場合で、在職老齢年金制度により支給停止になった老齢厚生年金額は、繰下げをして待期期間により年金を受け取っていなくても、繰下げによる増額の対象外となります。上の図に、詳細を図示していますのでご参照ください。在職老齢年金制度の方が繰下げ受給制度よりも適用される優先度が高いということになります。
例えば、在職老齢年金制度で老齢厚生年金が全額支給停止になる場合、繰下げても増額されません。増額になると期待していると大変がっかりすることになります。一部支給停止の場合は、繰下げにより増額になりますが、支給停止の割合に応じて増加率が下がります。それによって、支給停止されない場合と比較して損益分岐年齢が高くなりますので、注意してください。
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「在職老齢年金の基準額の引上げ、加給年金などの子の加算額の引上げ」
(出典:「在職老齢年金の計算方法」(日本年金機構)(https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/roureinenkin/zaishoku/20150401-01.html)、
「年金の繰下げ受給」(日本年金機構)(https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/roureinenkin/kuriage-kurisage/20140421-02.html)を元にライフプラン・シム作成)
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