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役立つコラム

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82

金融リテラシーと行動特性


 2022/12/02

 [資産運用]

81

年金生活者支援給付金


 2022/11/30

 [年金・退職金]

80

セカンドライフに向けての準備


 2022/11/09

 [ライフプラン]

79

投資信託の運用損益の実績


 2022/11/01

 [資産運用]

78

加給年金、遺族厚生年金の配偶者収入要件


 2022/10/28

 [年金・退職金]

77

株式投資成績の実際


 2022/10/14

 [資産運用]

76

ライフプランシミュレーションの選び方と注意事項


 2022/10/06

 [ライフプラン]

7件/全110件

金融リテラシーと行動特性
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 グラフは、金融広報中央委員会による「金融リテラシー調査(2022年)」のデータを引用して作成したものです。調査結果は、委員会が作成した金融知識を問う質問の正答率により、金融リテラシーの高低が0~20点、21~40点、41~60点、61~80点、81~100点の5つの階層に分類されており、それぞれの階層の収入、資産と、行動特性に関するアンケート調査の結果を抽出してグラフにまとめたものです。

 上段のグラフは、金融リテラシーの高低と収入や資産がどう関係しているかを見たもので、金融リテラシーが高いほど、収入、資産共に多い傾向にあることが分かります。なお、ここでは示していませんが、年齢階層別の正答率をみると、年齢層が高いほど正答率も高い傾向にあり、一般的に高齢者の方が保有資産は多いことから、そのような傾向が見えているとも考えられます。

 下段のグラフは、横軸に10のアンケート項目があり、項目ごとに正答率の階層別棒グラフで示しています。10の項目は以下の通りです。

1.損失回避傾向が強い人の割合
2.横並び行動バイアスが強い人の割合
3.借入れ時に他の商品と比較しない人の割合
4.金融・経済情報を月1回も見ていない人の割合
5.商品性を理解せずに外貨預金を購入した人の割合
6.老後の生活費の資金計画が無い人の割合
7.金融商品選択時にウェブサイトを見ている人の割合
8.金融商品選択時に金融機関窓口で相談している人の割合
9.期日に遅れずに支払いをする人の割合
10.緊急時に備えた資金を確保している人の割合

 項目1,2は、行動経済学的に人間が取りやすい行動の傾向を示したものです。項目1の損失回避については、人間は利得よりも損失の方を大きく感じる傾向があるため、損失をできるだけ回避しようと行動するというもので、その傾向が強いとリスクのある投資には消極的になると言われています。項目2の横並びバイアスについては、人間は社会規範に従う傾向があり、周囲の人の意見や行動に影響を受け、自分もそれに従おうと行動するもので、この傾向が強いと、自分で調査するよりも周囲の勧めに従ってしまう危うさがあります。項目1,2共に、金融リテラシーが低いほど、これらの傾向が強まっていることが分かり、このあと見ていく項目3以降の行動の傾向と一致していることが分かります。

 次に、項目3~6は、金融に関する行動が消極的な傾向を示すもので、金融リテラシーの低い階層ほど、その傾向が強いことが分かります。逆に、項目7~10は、金融に関する行動が積極的な傾向を示すもので、金融リテラシーの高い階層ほど、その傾向が強いことが分かります。

 このように、金融リテラシーと行動には関係性があることから、金融リテラシーを高めることの重要性、メリットを理解して頂けると思います。みなさんも、各項目についてご自分の行動を照らし合わせて、どのような傾向があるかを確認してみてください。また、「役立つコラム」 には、年金・税金・給付金などの制度を説明した記事や、資産運用のポイント、節約や節税などの情報も掲載しておりますので、金融知識に触れるきっかけになれば幸いです。

 なお、調査の母体は30,000人で、アンケート結果の割合は、それぞれの正答率の階層の人数、もしくはそれぞれの階層の人数のうち商品を購入するなどした人数に対する割合を示しています。また、実際に実施した調査票の内容や他の質問の結果については、出典をご覧ください。

(出典:「金融リテラシー調査(2022年)」(金融広報中央委員会「知るぽると」)(https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/literacy_chosa/2022/)のデータを元にライフプラン・シム作成)


年金生活者支援給付金
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 年金生活者支援給付金は、公的年金等の収入とその他の所得の合計が一定金額以下の年金生活者を支援するために、年金に上乗せして支給されます。給付の対象要件は、以下の3点です。

 ・65歳以上の老齢基礎年金の受給者である
 ・同一世帯の全員が市区町村民税非課税である
 ・前年の公的年金等の収入金額と、その他の所得の合計額が881,200円以下である

(注1)所得要件などの支給要件を満たさなくなった場合には、給付金は支給されなくなります。老齢基礎年金を繰下げ受給した場合には、繰下げ期間中は支給されません。また、所得制限の金額は、令和4年10月時点の老齢基礎年金の満額(781,200円)+100,000円で、毎年の老齢基礎年金(満額)の改定に従って見直されます。遺族年金、障害年金などの非課税収入は、公的年金等の収入金額には含まれません。

 給付月額は、以下の①②の合計金額となります。

 ①5,020円 5,140円×基礎年金保険料納付済月数/480ヶ月
 ②10,802円 11,041円×保険料免除月数/480ヶ月

(注2)給付額は、毎年、物価の変動による改定があります。②の10,802円 11,041円は老齢基礎年金の満額(月額)の1/6で、保険料が全額免除、3/4免除、半額免除の場合に適用され、1/4免除の場合は老齢基礎年金の満額(月額)の1/12の5,401円 5,520円が適用されます。また、分母の被保険者期間である480ヶ月は、昭和15年4月2日~昭和16年4月1日までに生まれた方については12ヶ月減じられ、大正6年4月1日以前に生まれた方を180ヶ月(下限)とするまで、生年月日が1年違うごとに被保険者期間が12ヶ月づつ減じる調整がなされます。
(注3)年金収入とその他の所得の合計が老齢基礎年金の満額を超える場合、①の給付額が、所得上限額との差額/100,000を乗じた金額に減額されます。

 障害基礎年金、遺族基礎年金を受給されていて、前年の所得が4,721,000円以下である方は、それぞれ障害年金生活者支援給付金、遺族年金生活者給付金が支給されます。給付月額は、障害年金生活者支援給付金で、障害等級が2級の方が5,020円 5,140円、1級の方が6,275円 6,425円で、遺族年金生活者支援給付金は5,020円 5,140円となります。

(注4)所得には、障害年金、遺族年金などの非課税収入は含まれません。また、所得上限額は、扶養親族等の数に応じて、所得税の扶養控除額の合計だけ増額されます。

(2023/4/27 2023年度の金額に修正)

(出典:「年金生活者支援給付金制度について」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/nenkinkyuufukin/system.html)を元にライフプラン・シム作成)


セカンドライフに向けての準備
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 私が在籍していた会社でも、50歳になると”セカンドキャリア研修”なるものがありました。60歳で退職するか、60歳以降も雇用延長するか、退職して別の会社で働くか、早期退職して転職するか、などを考えるきっかけを与える研修です。定年退職後に向けての準備などが書かれた書籍もたくさん出版されており、こうした本を読んでセカンドライフを考えるきっかけにもなりました。

 振り返って見ると、一番最初にやるべきことは、何歳までどれくらい稼ぐ必要があるかを確認することです。そのためには、ライフプランシミュレーションが欠かせません。50歳になると、退職金や年金がいくらくらいもらえるかの確度も上がってきます。一般的には、教育費や住宅ローンの返済なども、あとどれくらいかが見通せる頃でしょう。会社によっては退職金を一括でもらうか、年金でもらうか、併用するかを選択できる場合もあります。どのもらいかたが自分のライフプランに合っているか、あるいは手取り額が多くなるか、などもライフプランシミュレーションで確認すると良いでしょう。

 公的年金についても、国民年金または厚生年金の加入期間が480ヶ月に満たないのであれば、60歳以降65歳に達するまでか、480ヶ月に達するまで任意加入することで、基礎年金額を増額することもできます。60歳以降も雇用されれば、厚生年金の報酬比例部分を増やすこともできます。また、いずれ公的年金の受給開始年齢を決めることも必要になります。受給額は5年繰上げると24%減少し、5年繰下げると42%、10年繰下げると84%増加します。これらも、ライフプランシミュレーションで確認ができます。キャッシュフローを改善するための1つの選択肢です。

 そして、住宅ローン、生命保険などの大きな支出を減らせないかを検討しましょう。昔の住宅ローンは金利が高く、金利の低いローンへの借換えによって返済額が減る可能性があります。既に金利が低ければ、退職金で、あるいは退職金がほぼ確実に見込めるのであれば退職金をもらう前に、繰上返済を検討しましょう。早い時期に繰上返済するほど返済額が軽減されます。逆に昔の保険は保険料率が低いので、そのようなお宝保険は残して、保険金額の減額や特約部分を見直すと良いでしょう。また、退職後はどういうレベルの生活をしたいか、それによっても何歳までどう働くかが変わってきます。キャッシュフローを見ながら、折り合いを考えるとよいでしょう。

 その上で、セカンドキャリアは何を選択すべきか、自由度があるなら何がやりたいかを考えます。ただし、何がやりたいかがなかなか見つからないことがほとんどだと思います。したがって、できるだけ早くから考えることです。また、何がやりたいかが見つかっても、実際に何ができるかは必ずしも一致しません。そのため、プランBを考えておくことです。そして、それを実現するには、いつ動き始めるか、どう動くかなど、具体的な計画に落とし込みます。ただし、60歳で定年退職して再就職先を探そうとしても、自分で思い描いたような職はなかなか見つかりません。60歳以降の再就職の実体をつかんでおくと共に、知人や友人のつてがあれば活用することも考えましょう。そうでなければ、雇用延長を選ぶことになるでしょう。

 起業にチャレンジする場合は、一筋縄ではいかないことも事実です。最悪のリスクを考え、失敗したら辞める撤退ラインを家族と合意しておくことです。また、新たな資格が必要であれば在職中に取得し、ホームページで集客する個人事業を考えているのであれば、在職中から情報を発信するブログを始めるなどして、早くからファンを獲得するための種を撒いておくことをお勧めします。どういう準備が必要か、早くから調べて実行することがリスク軽減に繋がります。

 次に手を付けるべきは資産形成です。老後の貯蓄がインフレなどにより目減りするリスクを減らすために、貯蓄の一定の割合を目標にして積立て投資を検討することをお勧めします。ただし、退職金をもらったらどう増やそうと考えるのではなく、これはできるだけ早いうちから実行した方がよいでしょう。過去の実績からすれば、積立て投資は長期であるほど時間分散効果によりリスクが下がります。退職金を一括で運用するとリスクは高まります。大事な退職金を大きく減らさないよう気を付けてください。

 その次に、年を取ると健康であることが重要になります。老化は避けられません。男女とも数えで61歳が厄年ですが、厄年はその前後で身体の変化が起きる年齢だと実感します。毎年健康診断(できれば人間ドック)を受診し、早期発見、早期対策をすることが、満足のいくセカンドライフを送るための最低ラインです。そして、どうしても運動不足、代謝不足になり、大抵の人はいろいろな数値が悪化します。ずぼらであっても、何かしらの運動制限があっても、何か体を動かせる興味、趣味を見つけて、早くから習慣付けるのが一番です。これが見つからないと、あっという間に数値は悪化します。何年か先には重大な疾患に至ることもあり得ます。口腔ケア、嚥下機能の維持も、長く生きる上でとても重要です。全身の筋力が低下すると嚥下機能、認知機能も低下すると言われています。また、今までと同じ食事をしていても代謝量は減って行きます。徐々に食事の内容や量を見直すことも必要です。

 もう一つ考えておかなければならないことは、親の介護です。すでに直面されている方もおられると思いますが、離れて暮らしている場合は突然その時が訪れたりします。様々な事情により、どうしても施設に頼らざるを得ないこともあります。親が自ら考えていれば別ですが、親がまだ動けるうちから、介護が必要になったらどうするか、親の収入や財産はどれくらいあるかなどを含めて、親や親族と話しができることが最も望ましいと言えるでしょう。

 50歳になっても、まだまだ定年退職は先の話だと思って、なかなか考えられない、どこから手を付けたらいいか分からない、そう感じる方が多いと思います。しかし、実際には早くから手を打つことが、良い結果につながることは間違いありません。少しでも早く一歩を踏み出せる、そんなお役に立てれば幸いです。


投資信託の運用損益の実績
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 グラフは、金融庁が2018年から毎年公表している「投資信託の共通KPIに関する分析」のひとつである「投資信託の運用損益別の顧客比率」を基に、現在までどのように推移しているかをまとめて示したものです。

 運用損益別の顧客比率とは、運用損益率が0%以上の(利益が出ている)顧客と、0%未満の(損失が出ている)顧客が、それぞれ全体の何パーセントを占めているかを、各金融事業者が調査集計して金融庁に報告している指標です。年度末の3月末を基準日として、基準日に投資信託を保有している各顧客について、購入時以降の累積の運用損益(手数料控除後)を算出して、各年度の損益率を平均化したものになります。したがって、年度末に保有している銘柄に限らず、途中で売却、もしくは償還した銘柄なども含まれます。

 グラフでは、利益と損失が対比しやすいように、利益が出ている顧客の比率をプラス側、損失が出ている顧客の比率をマイナス側として、積み上げ棒グラフで表しています。また、3月末が基準日であるため、横軸は年度で表しています。例えば2017年度(2018年3月末が基準日)では、利益が出ている顧客が54%で、損失が出ている顧客が46%ということになります。

 グラフから、2019年度を除いて利益を出している顧客の比率の方が多く、約5割~8割にのぼることが分かります。2019年度に損失の顧客比率が高いのは、2020年2月から3月にかけて世界的に流行し始めた、新型コロナウィルスの影響による株価の大幅な下落によるものです。2020年度、2021年度は、いったん下落したところからの回復により、利益を出している顧客の比率が8割程度に戻っています。しかし、ロシアの軍事侵攻に端を発した世界的なインフレを抑制する、欧米の利上げの影響による株価の下落もあって、2022年度は約7割に低下しています(2023/11/14 加筆修正)。とはいうものの、不測の事態による一時的な損失の時期を経ても、長期に保有することでリスクを減らせるであろうことが期待されます。

 なお、2019年度の報告では、顧客比率の詳細も報告されており、2018年度からの変化は以下のようになっています。2018年度では0~+10%にあったピークが、2019年度では-30~-10%にシフトしたことが分かります。

利益率範囲:2018年度、2019年度
-50 % ~ : 0.8%、 4.0%
-50~ -30%: 1.1%、 6.9%
-30~ -10%: 7.6%、34.6%
-10~  0%:24.2%、24.2%
 0~+10%:32.6%、10.3%
+10~ 30%:20.8%、11.4%
+30~ 50%: 8.2%、 5.0%
+50 % ~ : 4.6%、 3.6%

 また、2022年9月からは、2022年3月末基準日の「外貨建保険の共通KPIに関する分析」も報告されており、それによると利益が出ている顧客比率は71%で、損失が出ている顧客比率は29%となっています。全事業者の顧客の平均コストは約0.8%、平均リターンは約1.5%で、投資信託の全事業者の顧客の平均コストが約1.8%、平均リターンが約8%と比較すると、低コスト、低リターンであることが分かります。
 これに対して2023年3月末基準日では、利益が出ている顧客比率は45%、損失が出ている顧客比率は55%と大きく変化しており、平均コストは約0.8%でほぼ横ばいながら、平均リターンは約1.0%に低下しています。これは、2022年3月下旬ごろからの円安ドル高による解約の増加、海外金利の上昇による市場価格調整、新規契約の増加などによるものです(2023/11/14 加筆修正)

 金融庁のこれらの報告は、そもそも「顧客本位の業務運営に関する原則」に基づいて金融機関が取り組みを進めているかを、共通の指標で公表することで、各金融機関の顧客本位の業務運営を推進しようとするものです。金融事業者別に運用損益別顧客比率も報告されていますので、興味のある方は出典の資料をご覧ください。

(出典:「投資信託の共通KPIに関する分析」(金融庁)(https://www.fsa.go.jp/news/r5/kokyakuhoni/20230908/kpi_toushin_230908.pdf)、
「外貨建保険の共通KPIに関する分析」(金融庁)(https://www.fsa.go.jp/news/r5/kokyakuhoni/20230908/kpi_hoken_230908.pdf)を元にライフプラン・シム作成)


加給年金、遺族厚生年金の配偶者収入要件
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 「加給年金」 とは、夫婦の一方が65歳以降に老齢厚生年金を受給し始めた時に、厚生年金の被保険者期間が20年以上あって、配偶者の生計を維持している場合には、配偶者が年金を受給できる65歳になるまでの間、年金に上乗せして受給することができる家族手当のような位置づけです。また、18歳未満の子がいる場合には、その子が18歳を迎えた年度末まで、さらに加算されます。

 ただし、年金受給者が配偶者の生計を維持していることを判定する要件があります。それは、年金を受給開始する時点で、配偶者が、「850万円以上の収入、もしくは655万5千円以上の所得を将来に渡って有しないと認められること」、ということです。収入は給与収入など、何らかの対価として相手からもらう金額のことで、所得は収入から必要経費を差し引いた金額のことです。給与であれば収入から給与所得控除額を差し引いた金額が所得になります。これにより、年金を受給開始する時点で、配偶者の収入が850万円未満もしくは所得が655万5千円未満であるか、おおむね5年以内に、配偶者の定年退職などにより、収入が850万円未満もしくは所得が655万5千円未満となることが認められる(客観的にみて確認できる)こと、が要件となっています。なお、ここでの収入、所得には、退職金などの一時的な収入、所得は含みません。逆に、受給開始時は配偶者の収入要件を満たしていても、その後収入が増えて要件を満たさなくなった場合は、加給年金の加算が終了します。

 年金を受給するための手続き時に(これを「年金請求」と言う)、配偶者の前年の収入または所得が要件を満たすか、あるいは請求時点で満たしていないものの、おおむね5年以内に収入または所得が要件を満たす見込み(ただし、定年退職など客観的に収入が減ることが明確である場合に限られます)があるかを確認する項目(生計維持申立)があります。ここで、見込み「なし」と申告してしまうと、おおむね5年以内に定年退職などして収入が減ったとしても、要件を満たさないと判定される可能性がありますので、今後収入が減る可能性がある場合には「あり」としておくことです。なお、「あり」とした場合には、配偶者を含めた世帯全員の戸籍謄本、住民票の写し、配偶者の退職年齢が分かる勤務先の就業規則の写しや、配偶者の収入が分かる源泉徴収票などの添付資料、あるいは配偶者のマイナンバーなどが必要になります。また、退職後に雇用延長などがある場合は、その賃金が客観的に判断できるものが求められます。

 特別支給の老齢厚生年金を受給開始する場合にも年金請求手続きがあり、報酬比例部分のみの受給の場合には、その時点では加給年金はもらえませんが、配偶者や子に関する同様の確認事項がありますので、おおむね5年以内に配偶者の収入が減る場合も含めて、上記と同様の対応が必要になります。但し、特別支給の年金請求時に要件を満たしていなくても、その後の状況が変わって満たせば、老齢年金の年金請求時に、加給年金額加算開始事由該当届を提出して、生計維持申立を行うことができます。(2023/8/8 下線部加筆修正)

 一方、遺族厚生年金についても配偶者、親族の収入要件があり、本人死亡時の前年の収入が850万円未満、もしくは所得が655万5千円未満となっています。しかし、老齢厚生年金の要件にある「将来に渡って」という文言が無いため、死亡時の前年の収入または所得が要件を満たさない場合には、以後一切の遺族年金を受取ることはできず、逆に、要件を満たしていれば、その後収入や所得が増えても遺族年金を継続して受け取ることができます。

(出典:「生計維持関係の認定基準及び認定の取り扱い」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12500000-Nenkinkyoku/0000088038.pdf)を元にライフプラン・シム作成)


株式投資成績の実際
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 これから投資を始めたいと思っている方、あるいは始めたばかりの方の参考になればと、恥ずかしながら、自身の投資経験について少しご紹介します。

 最初は2000年~2001年ごろだったと思いますが、そのころは投資についての知識もなく、銀行で金利の良い短期の定期預金とセットになった投資信託を勧められ、始めたのがきっかけです。残念ながらそこから日経平均株価は下がり続け、2007年ごろにほぼ戻ったところで解約しました。損をしなかっただけよかったと思うと共に、同じ額をドルコスト平均法で分割して積立てていれば利益を出せたことを知り、投資について学ぼうと思ったものでした。

 そして、2007年途中から証券口座を開設し、徐々に投資信託の積立てを始めました。間もなくリーマンショックもあり、低迷した時期が続きましたが、2009年~2010年ごろに円高が進んだところで外貨MMFを購入し、その後円安が進み、外貨MMFの譲渡益に所得税が課税される前の2015年に売却しました。そこで得た利益を投資リスクの許容額として、2015年から株式の個別銘柄への投資を始めました。ここでは、J-REITを含む株式の個別銘柄への投資の実際について、もう少し詳しくご紹介します。

 グラフは、2015年から投資した銘柄別に投資成績を示しています。数値は、実際の金額に一定の係数を掛けたものですので悪しからず。ほぼ時系列に並べていますが、保有期間はバラバラで、同時に保有していた銘柄もあります。税引後の配当金と譲渡損益を積み上げ棒グラフで、手数料を差し引いた最終損益を折れ線グラフで示しています。なお、半数程度はNISA口座で購入しており、それらは非課税です。

 1番目の銘柄は雑誌などで候補を調べ、たまたま自分の趣味に関連した銘柄があったため購入を決めましたが、ビギナーズラックで譲渡益を得ることができました。100%を超える収益率を達成できましたが、それでもピークを越えて下落が続いたところで、耐え切れずに売却してしまいました。その後しばらくして、さらに株価が大きく値上りしたのを見て、我慢と情報が足りないと思ったものでした。

 次も同様に自分の興味のある銘柄を選び、2番目は株主優待による割引きをしばらく楽しむことができましたが、業績が悪化して優待が打ち切られたため売却しました。3番目、4番目も興味のある銘柄を選んでみましたが、輸出企業だったため円高の影響により株価が値下がりしたり、企業のガバナンスの問題で株価が値下がりするなどして、株価が20%下落したところで損切りを実施しました。その後も株価の値下がりは続いたことから、損切りの一定の効果を実感しました。

 なお、1銘柄につき投資の上限額を決め、損切りラインについては始めから20%と決めていました。また、銘柄の選定にあたっては、会社業績、PERやPBR、株価の値動きなどを自分なりに調べ、それほど高値ではないと思って選定しましたが、株価は様々な要因の影響を受けることを学びました。さらに投資家は、悪い情報には必要以上に敏感に反応することも学びました。

 こうして、キャピタルゲイン狙いだけでは、想定以上にリスクが高いことを学び、次の投資先として配当率の高いJ-REITを選ぶことにしました。5番目~9番目はJ-REITの銘柄です。見てわかるように、5銘柄のうち2銘柄で株価(投資口価格)は下落しましたが、その損失を上回る配当金により、全ての銘柄で最終損益はプラスとなっています。なお、9番目の銘柄は配当金で購入したもので、複利を狙いました。J-REITも不動産投資であるため、東京オリンピックによる需要増の反動を嫌って2019年に売却しましたが、その後は世界が思いもよらない事態に直面したことは皆さんご存じのとおりです。

 J-REITに投資して1年ほど経った頃に、配当金によるリスク低減の恩恵を実感し、高配当率の株式銘柄に投資をしました。10番目のそれは比較的優良な銘柄で、配当金と譲渡益の両方で安定的な利益を達成できました。この銘柄も、不動産関係の銘柄であったため、2019年に売却しました。

 2020年以降は株式相場が大きく変動したため、選定が難しくなりましたが、一足先に経済が立ち直ったことと、これまで投資経験がなかったことから、米国株に投資することにしました。11番目の銘柄は新興IT企業で、証券会社の勧めで選びました。一旦は上昇したものの、上値が重くなった後に突然下落し始め、設定した売値で売れなかったこともあって、最終的に損切りに終わりました。長期保有でのキャピタルゲインを期待しましたが、海外ゆえの情報の少なさや、リアルタイムの取引ができない(前日の営業時間に売値を設定)難しさなどを実感しました。また、銘柄を選ぶ重要性と、最後の判断は自分自身であることを再認識しました。

 上記は、2015年~2019年、2021年の6年間の投資結果を示したものですが、6年間のトータルで税引後約12%の収益率となっており、年率2%に相当します。とは言え、株価で見れば11銘柄中約半分の5銘柄で下落しています。安値で買って高値で売るが基本ですが、タイミングを見極めることはまた難しいのも事実です。投資で得た利益などを余裕資産として、損失リスクが余裕資産の範囲に収まるように上限額を決めて投資し、少しづつ投資額を増やしていけば、万一損失した場合の心理的負担を減らすことができます。参考までに、2015年初~2021年末までの日経平均株価は、17,670円から28,790円まで約63%値上りしていることも付け加えておきます(2022/10/27 追記)。

 私自身は2020年にFPの資格を取ったとは言え、投資の達人ではなく、ごく普通の投資経験であると思います。慎重派なので、リスクをとって一攫千金を狙うタイプではありませんが、仕事の傍らにできる範囲で調べて投資した結果です。一方で、コストの安い積立て投資信託を長期に続ける方が、あまり努力を払う必要なく、分散投資すればリスクも少なく、これを上回る収益率も期待できることを最後に付け加えておきます。国内企業への株式投資よりも、成長率の高い海外の株式やREITを含んだ投資信託の方が、高い収益率が期待できるからです。

 また、銘柄ごとにいつ買っていつ売却したか、手数料は、配当金はトータルいくらだったかなど、証券会社のツールでは管理されていません。このグラフのように、何が良くて何が悪かったかなど、自身の投資の分析をし、投資結果を振り返られるように、投資情報を管理しておくことをお勧めします。このような情報が少しでも皆さんのお役に立てれば幸いです。

 いまは世界の経済状況が安定せずに、判断が非常に難しい状況です。投資にはさまざまな損失リスクがあることを理解して、あまり無理をせず、あせらず静かに待つことも重要です。投資は、納得した上で、ご自分で判断してください。

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ライフプランシミュレーションの選び方と注意事項
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1. ライフプランシミュレーションとは

 ライフプランとは、広い意味では”どのような人生を送るか”ということですが、それを実現するための重要なファクターの一つが何と言っても”お金”です。そして、人生のような長いスパンにけるお金の流れ(”キャッシュフロー”と言う)を可視化できるものが”ライフプランシミュレーション”なのです。人生ゲームのように、人生そのものをシミュレーションするわけではありませんので、念のため。

 では、そのライフプランシミュレーションが、キャッシュフローをどのように計算しているのかを簡単に説明すると、次のようになります。まず、現在の収入、支出、貯蓄、家族構成、退職予定年齢などから、統計的なデータを利用して将来の収入や支出を推定します。その推定したキャッシュフローが発生することを前提に、あなたのライフイベントに沿った支出予定や、投資による期待収益を加え、毎年の収支(収入-支出)を貯蓄に累積していきます。このように、仕組みそのものは決して難しいものではありません。

2. ライフプランシミュレーションの特性

 このようなライフプランシミュレーションですが、その結果の精度については、概ね以下の3点に依存します。①②はシミュレータ側の仕様で決まるものですが、③は入力側の努力で決まるものです。
①年齢や家族構成の変化に合わせて、計算のどの部分にどのような統計情報を利用して推定しているか
②特徴が異なる要素を、どれだけ細かく分解して、個別に入力できるか
③分解された要素ごとに、どれだけ詳しく入力ができるか

 ここで、①の統計情報を利用するとは、全国の平均値を用いるということになります。そうすると、年齢が若いほどあなた独自の特徴を表すことは難しく、どうしても平均値に近づきます。それは、特別な場合を除いて、若いほど収入のばらつきが小さく、逆に将来のばらつきが大きいことから、あなた独自の将来を予測することが難しいからです。

 また、②について、例えば支出を考えてみると、定常的に発生する生活費は、収入と家族構成によってある程度一定になります。一方で、子どもの教育方針、リスクへの備え、住宅関係、車などの不定期でまとまった支出は、生活費とは特徴が異なる要素です。このような生活費以外の支出を要素ごとに入力できるかによって、結果の精度も異なってくることは容易に想像できると思います。ただし、個別に入力できるようになっていればいるほど入力項目が増えますので、入力する側の負担が増えるのも事実です。そこで、統計情報の分類条件に合うあなたの特性を入力してもらい、分類ごとの平均値を使って計算するなどして、①と②のバランスを取るのが一般的です。

 もっとも、要素ごとの入力が用意されていても、③のように、入力する側が1件づつ詳しく入力しないと、結果の精度も上がってこないことになります。例えば、保険料を個別に入力できるシミュレータでも、個別に入力せずに生活費に含めてしまうと、契約ごとに保険料を払い終わる年齢が違えば、将来の計算にズレが生じて来る、などです。

 グラフは、横軸に年齢/入力項目数、縦軸に結果の精度を表しています。このグラフは定性的なイメージを表したものであり、定量的な分析結果を示したものではありません。傾向として、年齢が若いほど、入力項目数が少ないほど、平均的な予測結果が得られることから、シミュレーションで得られる予測結果は、将来の実際の結果との誤差が大きい可能性があります。逆に、年齢が高くなるほど、入力項目数が多くなるほど、将来の不確定要素が減ってくることから、予測結果の精度が上がります。このような特性を踏まえて、ライフプランシミュレーションを活用することをお勧めします。

3. ライフプランシミュレーションの目的の明確化と選び方

 世の中には多数のライフプランシミュレーションが存在し、入力項目数を減らして容易さを特徴とするものから、多数の入力項目を設けて精度が高いことを特徴とするものまで様々です。あなたが、どの年齢の時に、ライフプランシミュレーションによって何を知りたいのか、それによっても選ぶべきシミュレータが異なってくると考えます。

 前述のように、若い方が詳細な支出項目を頑張って入力してシミュレーションしたとしても、そもそも将来の収入は平均値に近い結果が示されますので、それであれば比較的入力が容易なシミュレータで概算を求めたとしても、参考度合いとしては大きな差はないのではないでしょうか。それよりも、もう少し短期的なスパンで、例えば今の貯蓄で結婚資金は足りるかや、今の収入でどれくらいの広さの部屋が借りられるかなど、貯蓄や収入の範囲での検討が多いのではないでしょうか。同様に、年金収入しかない高齢の方で、支出も殆ど変動しない方も、それほど精度は必要ないかもしれません。しかし、働き盛りの方が、子どもを私立一貫校に通わせられるか、住宅ローンはいくらなら払えるか、老後の資金は足りるか、などの具体的な確認をしたい時に、簡易的な入力のみで、統計情報で計算されても、その結果を全面的に信用できるでしょうか。

 このように、あなたの年齢と、確認したい課題の支出金額の大きさ、期間の長さなどによって、適したライフプランシミュレーションも異なってくると考えます。失敗しないためにも、使いたいと考えているライフプランシミュレーションが、どのような特徴のものであるかは、事前に確認した方がよいでしょう。

4. 利用する上での注意事項

 ライフプランシミュレーションでは、前述のように、年齢ごとに計画、あるいは推定されたキャッシュフローが必ず発生することを前提としています。言い換えると、入力されない計画は計算されませんし、発生しない可能性(リスク)も計算することはできません。したがって、予期しない出費などのリスクに備えるためには、リスク金額以上の貯蓄を持つか、不足する分は保険に加入するなどの対策が必要になります。

 また、支出は年によってばらつきがあります。少し極端な例ですが、ある年だけ年間で20万円多く支出したとして、それをベースにシミュレーションすると、50年では1,000万円の差になります。特に、数年ごとに比較的金額の大きい支出が発生する、大型家電の買替えや、自動車の維持費用などは、誤差の要因になりやすいと言えます。精度を高めたければ、何年かの支出の平均値を用いるか、細かく支出を分解して支出計画を立てるか、どちらかが必要になってきます。それ以外にも、想定外のことが起きたり、うれしい誤算もあるかもしれません。継続的にフォローアップすることで、計画とのズレが生じたら軌道修正することも可能です。

5. 本サイトが提供するライフプランシミュレーションの特長

 本サイトが提供するライフプランシミュレーションは、ここで述べたライフプランシミュレーションの特性で言うと、要素ごとに入力ができる、精度を重視したライフプランシミュレーションであると言えます。ただし、入力項目を基本編、詳細編に分類していますので、基本編への入力を選択すれば、比較的少ない入力でシミュレーションすることができ、若い方々や、年金生活の方々にもお使いいただけます。もちろん、どの年代の方でも、詳細に入力すれば一定の範囲で精度を上げることができ、様々な夢の実現の検討のみならず、資産の管理や投資計画の検討などにもお使いいただけます。

 また、できるだけ簡単に入力できるように、様々な入力補助ツールを用意しています。現在の年齢や収入、性別、学歴などから、統計情報を用いて年金受給額を推定するツールや、収入、家族構成や子どもの進学予定などから、児童手当や高校就学支援金などがいくらもらえるかを計算するツールなどが、入力を手助けします。シミュレーション結果を自動分析するツールもあり、どこを改善すればよいかのヒントが得られます。詳しくは「ライフプランシミュレーションの詳しい特長」 をご参照ください。


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