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103

自動車の販売価格が上昇


 2024/02/07

 [ライフプラン]

101

マンションの相続税評価額が上がる


 2024/01/17

 [不動産]

100

空き家の保有、売却にかかる税金


 2023/09/25

 [不動産]

99

リスキリングによる転職の支援


 2023/09/14

 [ライフプラン]

97

健康保険の被扶養者(扶養家族)の要件


 2023/08/29

 [保険・医療]

7件/全110件

自動車の販売価格が上昇
拡大可

 グラフは、経済産業省の生産動態統計をもとに作成した、自動車(乗用車)の排気量別の平均販売価格と販売台数の推移を示しています。販売台数には輸出分も含まれており、2022年では国内販売台数が約345万台、輸出が約310万台で、合計655万台となっています。小型車は5ナンバー車で、普通車は3ナンバー車です。

 平均販売価格は、それぞれのクラスごとに総販売価格を販売台数で割って求めており、2022年では、普通車が314万円(2010年比+49%、前年比+13%)、小型車が187万円(同+34%、+9%)、軽自動車が127万円(同+37%、+8%)となっています。特に、2022年は上昇率が高くなっており、実感と一致しているのではないでしょうか。

 世界的な物価上昇と円安により、さまざまな材料価格、エネルギー価格や人件費、輸送費が上昇し、自動車の製造もその影響を受けていることの表れです。また、長期的に見ると、ガソリン車よりも価格が高いハイブリッド車などの環境先進車の比率が徐々に高まっていることや、運転支援機能の高度化、装着車の増加なども、販売価格を押し上げている要因となっています。

 一方、国税庁の民間給与実態統計調査によると、その間の平均給与額は、2010年が412万円、2022年が458万円(2010年比+11%)にとどまっていますので、例えば小型車の平均販売価格が平均年収に占める比率は、34%から41%に上昇しています。それも、以前より自動車の販売価格が高いと感じる一因ではないでしょうか。

 次に、販売台数を見ると2020年から落ち込んでいますが、ご存じのように、新型コロナウィルスのパンデミックと、その影響による半導体の供給遅延が発生したことによるものです。なお、軽自動車は国内規格であるため輸出されませんので、国内販売で見ると軽自動車が3割を占めていることが分かります。

 なお、2023年を総括しての生産動態統計はまだ公表されていませんが、11月までのデータからの推定では、年間販売台数が約770万台に回復する見通しです。また、推定平均販売価格は、普通車が358万円(前年比+14%)、小型車が197万円(同+6%)、軽自動車が136万円(同+7%)と、2022年に引き続き、大きく上昇しています。一度上昇した価格は下がりにくく、しかも物価上昇、輸送費の上昇、円安が続けば、さらに上がり続ける可能性が高いでしょう。

(出典:「生産動態統計」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/seidou/result/ichiran/08_seidou.html)を元にライフプラン・シム作成)


子どもがいる給与収入850万円超の人、給与と年金の所得がある人の所得金額調整控除
拡大可

 所得税の課税所得額の算出において、全ての人の所得額から一律に差し引かれる基礎控除額が、2018年の税制改正により10万円引き上げられ48万円※1となりました(2020年から適用)。この基礎控除額の引き上げを相殺するために、給与収入と年金収入については、所得額を求めるためにそれぞれの収入から差し引かれる給与所得控除額、公的年金等控除額が、ともに引き下げられました。

 具体的には、給与収入から控除される給与所得控除額は、収入金額に応じて10万円から25万円が引き下げられ、高収入層では税負担が増えることになりました。同様に、年金収入から控除される公的年金等控除額についても一律10万円※2引き下げらたことから、給与と年金の両方の所得がある人は、所得控除額の引き下げが二重になり、税負担が増えるケースがあり得ることになりました。

 そこで、子どもや特別障害者※3を扶養する、850万円超の給与収入額がある人には最大で15万円が、給与と年金の両方の所得がある人には最大で10万円の所得控除が加算される、所得金額調整控除が同時に導入され、救済されることになりました。

※1)合計所得額が2,400万円を超える場合は、控除額が48万円から段階的に減少し、2,500万円でゼロになりました。
※2)公的年金収入が1,000万円を超える場合には20万円、2,000万円を超える場合には30万円引き下げられ、さらに1,000万円を超える場合には新たに控除額の上限が設けられました。
※3)重度知的障害者、障害等級が1級の精神障害者、障害等級が1級または2級の身体障害者、常に寝たきりの状態で複雑な介護を必要とする者など。

1. 子どもまたは特別障害者などを有する給与所得者の所得金額調整控除

 給与収入が850万円を超える人で、以下のどれかに当てはまる場合に、下記の所得金額調整控除額が給与所得から控除されます。

・年末時点で23歳未満の扶養親族を有する者
・本人が特別障害者である者
・特別障害者である、同一生計の配偶者、または扶養親族を有する者

所得調整金額控除額 = {給与等の収入金額(1,000万円超の場合は1,000万円)- 850万円}×10%
(1円未満は切り上げ)

 なお、夫婦ともに給与収入が850万円を超えていて、23歳未満の扶養親族である子どもがいる場合、夫婦双方がこの控除の適用を受けることができます。

2. 給与所得と年金所得の双方の所得を有する者の所得金額調整控除

 以下の条件に当てはまる場合に、下記の所得金額調整控除額が給与所得から控除されます。

・給与収入から給与所得控除額を控除後の給与所得と、年金収入から公的年金等控除額を控除後の年金所得(雑所得)の合計が10万円を超える者

所得調整金額控除額 = {給与所得の金額(10万円超の場合は10万円)+ 年金所得の金額(10万円超の場合は10万円)}-10万円

 なお、1.の子どもまたは特別障害者などを有する給与所得者の所得金額調整控除が適用される場合は、適用後の給与所得の金額から控除します。

3. 申告方法

 1.に該当する場合で、年末調整で所得調整金額控除を受ける場合は、事前に「所得金額調整控除申告書」を勤務先に提出する必要があります。また、1.に該当する場合で、上の申告書を提出しなかった場合や、2.に該当する場合は、確定申告することにより所得金額調整控除を受けることができます。どちらの方法にしても、申告しなければ適用されませんので、注意してください。なお、該当するにもかかわらず申告していない場合は、過去5年以内であれば還付申告をすることも可能です。

(出典:「所得金額調整控除」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1411.htm)を元にライフプラン・シム作成)


マンションの相続税評価額が上がる
拡大可

 これまで、タワーマンションの上層階では、市場価格と比較して相続税評価額が割安になることから、富裕層が相続税対策としてタワーマンションの一室を購入するケースが多々ありました。これは、マンションなどの区分所有不動産では、土地を共有持分の割合(床面積の割合)で分割利用していると見なされることから、戸数が多いほどその面積が小さくなることと、建物の相続税評価額(固定資産税評価額)には、階の上下による差がないことによりました。

 この対策として、令和6年1月1日以降に発生する相続、遺贈については、相続税評価額の計算ルールが大きく見直されます。その影響は、築年数が浅く、戸数が多く、高層マンションの上層階ほど大きくなり、一般的な中層のマンションでも、従来の相続税評価額の1.5倍前後になりますので、この機会に確認することをお勧めします。

 マンションなどの区分所有不動産については、

相続税評価額=区分所有権(家屋)の価額+敷地利用権(土地)の価額

で評価され、

区分所有権の価額=家屋の固定資産税評価額、
敷地利用権の価額=路線価×地積×敷地権の割合(共有持分の割合)

で求められました。しかし、今回の改正では新たに「区分所有補正率」が定義され、従来の相続税評価額に区分所有補正率が掛けられることになりました。つまり、

相続税評価額=(区分所有権の価額+敷地利用権の価額)×区分所有補正率

となります。
 この区分所有補正率を求めるにあたって、まず「評価乖離率」を求めます。評価乖離率は以下の式で定義されます。

評価乖離率=3.220-0.033×築年数+0.239×総階数/33+0.018×所在階数-1.195×敷地利用権の面積/専有部分の床面積

注1)築年数は、一棟の区分所有建物の築年数(1年未満は1年とする)
注2)総階数には地階を含まない、33を超える場合は33とする
注3)所在階数が複数に跨る場合は低い方の階数、地階はゼロ階とする
注4)評価乖離率がゼロまたは負の場合は、評価額をゼロとする

 評価乖離率は、市場価格と比較して評価額がどれだけ割安になっているか(乖離しているか)を示す率で、統計的に求められた計算式です。築年数が浅いほど、建物の階数が高いほど、所在階が上階であるほど、戸数が多いほど乖離率は大きくなります。

 そして、この評価乖離率の逆数(=相続税評価額/市場価格)を評価水準とし、評価水準が60%未満の場合には、評価額が市場価格の60%となるように補正し、100%を超える場合には100%となるように補正します。これが区分所有補正率で、以下のようになります。

 評価水準の範囲    区分所有補正率
------------------------------------------------

 評価水準< 60%    評価乖離率×0.6
 60%≦評価水準≦100% 1(補正無し)
 100%<評価水準    評価乖離率

(注)一棟の区分所有建物のすべての専有部分、および敷地を単独で所有する場合、敷地利用権の区分所有補正率は1を下限とする

 なお、区分所有補正率については、以下の場合には適用されません。
・事業用のテナント物件など、構造上、居住用とできないもの
・一棟所有の賃貸マンションなど、登記上の区分建物でないもの
・地階を除く総階数が2以下のもの
・二世帯住宅など、親族と区分所有する居住用のもの
・借地権付き分譲マンションの敷地である貸宅地(底地)を評価する場合

 実際に計算してみたい場合は、国税庁のホームページ「居住用の区分所有財産の評価に係る区分所有補正率の計算明細書」(https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hyoka/annai/1470-17.htm)から、エクセルの計算ツールがダウンロードできますので、活用されるとよいでしょう。

 一例ですが、築年数=10年、総階数=14階、所在階数=7階、敷地利用権の面積/専有部分の面積=0.5とすると、

評価乖離率=3.220-0.330+0.101+0.126-0.598=2.519
区分所有補正率=2.519×0.6=1.5114

となります。つまり、従来の相続税評価額の約1.5倍となります。

 なお、小規模宅地等の特例が適用可能な条件であれば、補正後の敷地利用権の価額が80%減額されます。

(出典:「『居住用の区分所有財産』の評価が変わりました」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0023011-040_01.pdf)、

「マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議について」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/information/release/pdf/0023006-018.pdf)

を元に、ライフプラン・シム作成)


空き家の保有、売却にかかる税金
拡大可

 空き家の老朽化によって、近隣への影響が心配されるような事例が増えているのはご存じの通りですが、老朽化した実家を相続することは、もはや他人事ではありません。国土交通省によると、賃貸用、売却用の空き家を除いた「その他空き家」(居住目的のない空き家)は、過去20年間で約2倍に増加し、2018年には約350万戸に達しており、2030年には約470万戸に達すると推定されています。

 相続する側からすると、売却によって譲渡益が見込める物件はまだしも、除却(取り壊し)しなければ買い手もつかず、それによって損失が生じる物件もあって、相続放棄を選択せざるを得ないケースや、相続しても放置されているケースも多々あります。やむを得ないとはいえ、放置されている空き家がますます増加し、地方や国の財政にのしかかってくる現実もあり、難しい問題と言えます。

特定空き家と管理不全空き家

 増加する空き家問題への対策として、2015年に「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行され、市町村が、周囲に著しい悪影響を与える空き家を「特定空き家」に指定することで、所有者への改善の指導・勧告・命令ができるようになりました。さらに、所有者が命令に反して処置を実施しない場合には50万円以下の過料に処せられ、行政が手続きを踏んだ上で代執行を行い、工事費用を徴収することもできるようになりました。

 しかし、空き家のさらなる増加に伴い、特定空き家の増加が懸念されることから、その予防保全として、2023年6月に特別措置法の一部を改正する法律が公布されました(施行は公布から6ヶ月以内)。これにより、市町村が、特定空き家になる恐れのある「管理不全空き家」を指定することで、所有者への改善の指導・勧告ができるようになります。また、相続放棄されるなどにより所有者のいない特定空き家、管理不全空き家に対処するため、市町村が裁判所に財産管理人の選定を請求し、財産管理人が修繕や処分を実施することができるようになります。

敷地にかかる固定資産税の住宅用地特例の解除

 一般に、居住用の建物が建つ敷地については、200m2以下の固定資産税が1/6に、それを超える部分は1/3に減額される固定資産税の住宅用地特例が適用されます。空き家についてもこの特例が適用されることから、相続された空き家が放置されることにも繋がっていると指摘されてきました。そこで、特別措置法では、特定空き家に対して是正勧告を受けた場合には、この特例が解除されるようになりました。さらに、今回の特別措置法の一部改正ではその適用範囲を広げ、管理不全空き家についても是正勧告を受けた場合には、この特例が解除されることになります。特定空き家、管理不全空き家に指定された場合には、速やかに適正な処置を行うことが求められます。

相続した空き家の売却にかかる所得税の特例

 相続した空き家およびその敷地の有効利用を促進するために、被相続人が居住していた家屋およびその敷地を相続によって取得して売却し、一定の要件を満たす場合に、譲渡所得の金額から最高3,000万円までが控除されます。要件として、以下を満たす必要があります。

・1981年(昭和56年)5月31日以前に建てられたこと
・区分所有建物登記がされている建物ではないこと
・相続の開始直前において被相続人以外に居住していた人がいなかったこと
(なお、被相続人が要介護認定を受け老人ホーム等に入所するなどで居住していなかった場合も適用対象)
・売却の時点において一定の耐震基準を満たすこと、もしくは建物を除却した上での敷地の譲渡であること
・相続から売却(もしくは除却)までの間、事業の用、貸付の用、居住の用に供されたことがないこと
・相続の開始から3年が経過する年の12月31日までの譲渡であること
・売却代金が1億円以下であること
・相続した空き家に相当する相続税を、譲渡所得計算の取得費に加算する特例など、他の特例の適用を受けていないこと
・親族など特別な関係のある人への譲渡ではないこと

 なお、この特例は、2016年4月1日~2023年12月31日までの譲渡について適用されますが、2023年度(令和5年度)の税制改正により、4年間延長して2027年12月31日まで適用することが決定しています。また、要件として売却の時点において一定の耐震基準を満たすか、もしくは建物を除却して更地で譲渡するかのどちらかのみでしたが、譲渡された翌年の2月15日までに、買主が耐震工事もしくは除却工事を実施しても、この特例が適用されるよう緩和されます(2024年の譲渡から適用)。

空き家を売却して譲渡損失が出た時の損益通算

 相続した空き家の譲渡所得は、譲渡価額-(取得費+譲渡費用)で計算されます。取得費には被相続人が取得した金額を用い(ただし、建物については減価償却費相当額を差し引く)、所有期間も被相続人の所有期間を引き継ぎます。なお、取得費が不明な場合は、譲渡価額の5%を取得費とします。また、譲渡費用には、建物の除却費用(取り壊し費用)を加えることができます。この空き家を売却して譲渡損失が発生した場合には、他に土地、建物の譲渡所得があれば、損益通算することができます。しかし、給与所得、事業所得などの他の所得とは損益通算することはできません。

 これらの他、自治体によっては、除却することで一定期間の固定資産税が軽減されたり、除却費用の一部を補助してくれる自治体もあります。古い建物を長期間放置すると、除却する選択肢しか残らなくなることから、実家を相続したら放置せずに、どんな選択肢があるか、自治体やNPO法人などからどんな支援が受けられるかなど、早めに調査してみるとよいでしょう。

(出典:「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm)、

「空き家の発生を抑制するための特例措置」(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000030.html)、

「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(令和5年法律第50号)について」(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000138.html)を元にライフプラン・シム作成)


リスキリングによる転職の支援
Lee Jeong SooによるPixabayからの画像

 政府は、リスキリングによる産業構造の変革と、それに伴う賃金の改善を促すために、転職を前提としたリスキリングを支援すると発表しました。支援は事業者を通して行われ、リスキリング講座の受講価格(税別)の50%(1人あたり最大40万円)と、講座受講後に転職して1年間継続的に就業が確認できた場合に追加で20%(1人あたり最大16万円)の併せて70%が補助されます。

 支援の程度は、教育訓練給付制度(「リスキリングを支援する給付金」 を参照)の専門実践教育訓練に類似しますが、給付制度が受講者の直接支援であるのに対して、事業者を通した間接支援となっています。また、給付制度では40%や20%の支援となっている特定一般教育訓練講座、一般教育訓練講座に相当する講座も対象になっており、これらに含まれていたIT関連の講座などへの支援が、転職の条件付きで格上げされ、より受講しやすくなったと言えます。

 事業者側の実際の経費は講座の受講価格よりも少ないため、受講者はそれ以上の負担が軽減された価格で受講できます。このため、事業者によっては、条件を満たせば受講料が無料になるとしているところもあります。受講料を一旦事業者に支払い、講座修了時点、および転職後1年経過時点で返金されることになります。令和5年3月末から事業者の公募が始まり、一次公募で51社が採択(6月末時点)されており、さらに公募が続く見込みです。

 出典元のホームページによれば、受講対象者は「サービスへの登録時とキャリア相談対応における初回面談時に在職者(パート・アルバイト、派遣なども含む)であり、雇用主の変更を伴う転職を目指している方」とあります。したがって、転職を希望する在職者が、キャリア相談を受けた上でリスキリング講座を受講することが条件となります。

 対象の講座は「プログラミングやWebデザイン等のデジタル分野の専門的な知識を身につけるための講座や、医療や介護・福祉、保育分野に関係する講座など、多様な講座」とされています。採択された事業者の説明によれば、デジタル分野が主であるものの、数は少ないながら、人事や建設工事関係のスキル習得講座、キャリアコンサル資格取得を目指す講座などもあります。また、事業者を公募する募集要領によれば、講座の期間は12ヶ月以内、受講時間は15時間以上(但し、15時間未満で取得可能な資格取得を目的とした講座も対象)などとなっています。

 出典元のホームページには、採択された事業者ごとに提供プログラムの内容や講座の概要などが示されているだけで、まだまだ緒に就いたばかりの感もありますが、ほとんどの事業者がキャリア相談は無料のようですので、いくつか目星をつけて相談することから始めるとよいでしょう。ただし、再就職の支援の程度は事業者によっても異なり、転職や賃金アップが約束されるものでもありません。職種によっては年齢による再就職率の違いがあることなど、転職先の人材募集状況もよく確認した上で、活用を検討されるとよいでしょう。

(出典:「リスキリングを通したキャリアアップ支援事業」(経済産業省)(https://careerup.reskilling.go.jp/ )を元にライフプラン・シム作成)


相続における配偶者居住権の評価額と節税
PexelsによるPixabayからの画像

 令和2年4月1日から新たに認められた配偶者居住権ですが、法務省によれば「夫婦の一方が亡くなった場合に、残された配偶者が、亡くなった人(被相続人)が所有していた建物に、亡くなるまで又は一定の期間、無償で居住することができる権利」とあります。相続において、配偶者居住権は利用すべきか、どうすれば取得できるのか、評価額はどう計算するのか、相続税の節税になるのか、などについて説明します。

1. 配偶者居住権の利用

 相続人が配偶者と子で、相続財産にマイホーム(不動産)と現預金などがあり、マイホームには配偶者のみが住んでいた場合には、引き続き配偶者が住み続けることが多いと思います。しかし、配偶者と子は相続財産の1/2づつを相続するのが基本ですから、配偶者が不動産を相続すると、現預金などのほとんどは子が相続することになり、配偶者の生活費が賄えないケースも生じます。

 そんなケースでは、マイホームを所有権と居住権に分け、所有権を子に相続させ、配偶者は相続税評価額よりも安い居住権を取得すれば、配偶者が相続できる現預金などを増やすことができます。なお、建物に居住権を設定すると、それに付随して、その建物が建つ土地に対して敷地利用権が発生します。

2. 配偶者居住権の取得

 配偶者居住権を取得するには、次の3つを満たす必要があります。
(1)残された配偶者が、被相続人の法律上の配偶者であること
(2)配偶者が、被相続人が所有していた(配偶者以外の者と共有していない)建物に、亡くなった時に居住していたこと
(3)①遺産分割協議、②遺贈(遺言による贈与)、③死因贈与(死因贈与契約書による贈与)、④家庭裁判所の調停・審判(遺産分割協議が合意に至らない場合)、のいずれかにより配偶者居住権を取得したこと

 相続においてもめ事が無ければ、相続人による遺産分割協議の結果を遺産分割協議書に記載するだけで配偶者居住権を取得できるので、配偶者が残りの人生を豊かに過ごせるように遺族間で考えればよいと思います。

 なお、配偶者居住権は、設定登記を行うことで第三者に対抗することができます。将来、建物の所有権が第三者に渡るなど、予期せぬことが起きるかもしれず、基本的に登記しておいた方が安心です。登記は、配偶者(登録権利者)と居住建物の所有者(登録義務者)との共同申請となります。配偶者居住権の設定登記ができるのは建物のみで、登記には登録免許税がかかります。

3. 配偶者居住権などの評価額

 配偶者居住権の評価額は、居住建物の相続税評価額に、

 1-(耐用年数-経過年数-存続年数)/(耐用年数-経過年数)×(存続年数に応じた法定利率による複利原価率)

を掛けた額になります。耐用年数には、減価償却資産の耐用年数を1.5倍した値を用い、経過年数は築年数、存続年数は配偶者の平均余命(「完全生命表」より)を用います。令和5年時点での法定利率は3%(3年ごとに見直し)で、存続年数(n)に応じた複利現価率(将来の価値から、利率で増える分を割り引いた現在の価値を求める率)は1/((1+0.03)のn乗)になります。居住建物の所有権の評価額は、居住建物の相続税評価額-配偶者居住権の評価額となります。

 居住権に伴う敷地利用権の評価額は、居住建物の敷地の用に供される土地の相続税評価額に、

 1-(存続年数に応じた法定利率による複利原価率)

を掛けた額になります。居住建物の敷地の用に供される土地の所有権の評価額は、居住建物の敷地の用に供される土地の相続税評価額-敷地利用権の評価額となります。

4. 評価額の計算例

 例えば、以下のようなケースの配偶者居住権と敷地利用権の評価額を求めると、

相続人:配偶者、子1人
相続税評価額:建物 2,000万円、土地 5,000万円、現預金等 7,000万円
耐用年数:木造建築の法定耐用年数 22年×1.5=33年
(鉄骨鉄筋コンクリート等の法定耐用年数 47年×1.5=71年)
経過年数:10年
存続年数:12年
法定利率:3%
複利原価率:0.701
(複利原価率は、「資産運用計算ツール」 の”現価を求める計算”で終価を1000として計算し、現価を1/1000すると求められます)

配偶者居住権の評価額=2,000万円×(1- (33年-10年-12年)/(33年-10年)×0.701)=1,329万円
敷地利用権の評価額=5,000万円×(1- 0.701)=1,495万円
居住建物の所有権の評価額=671万円
土地の所有権の評価額=3,505万円

 配偶者が不動産を相続すると、相続財産は配偶者が全て不動産、子が全て現預金となりますが、配偶者居住権を取得すると、居住権等2,824万円と現預金4,176万円となります。一方、子の相続財産は不動産の所有権4,176万円と現預金2,824万円とすることができます。

5. 相続税の節税

 配偶者居住権は、配偶者が亡くなると消滅します。子は1次相続で不動産を取得していますから、配偶者が亡くなった2次相続で不動産についての相続税は発生しません。逆に、配偶者が1次相続時に配偶者居住権を取得せずに、配偶者の相続税額軽減を適用して不動産を相続し、2次相続時に子が不動産を相続すると、その時点の相続税評価額で相続税が課せられることになります。ただし、その場合でも基礎控除を受けることができます。

 ここで注意が必要なのは、小規模宅地の特例(宅地の330m2以下の相続税評価額の80%が減額される)の適用可否です。まず、配偶者居住権は建物に関する権利なので適用外ですが、敷地利用権には敷地割合に応じて小規模宅地の特例が適用されます。一方、子がマイホームを所有している場合は、1次、2次相続のどちらにも小規模宅地の特例を適用できません。1次相続で適用されるのは子が同居している場合に限られ、2次相続で適用されるのは子が同居しているか、子が別居していてマイホームを所有していない場合(家なき子)などに限られます。

 どちらが節税になるかはケースバイケースであり、実際に相続税額を計算して比較してみるとよいでしょう。複雑なケースでは、税理士に相談することをお勧めします。

関連記事
「相続税の控除、評価額と節税」

(参考:「完全生命表」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/seimei/list54-57-02.html))
(出典:「配偶者居住権とは何ですか?」(法務局)(https://houmukyoku.moj.go.jp/maebashi/page000001_00235.pdf)、
「配偶者居住権等の評価」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4666.htm)を元に、ライフプラン・シム作成)


健康保険の被扶養者(扶養家族)の要件
Gerd AltmannによるPixabayからの画像

 健康保険(協会けんぽや健康保険組合)では、一定の要件を満たせば、親族を被扶養者(扶養家族)として加入させることができ、保険料はかかりません。一方、国民健康保険は、同居の家族と言えども個人ごとに加入が必要で、ひとりひとりの収入に応じた保険料がかかります。

 健康保険の被扶養者になるための要件には、主に、①被保険者(本人)によって生計を維持されている75歳未満で、かつ3親等以内の親族(血族、姻族)であること、②年収が130万円未満(60歳以上もしくは障害者の場合は180万円未満)であること、かつ、同居の場合は被保険者の収入の1/2未満であること(但し、被保険者の収入未満の場合は、状況により判断される場合もあり)、別居の場合は被保険者からの仕送り額より少ないこと、③国内に居住していること、④他の健康保険に加入していないこと、の4つがあります。

 ①のうち、被保険者の直系尊属、兄弟姉妹、配偶者、子、孫については、別居していても要件を満たしますが、それ以外の3親等以内の親族については、同居が要件となります。また、事実上婚姻関係にある配偶者(もしくは同様の事情にある方)とその父母、子、その配偶者が死亡した後におけるその父母、子も被扶養者の範囲となります。

 ②の収入要件については、1年間の収入ではなく月収で判定され、年収130万円は月収108,334円未満(年収180万円は月収150,000円未満)であることが継続して見込める場合に限り収入要件を満たします。例えば、離職して雇用保険の基本手当を受給している場合、受給総額が130万円未満(180万円未満)であっても、日額3,612円以上(日額5,000円以上)受給している間は、被扶養者になることはできません。ただし、既に被扶養者である者の収入が一時的に増えたとしても、過去の課税証明書、給与明細、雇用契約書などから、昇給や恒久的な勤務時間の増加などを伴わない一時的な事情により超過したと認められる場合は、遡って扶養から外れることはありません。

 なお、収入には個人年金や障害・遺族年金を含む年金、投資で得られる譲渡所得、配当金、健康保険の傷病手当金、出産手当金、雇用保険の休業給付、傷病手当や、事業所得、家賃などの不動産所得も対象になります。一般的に譲渡所得や事業所得、不動産所得の場合は、前年もしくは過去数年の年間取引報告書や確定申告書類などで判定されます。対象とされない一時的な収入には、一時金として支払われる退職金や保険金、出産育児一時金、不動産の譲渡所得などが含まれます。ただし、健康保険によっては取扱いが異なる場合がありますので、ご自身が加入している健康保険に確認してください。

 ③については、健康保険法により住民票登録の有無で判断されるが、海外で就労しており、日本で全く生活していないなど、明らかに日本での居住実態がないことが判明した場合は、例外的に国内居住要件を満たさないものと判断して差し支えない、とされています。逆に、日本国内に住民票がなくても、外国において留学をする者、外国に赴任する被保険者に同行する者、観光等の就労以外の目的で一時的に海外に渡航する者、被保険者が外国に赴任している間に婚姻、出生した者などは例外として認められます。

 被扶養者の認定・削除の手続きには、被扶養者の収入を証明する確証など、必要な書類を提出する必要があり、要件を満たさなくなった場合には速やかに削除の手続きを行う必要があります。手続きの遅れが判明した場合は、その間に支給された給付金を請求されたり、新たに加入する健康保険の保険料を請求される可能性がありますので、十分に注意してください。また、税法上の扶養の要件とは異なりますのでその点も注意してください。

(出典:「従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き」(日本年金機構)(https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/hihokensha1/20141202.html)、
「被扶養者の収入の確認における留意点について」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc5007&dataType=1&pageNo=1)、
「被扶養者の国内居住要件等について〔健康保険法〕」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc4995&dataType=1&pageNo=1)他を元にライフプラン・シム作成)


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