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    役立つコラムに新しい記事「相続財産の売却益にかかる税金と特例」を投稿しました。相続税を納めた場合であっても、相続財産を売却すると、売却益に所得税・住民税が課されます。ただし、一定の要件を満たせば、節税できる特例があります。詳しくは記事をお読みください。

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60歳以上の雇用者への給付金


 2022/06/06

 [ライフプラン]

70

貯蓄と負債の統計データ


 2022/05/19

 [資産運用]

69

老後の資金は足りるか


 2022/05/17

 [ライフプラン]

68

外貨建て金融商品の利率と為替変動耐力


 2022/05/04

 [資産運用]

67

ドル円相場と資産運用


 2022/04/25

 [資産運用]

66

住宅の統計データ


 2022/04/20

 [不動産]

65

贈与税の暦年課税と相続時精算課税


 2022/04/06

 [税金]

7件/全113件

60歳以上の雇用者への給付金
拡大可

 60歳以上の高年齢者の雇用を支援するために、一定期間雇用保険に加入している被保険者に対して、様々な給付金が支給されます。

(1)基本手当(失業給付)

①給付の概要
・被保険者が離職して、受給開始日※の年齢が65歳未満で、就職の意思があるにもかかわらず職に就けない場合に支給される
※受給開始日:離職日の翌日で、基本手当の受給が可能な期間の基準日

②支給される金額と条件
・離職日以前2年間に、被保険者期間が通算して12ヶ月以上
・特定受給資格者、特定理由離職者※については、離職日以前1年間に、被保険者期間が通算して6ヶ月以上
・受給開始日の年齢が65歳未満の被保険者で、受給期間は原則、受給開始日から1年間(定年等による離職の場合は最長1年間、病気やけがの場合は最長3年間延長可能)
・基本手当が支給されるのは受給期間内であって、ハローワークに離職票を提出し、待機期間および給付制限期間を経過後、その翌日から所定給付日数の期間
・受給のためには、一定期間毎に、離職して求職中であることの「失業の認定」を受ける
・所定給付日数は、離職日における年齢、雇用保険の被保険者であった期間及び離職の理由などによって決定され、90日~360日の間でそれぞれ決められる
・支給される基本手当日額は、離職した日の直前の6ヶ月に支払われた賃金(賞与等は除く)の合計を180日で割って算出した金額(賃金日額)の50~80%(60歳~64歳は45~80%)で、年齢区分ごとに上限額が決められている
※特定受給資格者:倒産、解雇などにより離職した者
 特定理由離職者:期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、労働契約の更新がないことにより離職した者

③年金との併給調整
・基本手当を受給する間は、特別支給の老齢厚生年金は全額支給停止

(2)高年齢雇用継続基本給付金

①給付の概要
・60歳以降も継続して雇用されるか、あるいは60歳到達日※前に離職して基本手当を受取らずに1年以内に60歳以上で再就職した場合で、60歳から65歳の賃金が、60歳到達日の賃金の75%未満である場合に支給される
※60歳到達日:60歳の誕生日の前日

②支給される金額と条件
・雇用保険への加入期間(基本手当を受給したことがある場合は、受給後の期間)が5年以上の被保険者
・60歳以上65歳未満(65歳に達する月を含む)の各月の賃金が、60歳到達日(60歳時点で離職している場合は離職時点、60歳時点で加入期間5年以上を満たさない場合は5年以上となった時点)の賃金月額に対して、75%未満に低下した場合
・賃金月額の上限は473,100円、下限は77,310円(2021年)として計算
・61%以下に低下した場合は、雇用継続後の各月の賃金の15%相当額を給付
・61%超75%未満に低下した場合は、その低下率に応じて、各月の賃金の15%相当額未満の額を給付
・各月の賃金+給付額が支給限度額360,584円(2021年)を超える場合は、超えた額を減じて給付
・給付金の支給額が最低限度額2,061円(2021年)を超えない場合は支給されない

③年金との併給調整
・高年齢雇用継続基本給付金を受給しながら、特別支給の老齢厚生年金を受給する場合、年金の一部(賃金の最大6%相当額)が減額される

(3)高年齢再就職給付金

①給付の概要
・退職後に基本手当を受給し、60歳以降に再就職した場合で、基本手当の支給残日数が100日以上の場合に支給される

②支給される金額と条件
・再就職後の賃金が、基本手当の基準となった賃金日額を30倍した額の75%未満である場合
・基本手当の支給残日数が100日以上200日未満の場合は、賃金の最大15%を1年間
・基本手当の支給日数が200日以上の場合は、賃金の最大15%を2年間
・60歳以後の就職した日の属する月(就職日が月の途中の場合、その翌月)から、1年又は2年を経過する日の属する月まで(ただし65歳に達する月が限度)
・賃金月額の上下限、ならびに支給限度額は、高年齢雇用継続基本給付金に同じ

③再就職手当、年金との併給調整
・高年齢再就職給付金と再就職手当※のどちらか一方を受給した場合は、同時に他方は受給できない
・高年齢再就職給付金を受給しながら、特別支給の老齢厚生年金を受給する場合、年金の一部(賃金の最大6%相当額)が減額される
※再就職手当:基本手当の支給残日数が3分の1以上、離職前の事業主の再雇用ではない、安定した職業に就くことなどの条件により、基本手当の残額の60~70%が一括支給される

(4)高年齢求職者給付金

①給付の概要
・65歳以上の被保険者が離職して、就職の意思があるにもかかわらず職に就けない場合(短期雇用特例被保険者や日雇労働被保険者を除く)に支給される

②支給される金額と条件
・離職前1年間に被保険者期間が通算して6ヶ月以上、受給開始日の年齢が65歳以上の被保険者
・給付金が支給されるのは受給期間内であって、ハローワークに離職票を提出し、待機期間および給付制限期間を経過後、離職して求職中であることの「失業の認定」を受ける
・被保険者であった期間が1年未満の場合は、基本手当日額の30日分を一時金で支給
・被保険者であった期間が1年以上の場合は、基本手当日額の50日分を一時金で支給

③年金との併給調整
・高年齢求職者給付金と老齢厚生年金との併給調整は無く、両方とも受給可能

(出典:「高年齢雇用継続給付についてのリーフレット」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001129232.pdf)他を元にライフプラン・シム作成)


貯蓄と負債の統計データ
拡大可

 グラフは2021年の統計調査のうち、貯蓄と負債に関する家計調査の結果を表しています。家計調査は、一定の統計上の抽出方法に基づき全国約9,000世帯に対して毎月行っている調査で、上のグラフは約3,300世帯の二人以上勤労世帯の収入階級別に、下のグラフは約5,900世帯の二人以上世帯の年齢階級別に、世帯の貯蓄と負債の残高を平均したものです。負債についてはマイナスで表示し、貯蓄については、有価証券、保険、預貯金(その他を含む)に分類して積み上げグラフで表示しています。また、各階級ごとの平均収入を折れ線グラフで表し、上のグラフのみ階級の分布も折れ線グラフ(右の軸)で表しています。なお、収入階級が800万円未満は50万円刻みであるのに対して、800万円以上は100万円刻み、1,000万円以上は250万円刻みとなっているため、800万円、1,000万円を境に分布が不連続になっていますのでご注意ください。

 上の収入階級別グラフを見ると、最も分布が多い500~550万円で貯蓄が約1,000万円、負債が約700万円となっており、そこから収入が増えても負債はそれほど増えておらず、収入が高いほど負債の割合が減り、貯蓄が急に増加していく傾向が見られます。また、収入が700万円を超えたあたりからその傾向が強くなっています。これは、年齢と共に収入が増加する賃金体系とも関わっており、下の年齢階級別グラフでも40代あたりで700万円を超え、50代まで収入が増加する中で子供が独立して教育費が減り、負債の返済が進み、貯蓄を増やしやすくなっていることの現れであると言えます。そして、貯蓄の中でも、保険や有価証券の比率が高まっていく時期でもあることが分かります。また、60代で預貯金が増加するのは主に退職金によるものです。一方、負債を見ると30代が最も多くなっており、若い世代でも平均で年収の2倍前後の負債を有し、将来に向けて住宅という資産の取得を行っていることが分かります。

 このように見ると、50代が如何に老後に向けた資産作りの時期として重要であることが分かると思います。実はあまり意識しなくても、教育費が減ることで自然と貯蓄が増えはしますが、その分贅沢をして支出を増やしたり、ただ漫然と預貯金だけ増えた場合と、意識して老後資産を作ろうと取り組んだ場合では、結果も大きく変わってくるものです。資産作りの基本は、ドルコスト平均法(一定額を積立て)で時間を味方にしてリスク低減、長期運用で複利効果の2つであり、共通するのは「時間」ですから、スタート時点で差がついてしまいます。他にもリスク低減策としての投資先の分散や低コスト商品の選択なども重要ですが、時間だけは取り戻せませんので、後悔先に立たずとならないよう、早くから取り組んでください。

 老後資産に限らず資産形成として有効な方法は「積立て」です。時間によるメリットがあることはもちろんですが、生活費として使える上限を設定することにもなり、使い過ぎが抑えられます。そもそも、積立てに回すお金がないと思っても、生活費の中の無駄を見つけてみましょう。生活費の実体を視える化するだけでも意識が変わります。達成できれば自信に繋がりますので、一段づつステップを登りながら積立て癖を付けてください。なお、積立ての中で、リスクがあるがリターンも期待できる投資に何割、元本保証の金融商品に何割というように、商品ごとに金額を分けて積立てることが基本です(「金融資産のアセットアロケーション」 の記事参照)。さらに、投資にNISAや積立てNISAなどの非課税枠を活用するのとしないのとでは差が出ます。最大限活用することをお勧めします(「NISAの延長と改正」 の記事参照)。

 グラフの中で自分の世帯はどの辺に位置づけられるか、自分と同じくらいの収入や年齢の世帯が、どれくらいの貯蓄をしているのか、どれくらいの負債が残っているか、ちょっと比較して頑張ってみるのも良い刺激になると思います。また、ライフプランシミュレーションを利用すれば、積立てが将来のキャッシュフロー(「キャッシュフロー表」 の記事参照)に与える影響や、どれくらいの資産を形成できるかなど、ポートフォリオ(投資先の組合せ比率)を変えるなどして試算することができます。資産形成にぜひお役立てください。

(出典:「家計調査 貯蓄・負債編 2021年」(総務省統計局)(https://www.stat.go.jp/data/sav/sokuhou/nen/index.html) を元にライフプラン・シム作成)


老後の資金は足りるか
拡大可

 2019年6月に金融庁の金融審議会の市場ワーキンググループが発表した、「老後の資金は2,000万円必要」と言う報告が国会で議論になり、財務大臣が火消しをするという事態がありました。この報告の内容は、老後の無職夫婦世帯の平均収入から平均支出を差し引いた赤字額(約5万円/月)と老後年数(20年~30年)を掛けると、老後の不足額の総額は1,300~2,000万円になるという、全国平均額を用いた単純計算に基づくものです。報告書にも「この金額はあくまで平均の不足額から導きだしたものであり、不足額は各々の収入・支出の状況やライフスタイル等によって大きく異なる」と書かれています。また、このままでは不足しているだけのように捉えられますが、60代の平均貯蓄額は約2,300万円であり、ここから平均負債額の200万円を差し引いた実質の平均貯蓄額は約2,100万円となり、足りる計算にはなります。ただし、平均での計算ですので、実際には余裕のある世帯もあれば、不足している世帯もあるということになります。また、みなさんが老後の資金として十分と考える貯蓄額とは、平均で2,000万円前後のギャップがあり、十分ではないと感じているようです。

 報告書にもあるようにこれは全国平均の話しであり、個々には様々な要因があって、不足額は大きく異なるものではありますが、老後資金の概算を求める場合の考え方は個々にも当てはめられますので、整理しておきましょう。特に50代の方はそろそろ退職後を意識する時であり、子供が独立した後は老後資金を増やせるチャンスでもあることから、一度計算をしてみることをお勧めします。

 老後の定義は、退職して生活を支える就労収入が無くなった後と考えるのが一般的です。したがってあなたが退職を予定している年齢以降とします。また、平均余命から考えると、老後年数が何年あるかが計算できます。例えば65歳で退職したら20~25年程度でしょうか。次に収入と支出ですが、老後の収入は公的年金が主になります。年金がいくら貰える見込みかは、50歳以上の方であれば「年金定期便」で確認できます。老後年数のうち、年金を貰う年数を受給年数として、総収入額=受給額×受給年数で求められます。公的年金以外に、企業年金や個人年金などの収入があれば総収入額に加算します。ただし、このあと収支を計算するためには、ここでの総収入額から税金や社会保険料を差し引く必要があります。正確には総収入額によって税率も変わってきますが、ここでは概算として収入の12%13%(2022/7/14 訂正)を差し引いてください。

 一方、老後の支出は現役時よりも一般的に減少しますが、ここでは子供が独立した後の生活費を基準として、総支出額=年間生活費×老後年数で求めます。そして、一般的に老後は支出>収入となりますので、総支出額-総収入額=必要な老後資金となります。最後に、ここで求めた必要な老後資金が、老後までに準備できるかを確認します。老後資金の原資となるのは、現在の貯蓄額、退職までに増加する見込みの貯蓄額、退職金の見込み額(税引後)、その他の収入額(税引後)です。なお、退職金の所得税には勤続年数に応じた控除があり、勤続年数が37年であれば約2,000万円まで非課税ですので、ここから大きく違わなければそのまま加算して構いません。これらを全て合計して、必要な老後資金の金額と比較すれば、おおよその過不足が確認できます。

 以上のような手順となりますが、この概算にはいくつかの誤差が含まれています。まず、退職までの収入金額(ここでは給与収入と仮定)ですが、実際には年齢によって増減があります。また、退職金の税金ですが、勤続年数、退職金額によって非課税とならない場合があります。年金収入に対する税金、社会保険料の金額についても、前述のように実際には収入額によって増減します。さらに、ご夫婦の場合、実際には年齢差があって、男女では平均余命が異なります。夫婦それぞれで老後年数には差があって、片方が亡くなられた後は支出額も減少します。また、住宅ローンや保険料などには支払い期間があって、老後に減るものもありますが、それらもここでは考慮していません。したがって、十分な蓄えがある場合を除いて、一般的には不足がちの結果になることが予想されます。

 そこで、もう少し精度よく確認する方法として、ライフプランシミュレーションを利用する方法があります。ライフプランシミュレーションでは、前述のような誤差を少なくする仕組みが組み込まれています。住宅ローンの返済額や保険料などの追加の入力が必要ですが、それら以外の税金や社会保険料など自動で計算します。また、給与収入額などから年金受給額も推定して計算しますので、50歳未満の年金定期便で将来の受給額が分からない世代でもシミュレーションすることが可能です。そして、結果を確認して、何歳まで働いた方が良いか、住宅ローンを繰上げ返済した方が良いか、保険を見直した方が良いかなど考えるきっかけになり、いろいろ試した結果を確認することができますので、ぜひライフプランシミュレーションをご活用ください。

 なお、ライフプランシミュレーションは、入力項目を減らす目的から、一部に統計データを適用して計算するなどしており、実際の値とは若干異なることがあります。また、寿命や社会環境の変化などを含めて、将来を予測できるものではありませんので、ご理解の上ご利用ください。

(出典「高齢社会における資産形成・管理」(金融庁)(https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/01.pdf) を元にライフプラン・シム作成)


外貨建て金融商品の利率と為替変動耐力
拡大可

 記事「ドル円相場と資産運用」 で、過去30年間のドル円相場から見て、今はドル売りを検討する時期で、利率が良いからと言って外貨建て(ここでは主にドル建て)の金融商品を買うことは慎重にと書きましたが、具体的にどの程度のリスクになるのかを確認してみましょう。

 上側のグラフは、購入時のドル円レートが110円、120円、130円の場合に、ドル建て金融商品の税引後の利率(年利)がそれぞれ0.5%と1%、0.75%と1.5%、1%と2%であったとして複利で運用すると、運用年数によって損益分岐点がどうなるか、すなわちどの程度の円高まで損失が生じないか、を示しています。ただし、為替スプレッドをはじめ、商品によっては売買手数料、運用手数料、解約手数料が、また為替差益には税金がかかりますが、これらの手数料、税金は計算から除外しており、実際にはこれより悪くなります。

 グラフの見方ですが、例えばいまドル円レートが130円でドル建て商品を購入した場合、利率が1%の商品だと、10年後に約117円まで円高が進んだだけで損失が出る、ということになります。これが、110円まで戻ってから購入したとすると、同じ利率が1%の商品であれば、10年後に約100円まで円高が進まないと損失は出ないことになります。また、円安になる場合はドルの金利が上がっている場合が多いため、今度は例えばドル円レートが130円で商品の利率が2%だとすると、10年後に約107円を切るまで円高が進まないと損失は出ないことになり、同じ130円で購入しても、損益分岐点が117円から107円に改善します。上記の例は運用年数10年で比較しましたが、運用年数が長くなるほど損益分岐点は改善します。このように、購入時のドル円レート、商品の利率、運用年数、そして実際には手数料も加わりますので、これらによってリスクが変わってきます。

 下側のグラフは、過去30年間のドル円レートの分布(ヒストグラム)を示しており、横軸はドル円レートの範囲、縦軸は出現月数となっています。グラフから計算すると、過去30年間で見てドル円レートが130円以上になった割合は4.4%しかありません。一方、115~122円の水準は18.9%、109~115円の水準は22.5%、102~109円の水準は22.8%で、102円~122円の範囲が64.2%となっています。したがって、過去に照らせば、130円がいかに滅多にない円安であり、日米の金利差と、地政学的な要因などが重なっての円安であり、いずれ110円近辺の水準に戻るであろうことが推測されます。上の例での130円→117円と110円→100円のどちらのリスクが高いかが分かると思います。

 もちろん、先ほど述べたように、運用年数が長くなるほど損益分岐点が改善しますし、長期的にみれば人口減少などの要因で円安傾向が強くなり、いつかは同程度の円安になる可能性はありますので、長期に渡って高い利率が保証される商品があれば、気長に待つという選択肢も無いわけではありません。そのような余裕資金があればということに限られますが、リスクが高いことはご理解いただけるかと思います。それでも、円安の時にドル建て商品を購入してしまった場合で、円高の時に満期や償還期限が来た場合には、ドルで受け取り外貨MMFなどを購入して、再び円安になるまで待つことができれば、為替差損を最小化できる可能性はあります。

 「資産運用計算ツール」 には、外貨建て金融商品の損益計算ができる機能があり、購入金額、購入レート、売却レート、為替スプレッド、運用期間、外貨利率などを入力すると、損益のみならず、損益がゼロとなる売却レートも求めることができます。どなたでも自由にご利用になれますので、どうぞご活用ください。(2022/11/16 追加)

 なお、為替相場は様々な要因で変動するものであり、過去の為替相場の傾向が将来も続くことを保証するものではありません。為替差損以外にも、それぞれの商品のリスクを正しく認識した上で、購入はご自分で判断してください。

(出典:「為替相場(東京インターバンク相場)(月次)」(日本銀行 時系列統計データ 検索サイト)(https://www.stat-search.boj.or.jp/ssi/mtshtml/fm08_m_1.html)のデータを引用し、ライフプラン・シム作成)


ドル円相場と資産運用
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 一般的には、景気が良くなり、不動産や株価、物価が上がると、インフレを抑制するために金利が上がり、そうすると不動産や株価が下がってきます。投資家はそれらを売って、金利が高い債券を購入するなどのお金の流れになります。逆に景気が悪くなり、不動産や株価、物価が下がると、お金を借りやすくするために金利が下がり、消費や投資が増えてくると不動産や株価、物価が上がってきます。投資家は債券を売って、不動産や株式に投資を行うなどのお金の流れになります。このように景気は周期的に変動するもので、日米の景気の状態やインフレ率の違いによる金利差に加え、このところの地政学的な要因から円が売られてドルが買われ、20年ぶりの円安ドル高の水準を迎えています。

 過去30年間のドル円相場(グラフ)を見ると、1995年に1ドル79.8円の円高の後、アジア通貨危機もあって1998年に147.7円の円安に、その後は100円~130円を変動し、2008年のリーマンショック前後では100円を切り、東日本大震災後の2011年に75.3円の最高値を記録します。震災後は低金利政策により2015年に125.5円の円安まで戻って、その後は105円~115円前後で推移していました。30年間で言えば、瞬時を除いておおよそ80円~130円の範囲で周期的に変動していることになり、単純平均値は108.7円ということになります。

 このように、ドル円相場は過去30年という長期に渡って、一定の範囲内で変動していることから、株価などと比較して先が読みやすいとも言えます。例えば平均値の108円でドル買いしたとしても、130円でドル売りをすれば約20%の譲渡益が得られます。ただし、今後も過去30年間の変動範囲を超えないとは言い切れず、また人口減少や国家財政の悪化による信用度の低下により、100円を切る円高が今後訪れるかは分かりませんが、円高傾向になった時にはドル買いをして仕込み、円安を迎えた時にドル売りをする、そのように考えておくことで、比較的低いリスクで為替差益を得ることができます。将来来るかもしれない変動範囲を超えた円安に備えることもできます。

 現在ドルを何らかの形で持っている方で、短期的な為替差益を得たい方は、そろそろ売ってもよい時が近づいていると言えます。また、円安の時に外貨建て商品を購入、契約して失敗したと思っている方も、解約を検討するチャンスでもあります。ただし、保有年数が少ないと解約返戻金が元本を下回る商品もありますので、円安により売却益が出るかよく確認してください。

 いつか来るであろう円高の時に購入する外貨建て商品としては、主に為替相場による利益を目指すのであれば、元本の変動リスクが少ない保険や債券、預金が適しています。将来のインフレ、円安に備えて保有期間を長期に考えるなら保険、債券などで、やや短期で考えるのであれば外貨MMF、外貨預金などになるでしょう。ただし、外貨預金以外は、為替スプレッド(手数料)以外に購入手数料や運用手数料などが掛かる場合があります。手軽に始めるなら、購入手数料が掛からず、多少の金利が付いていつでも売り買いできる(と言ってもリアルタイムではありませんが)外貨MMFあたりがよいでしょう。また、外貨MMFを保有していると、それを解約して外貨預り金にすれば、他の外国債券や外国株式を購入することもでき、為替スプレッドがかからず、また為替相場を気にせずに取引することができます。

 なお、外貨建て金融商品の譲渡益や分配金、利子等には所得税、住民税が課せられます。詳細は「外貨建て金融商品」 を参照ください。一方、為替スプレッドは、証券会社や金融機関、保険会社によって異なりますので、良く調べた方が良いでしょう。また、保険商品などでも、保険料を一括で支払うよりも、年払などで何年かに分けて支払うタイプを選択すれば、為替相場を見ながら前払いすることもでき、時間分散によってリスクを減らすことができます。外貨MMFや外貨預金であっても、何回かに分けて為替相場を見ながら購入した方がより安全です。

 今後もさらに円安が進むから、いま利率の良い外貨建て商品を買った方が良い、などと言う近視眼的な勧誘にはくれぐれも注意してください。特に長期間売却できない商品の購入には慎重さが必要です。(2022/9/24)為替リスクを負いたくなければ、あくまでも過去の実績を見た上で、買い時と売り時を見極めて、じっくりその時を待つことも必要です。

 また、過去の為替相場の傾向が将来も続くことを保証するものではありません。為替差損が生じるリスクを認識した上で、購入はご自分で判断してください。

(出典:「為替相場(東京インターバンク相場)(月次)」(日本銀行 時系列統計データ 検索サイト)(https://www.stat-search.boj.or.jp/ssi/mtshtml/fm08_m_1.html)のデータを引用し、ライフプラン・シム作成)


住宅の統計データ
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 平成30年の住宅・土地統計調査(総務省統計局)によると、居住世帯のある住宅(以下「住宅」)の所有関係を見ると、持ち家が3280万2千戸で、住宅総数に占める割合(持ち家率)は61.2%とのことです。グラフには、1973年からの持ち家率の推移を示していますが、核家族化に伴って住宅総数は増加しているものの、持ち家率は60%前後で変わらないことが分かります。ただし、都市部の持ち家率は低い傾向にあり、東京都は45.0%、福岡県52.8%、大阪府54.7%となっています(都市部以外では沖縄県44.4%、北海道56.3%も低い)。逆に持ち家率が高いのは秋田県77.3%、富山県76.8%、山形県・福井県74.9%などとなっています。都市部では学生や単身の社会人も多く、住宅価格も高いことを反映した数字であると言えます。また、1906万5千戸ある借家ですが、その約8割が民間借家となっています。

 なお、平成20年の統計データですが、持ち家率を年齢別にみると、
 30~34歳:30%
 35~39歳:46%
 40~44歳:58%
 45~49歳:67%
 60歳以上:80%
となっています。収入別にみると、
 200万円未満:47%
 200~300万円:57%
 300~400万円:59%
 400~500万円:63%
 500~700万円:71%
 700万円以上:80%
と、年齢が上がり、収入が上がるほど持ち家率が高いことが分かります。

 その他の統計データでは、空き家率の増加が目につきます。全国平均では13.6%で、最も高いのは山梨県の21.3%、次いで和歌山県20.3%、長野県19.6%ですが、移住先として人気が高かったりもします。逆に最も低いのは沖縄県の10.4%、次いで東京都の10.6%、神奈川県の10.8%などとなっています。

 1戸あたりの1ヶ月家賃の平均では、東京都が81,001円(5,128円/畳)で最も高く、続く神奈川県68,100円(3,898円/畳)、埼玉県59,358円(3,276円/畳)と比べても格段に高いことが分かります。逆に安いのは、鹿児島県37,863円(2,016円/畳)、青森県38,264円(1,882円/畳)、宮崎県38,353円(1,972円/畳)と、東京都の半分以下となっています。

 一方、住宅あたりの面積の平均で見ると、東京都は65.18㎡と最も狭く、次いで沖縄県75.31㎡、神奈川県77.80㎡となっています。逆に広いのは富山県143.57㎡、福井県136.89㎡、山形県133.57㎡となっており、なんと東京都の2倍以上です。こうして見ると、東京都は利便性が高い代わりに、価格も高く、狭く、住みにくいということが数字からも良くわかります。

 首都圏の新築マンション平均価格はバブル期を超え、世界情勢により原材料費や燃料代も値上りする一方、賃金はなかなか思うようには上がらず、ますます手が届かなくなりつつあります。コロナ禍でテレワークが進み、ロケーションフリーな職種も増えてきている中、人生のどの時期に何に価値を置いて、どこにどのような形で住むのか、広い視野を持って見つめ直してみるのも良い機会かもしれません。

(出典:「平成30年住宅・土地統計調査 調査の結果」(総務省統計局)(https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2018/tyousake.html)を元にライフプラン・シム作成)


贈与税の暦年課税と相続時精算課税
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 「贈与税の特例」 の記事に、直系尊属からの結婚・子育て資金の一括贈与(令和7年3月31日まで)、教育資金の一括贈与(令和8年3月31日まで)、住宅取得等資金の贈与における非課税枠(令和8年12月31日まで)について説明しましたが、そもそも贈与税においては、暦年課税と相続時精算課税(主に相続時に納税する方法)と言う2つの課税方法があり、一定の要件を満たせば相続時清算課税を選択することができます。特例と合わせて、課税方法の特徴を知ることで、生前贈与のハードルが下がります。(2024/9/9 期限を一部修正)

 まず、贈与税は、贈与を受ける人(以降、受贈者)に納税の義務があり、1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産が対象となります。そして、贈与税がかかる場合、相続時清算課税を適用する場合は、贈与があった翌年の2月1日から3月15日までの間に申告と納税をする必要があります。なお、納税する受贈者が、贈与する人(以降、贈与者)ごとに2つの課税方法のどちらか一方を選択することができます。したがって、例えば父母それぞれに違う課税方法を選択することも可能です。ただし、相続時精算課税は、一度選択すると相続する時まで変更できませんので注意が必要です。

(1)暦年課税

 1人の受贈者が1年間にもらった財産の合計金額から、基礎控除額の110万円を差し引いた残りの金額に対して贈与税がかかる課税方法です。したがって、1年間にもらった財産の金額が110万円以下であれば贈与税はかからず、申告の必要はありません。また、複数の人から贈与を受けた場合でも、受けた財産の合計金額が対象となります。ただし、相続時精算課税を選択した贈与者からの贈与財産は除きます。

 逆に、贈与者から見れば、1年間に受贈者1人あたり110万円までは非課税で贈与できることになりますので、父母や祖父母から子や孫への生前贈与として活用できます。ただし、毎年、一定の金額を複数年に渡って贈与する定期贈与の場合は、本来一括の贈与を分割しているとみなされ、毎年の基礎控除の対象となりません。年ごとに必要な目的に合わせて、都度必要な金額を贈与し、それを互いが合意していることの確証を残しておくと安心できます。また、贈与者が亡くなった場合、3年以内の暦年贈与については、基礎控除以下の金額であっても相続財産に加算され、加えて7年~4年以内の暦年贈与については、その総額から100万円を控除して相続財産に加算されますので、贈与する時期にも注意してください。

(2)相続時精算課税

 暦年課税では、所得税や相続税と同様に超過累進課税が適用され、相続税よりも高い税率が適用されるため、110万円を超える財産を一括して生前に贈与したくても、贈与税が高くて躊躇してしまう場合があります(グラフ参照)。一定の要件を満たす場合に、そうした生前贈与を可能とする制度として相続時清算課税があります。

 原則として1月1日時点で60歳以上の父母、祖父母から、成人年齢(2022年4月1日からは18歳)以上の子または孫(推定相続人)に対して贈与した財産に適用できる課税方法で、贈与者ごとにこの課税方法を適用するかどうかを、受贈者が選択できる課税方法です。この課税方法を選択した年以降、該当の贈与者からの贈与財産全てが対象となり、贈与者が亡くなるまで暦年課税に戻すことはできません。なお、この課税方式を適用する贈与財産を受取った翌年に、相続時清算課税選択届書を提出し、以後、贈与の度にその翌年に申告する必要があります。申告しないと、その年の贈与についてはこの課税方法の適用が受けられません。

 この課税方法を適用した贈与者からの贈与財産の毎年110万円までは贈与税が非課税となり、この控除分を除く累積額のうち、最大で2,500万円まで贈与税が非課税となります。これを超える財産に対しては一律20%の贈与税を、贈与が発生した年の翌年に一旦納税することになります。しかし最終的には、相続時にこの贈与財産(毎年110万円までの控除分を除く)を相続財産に加えて相続税を計算し、納税した贈与税を差し引いて清算することになるため、いわば相続税の一部を贈与税と言う形で前払いすることで、生前にまとまった財産の贈与を受けられる課税方法です。相続税額が納税した贈与税額より少ない場合は差額が還付されます。

 ただし、注意が必要なのは、原則として相続時の清算では贈与時の財産価額が適用されることです。したがって、贈与時の財産価額よりも相続時の財産価額が低下した場合には、相続時清算課税を適用しない場合と比較して相続税額が増加します。なお、土地、建物が災害により一定以上の被害を受けた場合には、相続時点で評価し直します。また、土地を生前贈与すると、相続税の小規模宅地等の特例(居住用330㎡以下、事業用400㎡以下は80%を、貸付事業用200㎡以下は50%を減額できる特例)が適用できなくなり、相続時の土地評価額が高くなり、相続税も増加します。逆に、相続時の財産価額が上昇した場合は、相続税が減少します。この点を踏まえ、贈与時と相続時の財産価額の変動リスクはどの程度かなどを推定して、相続時清算課税を選択するのか、選択したとしてもどの財産を生前贈与の対象にするかなど慎重に検討することが重要です。(2023/7/4 令和5年度税制改正により下線部加筆修正

 一般的には、賃貸不動産のように収益を生む財産を早く贈与することで、収益ごと贈与できるメリットや、将来値上りが見込める、あるいは少なくとも値下がりするリスクが無い、あるいは相続財産に生前贈与分を加算したとしても相続税が非課税の範囲内であることにより(2022/11/24 追記)、まとまった資金を一括贈与できるメリットなど(いずれの場合も、小規模宅地は除く)、明確なメリットが無い限り、生前贈与は暦年課税や特例の活用を考える方が無難と言えるでしょう。

 なお、令和4年度の税制改正の議論の中で、相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直すなど(中略)の本格的な検討を進める、とありますので、今後も目が離せません。2023/7/4 削除

(出典:「贈与税がかかる場合」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4402.htm)他を元にライフプラン・シム作成)


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